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首席騎士様は、もみくちゃにされる

「君には本当に申し訳ないことをしてしまったねぇ。先ほども言った通り、君の力をうまく引き出せなかったのは私たちの責任だよ」


「ええっ!? いや、そんな」



申し訳なさそうに首を垂れる学長を前に、こっちの方が大慌てだ。だって他の人たちはこれまでの教え方で普通に魔力を操っていたし、魔法に変換できてたんだから、どう考えたってあたしがポンコツってだけだと思うんだけど。



「君の才能は本当に素晴らしいものだよ。これからは私たち教員一同、その希有な才能をしっかりと伸ばしていけるよう丁寧に指導するから安心してもらえると嬉しいんだがねぇ」


「あっ……ありがとうございます!」



学長がそう誓ってくれたのも嬉しかったけれど、一斉に先生方が大きく頷いてくれたのも嬉しかった。


なんせ落ちこぼれなあたしを心配して、これまで補習したり相談に乗ってくれたりした先生が数人いたんだけれど、口々に褒めてくれて、喜んでくれているのがありがたい。


アイルゥ先生なんか、つぶらな瞳から涙がこぼれ落ちちゃって、ふくよかな頬を濡らしてしまっている。そんなにも心配をかけてしまっていたのかと思うと申し訳ない。


一方これまであたしへのあたりがキツかった先生方はとても気まずそうな顔をしている。そんな顔しなくても、あたし気にしてないんだけどなぁ。


あたしが落ちこぼれでそれゆえに授業を邪魔しがちだったのはまごう事なき事実だし、学年主任ほど明らかに攻撃されたわけでもないから、別にいいのに。



「そして、リカルド君」


「はい」


「ありがとう、君がいなかったら彼女の才能を殺してしまうところだった。本当に感謝するよ」


「いえ、俺は……反省するところばかりで」



歯切れ悪い返事をしたまま、リカルド様は気まずそうに目をそらした。リカルド様が反省するところばかりなんだったら、闘技場をぶっ壊したあたしの方が反省すべきだし、っていうか喚き散らしたまま退場させられた学年主任の方が100倍反省すべきだと思うんだけどな。


学長とのお話が終わって解放されたあたしとリカルド様は、その後まず先生方にもみくちゃにされ、闘技場を出たところで演習から早めに戻ってきていた学生たちにさらにもみくちゃにされた。



「Aランク狩ってきたんだって!?」


「さっきの爆音、アンタたちがやったんでしょ?」


「闘技場壊すって正気かよ」


「いやいやそれより、ザブレット教授がクビになったって聞いたんだけど、ホント!?」


「ザブレットってあのイヤミひげ?」



どんだけ耳が早いのか、あらかたの状況が知れ渡ってるのが怖い。


質問攻めに遭って、なんとか答えつつ人並みの中をかき分けて、やっと振り切って二人になった時には、あたしもリカルド様も疲れ切って魂が抜けたように呆けてしまっていた。



「……リカルド様、提案があるんですけど」

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