表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/144

首席騎士様は、結界を飛び出す

ジェードさんに右手を差し出して立ち上がるのを助けながら、リカルド様はもう一方の手をあたしの方へと伸ばす。



「ユーリン、度々すまないが」


「! はい、いくらでもどうぞ!」



ピンときた。魔力補充でしょ、どうぞどうぞ。


ジェードさんに分けたから、リカルド様自体が使える魔力が少なくなっちゃったんだろう、きっと。あたしの魔力はすでにたっぷり回復してきてるから、いくらでも持ってっちゃってOKですよ!


リカルド様の手を両手で握って、今度はあたしも自分の体の中の魔力を右手に集める。出力には問題があっても、体の中の魔力の扱いは随分とうまくなってきたと思うんだよね。


これで少しでもリカルド様が魔力を吸収しやすいといいんだけど。


どうかな、少しはやりやすい? そう思ってリカルド様を見たら、少しだけ驚いたような顔をしたあと、口元を緩ませて「ありがとう」と言ってくれた。


どうやら、あたしのもくろみは成功したらしい。あたし、グッジョブ!



「え、待って。二人して見つめ合って……え、なに、まさか」



誇らしくて嬉しくて、ついついにやけていたら、ジェードさんが急に頬を赤らめて、意味ありげにあたし達を見ているのが目に入った。


途端、リカルド様が慌てたようにあたしの手を離す。



「お前にやった分の魔力を、補充させて貰っただけだ」



怒ったような口調だけれど、耳が赤い。これって照れているのかな。


反応が可愛くて、ジェードさんがからかいたくなる気持ちも分かってしまう。リカルド様、ごめんなさい。


一方、リカルド様の言葉少なな説明を受けたジェードさんは、それでもすべてを理解したようで、あたしとリカルド様を交互に見て納得したように頷いた。



「そっか、ユーリンちゃんは魔力量が人並み外れて多いって聞いたことあるよ」


「そうだ、これで俺もお前も魔力は充分だろう、行くぞ」



話を打ち切りたかったのか、リカルド様が結界の外を顎で指す。そこには、十に近い魔物達がひしめきあっていた。



「なにをすれば、こうも大量の魔物に囲まれるのか……あとで吐いて貰うからな」



リカルド様に睨まれて、首をすくめたジェード様は「お手柔らかに」と言い置いて、結界を飛び出す。


ジェードさんが結界を出た途端、魔物達がいっせいに色めきだつ。正気をなくしたように奇声を発しながら魔物が押し寄せてくるさまは、ただただ恐怖をかきたてるものでしかなかった。



「くそっ……本当に、どうなっているんだ」



魔物達のあきらかな反応に、リカルド様は腰に佩いた剣を一瞬で抜いて、ジェードさんを追うように結界をあとにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の新作】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『麗しの男装騎士は、スパダリになりたい』

新作です。王子の婚約者としての任も護衛の任も突如解かれたレオニー。 傷心で集中力を削がれた彼女は剣術の模擬戦で顔に傷を負う。高身長に婚約破棄、顔に傷。自分の女性としてのマイナススペックに苦笑しつつ騎士として生きていくことを決意する彼女の前に現れたのは……。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ