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首席騎士様は、お山の上で奮闘中

マントと帽子のできあがりにすっかり満足したあたしは、ひとしきり一人っきりでのファッションショーを楽しんでから、綺麗に畳んで自分の荷物と一緒に保管する。


これがいつか、活躍してくれる日が来るといいんだけど。


もしもの時の準備もできたし、あたしは気持ちを切り替えて、早速お昼ご飯の準備にとりかかる。


リカルド様がいつ帰ってくるか分からないものね。


いつでも食べられるように準備してしまってから、リカルド様が帰ってくるまでの間、じっくり魔法の練習をすれば無駄なく時間が使えるよね、きっと。


魔法学校ではダントツ落ちこぼれのあたしでも、日常生活は普通にできる。


そうだ、小麦が結構な量、採れるようになってきたから、今日はパンを焼こうかな。あたしの実家はパン屋さんだから、こんな野宿スタイルでもそれなりに美味しく焼けるパンのレシピは既に習得済みだ。


一緒に作りながらコツを教えてくれたお父さんの柔らかくて分厚い手を思い出して、少しほっこりする。


リカルド様、喜んでくれるといいなあ。


コネコネしてまあるくまとめたパン生地を、葉っぱのお皿に乗せて置いておく。あとはリカルド様が帰ってきたら、木の枝に巻きつけて焚き火で焼いて、焼きたてホワホワを食すのだ。


たっぷり練りこんだバターが香って、きっと美味しいに違いない。


木ノ実を混ぜ込んだのとプレーンなのと両方作ったから、飽きずに食べてもらえるだろう。


そーだ! せっかくだからベリーを煮詰めてジャムも作っちゃおうかな。


この前採取したベリー、実はあれから畑で栽培してるんだよね。リカルド様、ベリーは好きだって言ってたし、もう結界の外にひとりで出るのは無理だから、あとで困らないようにたくさん作ってるんだ。


討伐に連れて行けなんてワガママを言ったせいで、リカルド様に心労をかけちゃったみたいだからね。美味しいものを提供して、少しでも元気になって欲しい。


たわわに実るベリーの中から熟した実をいくつか栽培用に取り分けて、あとは一気に収穫し、お鍋に投入する。砂糖をたっぷり加えたらここからはじっくり煮込むだけ。


コトコト、コトコト。


お鍋の前で火の番をしながら、畑の野菜たちに成長促進をかけて魔力の出力調整を練習する。


不思議だなぁ。


体の中を循環させて、思うところに魔力を集めるのは簡単なのに、魔法として出力するとえげつない威力になって出てくるのってなんでなんだろう。


一発目の成長促進魔法なんて、一気にギュンって茎が伸びて、あっという間に花が咲いて、収穫する間も無く実になって落ちたし。


首を捻りながらどんどん出力を絞っていた時だ。



背後でドサッという、重い何かが落ちた音がした。

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