表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/144

首席騎士様は、胸焼けする

「そ、それって大丈夫なんですか?」



だって、あたしだってさっきまで体中に満ち満ちる魔力で死ぬかと思ってたんだもん。リカルド様も今、そういう状態なんじゃないの!?


こっちがめちゃくちゃ心配しているというのに、リカルド様は「いや、さほど問題ないと思うが」なんて悠長なことを言っている。


まあたとえ具合が悪かったとしても、リカルド様と違ってあたしが何か治療めいたことができるかっていうと何もできないんだけど、それでも心配は心配なんだよ。



「でも顔色が悪いし」



言い募るあたしに、リカルド様は微妙な顔でこう言った。



「ううむ、なんといえばいいのか……胸やけに近い、か? 魔力が濃過ぎてもたれているだけだと思うが。多分魔法を使えば治る」


「胸やけって、そんな。天ぷら食べ過ぎたみたいに言われても」



思いもかけない表現を聞いて、たまらず吹き出してしまった。


暴発してしまうのかって心配になるほど大量な魔力を吸い取ったというのに、リカルド様ったら大したことないみたいに言うんだもの。


ていうか、言うに事欠いて『胸やけ』とか。



「ふふっ……」



自分でも何でツボったのか分からない。でも、緊張とかが一気に解けて笑いが止まらないんだもの。


だんだん笑いが大きくなっていくあたしをちょっぴり驚いた様子で見つめていた首席騎士様は、つられたように顔を綻ばせる。


なんとも幸せそうに緩められた目尻と口角。顔色の悪さを忘れるくらい喜びに満ちた表情に、つい見惚れてしまった。


なんだよ、なんだよ。


首席騎士様ときたら笑うとホント可愛いな! 常日頃の仏頂面とのギャップで、むしろキュンとする。


心の中で勝手に盛り上がるあたしに、リカルド様はトドメとばかりに笑いかける。



「よくわからないが、ユーリンが楽しそうで良かった。君が楽しそうだと、俺も嬉しい」


「!!!」


「ど、どうした。大丈夫かユーリン! 体調でも悪いのか!?」



さっきまであんなにも挙動不審だったというのに、いきなり嬉しいことを言ってくれるもんだから、キュンとし過ぎた。


ついつい心臓あたりを両手でおさえて悶絶しているあたしを見て、リカルド様は本気で心配している。


心配そうに眉を下げている顔がこれまた悲しそうにピスピス鼻を鳴らすワンちゃんに見えて仕方がない。


このままでは真面目に心臓に悪い。なんとか話題を変えなければ。



「リカルド様のおかげで、体調は大丈夫です! それよりも、リカルド様こそ魔力を放出しなくてもいいんですか?」



なんせ胸焼けしてるんだしね!


そう思って問いかけたら、リカルド様は真面目な顔に戻って新たな提案をしてくれた。



「それもそうだな。ユーリンの魔法の練習もかねて、魔力消費の高い高位の魔法を一緒に打ってみるか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の新作】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『麗しの男装騎士は、スパダリになりたい』

新作です。王子の婚約者としての任も護衛の任も突如解かれたレオニー。 傷心で集中力を削がれた彼女は剣術の模擬戦で顔に傷を負う。高身長に婚約破棄、顔に傷。自分の女性としてのマイナススペックに苦笑しつつ騎士として生きていくことを決意する彼女の前に現れたのは……。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ