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【首席騎士:リカルド視点】煩悶の夜②

段々と俺の口数が少なくなってきたのを察し、ジェードは少し語気を緩める。その引き際もさすがといえばさすがだ。


そして、ちょっと考えるような間をおいて、こう言った。



『お前にとっては難しいのかも知れないけどさ、できるだけでいいから、あの子に優しくしてあげなよ』



なぜか含みがあるように感じて、俺はジェードの言葉の続きを待つ。



『あの子、魔力は高いのに魔法が編めないって噂の子だろ? ただでさえ劣等感があると思うんだ』



……すごいな、ジェードは。


思い返せば確かにユーリンはそんな事を言っていたように思う。自分の事を落ちこぼれ、と卑下していた。



『頭抜けて学年トップのお前のパートナーって言われたら二位のオレだってちょっとは緊張するぞ。なのに劣等感マシマシの子がお前の傍で頑張ってるんだ。絶対にそりゃあもう色々思うとこある筈だから!』


『そんなものか』


『そんなモンなの! だからさ、できるだけ優しくしてやれよ』


『わかった』


『本当はさ、なんか役割分担とかして自信持たせてあげられるといいんだけどね。Aランク狙うってのに、さすがのお前でも余計なことしてたら危ないもんな』



役割分担か、なるほど。


そういえばユーリンも、自分がやることがなくなる、と唇を尖らせていた気がする。人付き合いとは本当に難しいものだ。


やれることをやれる者がやればそれでいいと思っていたが、そう単純なことではないのかも知れない。



『もしもーし』



しまった、また考え事をしてしまった。


だが、そろそろ念話も切り上げた方がいいかも知れない。それなりに互いに集中力を要する魔法だ。長話するものでもないだろう。



『すまん、だがそろそろ切らないか? 明日にひびく』


『つれないなー、今どの辺? どうせレッドラップ山に向かってるんだろ?』


『ああ、もうふもとに居るが』


『ふもと!!!???』



あまりの叫び声に耳がキーンとした。いや、脳に直接語り掛けているわけだがら、脳が震えたのか? とにかく金づちで殴られたほどの衝撃だった。



「うるさい!」



思わず口からそんな言葉が漏れ出た瞬間、ユーリンが俺の隣で「うう~~ん……」と呻いた。しまった! と口を右手で覆うが、時すでに遅し。



「……首席、騎士様?」



寝ぼけた声のまま、目をこすりつつユーリンが起き上がる。明るいオレンジのショートヘアが、彼女が眠そうに目をこするたびにほわほわと揺れた。


ふああ~……と大きくあくびをした彼女は、「首席……リカルド様、まだ起きてたんですか?」と小首を傾げる。


ああ、しまった。完全に起こしてしまったじゃないか。

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