表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

141/144

面倒を押し付けられるの!?

網を巻き上げるのって結構時間がかかるもので、港に帰り着いたときには太陽が随分と昇っていた。まだ真っ暗な時間に漁に出たのに、時間が経つのって早い。思いのほか大漁で、ラルタさんとマッシュさんにむしろお礼を言われてしまった。


しかもたくさんのお魚をお土産に貰って、あたし達はとりあえずいったん宿屋に戻ることにする。



「少し持つのに」


「たいした重さじゃない」



そしてその大量のお魚たちは、リカルド様がひとりで担いでいるのだった。持ちやすいように箱に入れてくれたけど、絶対重いと思うんだよね。



「ユーリンちゃん、大丈夫。コイツ信じられないくらい腕力あるから」



少なくともあたしよりは腕力があるだろうジェードさんはそんな事を言い放って、リカルド様を手伝う気はさらさらないらしい。まあさ、二人の間ではそれが普通なんだろうけど。だってめちゃめちゃ自然体だもんね、二人とも。


リカルド様に申し訳ないような、ジェードさんとの仲の良さを見せられて悔しいような、なんとも微妙な気分だ。



「しかし立派な魚ばかりだねぇ。これで宿の人達に美味しいものでも作ってもらおう」


「ですよねー! 楽しみだな」


「そんな呑気な……!」



少年の姿に戻ったアイルゥ先生とジェードさんが楽しげに会話するのを、アリシア様が止める。ついに我慢できなかったらしい。さっきから何か言いたそうだなぁって思ってたよ。



「アイルゥ先生! さっき仰ってた『解決のヒント』ってなんですの!? わたくしもう、気になって気になって」


「アリシアとジェードが一番わかる筈じゃない」


「えっ……」



アリシア様とジェードさんが顔を見合わせて互いに首を傾げていたら、リカルド様がポツリと呟いた。



「エルフのピアス……?」


「ご名答」



ニコッと可愛らしい笑みを浮かべてアイルゥ先生が頷く。



「どうせ午後からそのエルフの女性の所に行くだろう? そこで新たなヒントが貰えると思うよ」


「まぁ、どうしてそんなことが分かりますの?」


「だっていきなりピアスくれるなんて不自然でしょ。いくら同族って言っても知らん顔だってできるわけだし」


「確かに……」


「しかも教えてくれる魔法が浮遊ときた。絶対にあの風の大精霊の面倒、押し付ける気だと思う」


「えっ!!!?」



そんないきなりピンポイントな!? って思ったけど、アイルゥ先生は自信ありげだ。



「さ、腹が減ってはなんとやら、だ。とりあえずさっさとご飯食べるよ!」



それだけ言うと、どんどんと先に歩いて行ってしまう。



「……ホントかねぇ」


「行けば分かる」



ジェードさんのボヤきに、リカルド様が何てことないみたいに答えた。リカルド様ってホント基本は落ち着き払ってるんだよね。


確かにリカルド様の言う通り、行ってみれば分かるんだろうけど……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の新作】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『麗しの男装騎士は、スパダリになりたい』

新作です。王子の婚約者としての任も護衛の任も突如解かれたレオニー。 傷心で集中力を削がれた彼女は剣術の模擬戦で顔に傷を負う。高身長に婚約破棄、顔に傷。自分の女性としてのマイナススペックに苦笑しつつ騎士として生きていくことを決意する彼女の前に現れたのは……。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ