表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

139/144

怖くて綺麗な嵐の原因

「何もなかったと思うが」


「あたしも特にはなにも」


「うそ!?」




「ねぇジェード、君が見たものをそのまま話してほしいんだけど。さっき暴風と高波が襲ってきたとき、空気に莫大な魔力が混ざったよねぇ? あれは、なに?」



アイルゥ先生の追及に、ジェードさんはますます顔を青くした。



「それはオレにもわかんないですけど、さっき暴風が吹いた時ってめちゃめちゃ綺麗な女の人が浮いてて」


「海を睨みつけて高笑いしながら、風を操っていた……」



ジェードさんが言うと、ユット君のお父さんが呆然としたまま言葉を足す。なにそれ怖い。



「あれは七大精霊の一人、風のアルディア様では」


「あっ、精霊なんだ。あんまり綺麗だからオレ女神様かと思ったよー。縮尺でっかいから人じゃないとは思ったけど」


「故郷にあるアルディア様の像にそっくりだった」



見た者どうしでしかわからないからか、ジェードさんとユット君のお父さんは二人で頷きあいながら情報を交換している。



「おっきかったんですか?」


「うん! 普通の人間の五倍はあったんじゃない?」


「五倍!?」



何気なく聞いてみたら、びっくりな答えが返ってきた。でも五倍って、そんな人見逃す!?



「でも半透明だったんだよね」


「そうだな、しかし見落とすレベルじゃないだろう。もしかしたら風属性の者にしか見えないものだったのかもしれない」


「そんなコトあるんだ。っていうか、よくオレが風属性って分かったね」


「そのピアス……君はエルフなんだろう? だがエルフの特徴は薄いようだ。ハーフかな?」



ユット君のお父さんの指摘に、ジェードさんもあたし達もびっくりしてしまった。あのピアスってそんなに浸透してるモンなの?



「私たちの種族はエルフたちとも親交が深いのでね。君はどこの森の出身?」


「いや、オレ。ピアスも昨日もらったばっかりで……自分がエルフに関係あるかも分かんないんだ」



ジェードさんは次々に訪れる『エルフの一員』という情報に若干引き気味だ。そりゃあそうだよね。今までそんなこと知らずに生きてきたのに、急にそんなこと言われても何が何やら、って気持ちだろう。


あたしも下町で普通に生きてたら、ある日魔力がめちゃめちゃ高いだのなんだので急に王立の月謝もバカ高い魔法学校に入れって言われたときは正直かなり引いたもん。



「ジェード様、すごいです……!」



しかしそんな複雑な気持ちだとは察していないらしいアリシア様は、目をキラキラさせて褒めたたえている。まあ、エルフと言えば魔力にも魔術にもべらぼうに長けた種族だし。あこがれる気持ちもこれまたわかっちゃうよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の新作】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『麗しの男装騎士は、スパダリになりたい』

新作です。王子の婚約者としての任も護衛の任も突如解かれたレオニー。 傷心で集中力を削がれた彼女は剣術の模擬戦で顔に傷を負う。高身長に婚約破棄、顔に傷。自分の女性としてのマイナススペックに苦笑しつつ騎士として生きていくことを決意する彼女の前に現れたのは……。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ