嬉しくて、嬉しくて
リカルド様がプレゼントしてくれたのが嬉しくて嬉しくて、お店を出てすぐの港のベンチに座って、あたしは早速ペンダントを身につけた。
だってなんだかリカルド様が買ってくれたものだって思うだけでなんとなく守られてるような気になるし、きっと胸元の海のしずくのようなペンダントトップを触るたび、ふんわりと幸せな気持ちになれるだろう。
こみ上げてくる幸せをかみしめながら、ペンダントトップのころころとした感触を楽しむ。ひとりニヤニヤしていたら、斜め上から視線を感じた。見上げれば、リカルド様がわずかに微笑んでくれている。
「よく似合っている」
「あ、ありがとうございます……!」
リカルド様が、褒めてくれた……! あんなに何もかも照れていたリカルド様が、さらっと褒めてくれるの、奇跡じゃない!?
「ユーリンは髪色が明るいオレンジだから、きっと青の石が映えると思っていた」
「ありがとう、ございます~……」
「な、なぜ泣く!?」
「か、感動で……!」
自分でもヒくくらい胸がジーンとしてしまった。
思えばリカルド様とお付き合いするようになってから、一緒に居ることは増えたけどどっちかっていうと先生と生徒みたいだったんだもん。
会話のはしばしでちょいちょいリカルド様が真っ赤になって、おたおたしている可愛らしいところは一番近くで見られたけれど、コミュ障ゆえのおたおたなのか、あたしにちょっとでもドキドキしてくれたのかは全く分からなかった。
傍目から見たらきっと、恋人なのか友人なのか、微妙なラインに見えただろう。
でも、あたしに似合う色をってちゃんと考えてくれて、こんなに素敵なプレゼントをくれるだなんて。リカルド様の気持ちが嬉しすぎて、こみ上げてくるものがおさえられない。
「あたし、嬉しくて……!」
「そ、そうか。そんなに喜んでくれたなら良かった」
泣いているあたしをどう扱ったらいいのかわからずに、所在なげにリカルド様の手があたしの周辺でうろうろしてるのが、涙越しに見えて笑ってしまった。
これはこれでリカルド様らしくってとても好きだ。
「ユーリン、泣かないでくれ……」
困り果てたような小さな声が聞こえて、あたしの涙もやっとおさまる。見上げたら、ホッとしたようなリカルド様と目が合った。
ああ、好きだなぁと改めて思う。
「リカルド様」
「なんだ?」
「あの角のところまででいいんで、手をつないで歩きたいです」
「!!!」
案の定、リカルド様は驚愕の表情のあとに面白いくらい真っ赤になった。