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港町ジンガイ

馬車から降りていよいよジンガイへ着こうという時、アイルゥ先生が小さくため息をついた。



「あーついにジンガイに着いちゃうなー」


「? 何か問題でも?」



なんでだか若干嫌そうなアイルゥ先生に、リカルド様が聞き返す。


二人が並んで歩くと、本当に大人と子供って感じだなぁ。リカルド様は男の人の中でも長身な部類だし、アイルゥ先生はお年は謎だけどまだ少年って言ってもいいくらいのお姿だから、後ろから見るともはや親子だ。


しかも、アイルゥ先生ったらちょっとふてくされたように頬を膨らませてリカルド様を見上げるものだから、余計に可愛らしい。



「ジンガイに転移できるようになったらさぁ、絶対学長にお使い頼まれるよ。それも頻繁に」


「あ、そういえば学長、ジンガイのコーヒーが美味しいって言ってたね。確かに」


「マニアにはたまらないのですわ。しかも船旅を経ていないフレッシュなフレーバーが楽しめるだなんて、絶品に違いありませんもの。学長の気持ちも分かりますわ」


「うわ、アリシア嬢にまで頼まれそうな勢いだよ。転移できるのも色々面倒なんだよね。便利すぎて使われちゃう」



そうかも知れない。現に今だってこの討伐に先生方の中で一人だけかり出されてるんだもんね。



「あ、リカルド。そんなどうでもいい顔してるけど、キミもなんだからね」


「お使いに行くくらいは別にいつでも」


「ははは、リカルドは顔に似合わず親切なんだよなぁ」


「キミねぇ、その性格ソンすると思うよ?」



なんてことないって顔のリカルド様に、ジェードさんは笑いアイルゥ先生はあきれている。なんだかんだで三人って仲よさそうだよねぇ。



「うう……ジェード様、あんなに楽しそうに……。わたくし、ジェラシーですわ……」


「……アリシア様って可愛いですよね」


「ハァ!? な、なにを急に……!」



おっといけない、つい心の声が口から出ちゃった。いやだって、恋する乙女感満載過ぎない?  応援したくなっちゃうよね。



「はーい、着いたよー!」



ああ、本当。アイルゥ先生の声に目線を前に向ければ、賑やかな町並みがいつのまにか目前に迫っていた。


前を男性陣三人が歩いてたから、町が見え隠れしてたんだけどアイルゥ先生が町に走り寄って視界が開けた途端に、海と空を背景にした大きな町が一気に目に入ってちょっと感動してしまった。


魚を狙ってるのか海の方には白い鳥がたくさん飛んでる。


海の匂いがする。


海が荒れて船が沈んだって聞いていたけど、波は静かで水面はとても穏やかに見える。



「これが、ジンガイ……!」

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