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首席騎士様は、思いもかけない言葉をくれる

「ユーリン」


「……」


「ユーリン……!」



リカルド様があまりにも絞り出すみたいな声を出すから、心配になってしまう。返事した方がいいの? 顔を上げてもいい? リカルド様の顔が見たいよ。



「ユーリン、好きだ……!」


「!!!?」



信じられない言葉が聞こえた気がして、反射的に顔を上げた。


ゴッ……と鈍い音がして、頭頂部を痛みが襲う。



「ぐっ……」


「~~~~~~っっ」



痛ったぁ……リカルド様の顎に思いっきり頭突きしちゃったよ。リカルド様も地味に痛がってるみたいで申し訳ないけど、今はそれよりもどうしても気になることがある。



「ごめんなさい、リカルド様。でも、でも、今なんて言いました!?」


「う……ユーリンのことが、その、好きだと言ったのだが……迷惑、だろうか」



おずおずとリカルド様の腕が、鍛えられた体躯が、あたしの体から離れていく。もうあんなに激しく打っていたリカルド様の心臓の音も聞こえない。



「なんで、せっかく好きだって言ってくれたのに離れるんですか」


「いや、その」


「迷惑なわけないじゃないですか!」



逃げていこうとするリカルド様の体に、思いっきり飛びかかった。さほど揺らぐこともなく、リカルド様はしっかりと支えてくれる。驚いた顔のリカルド様に、あたしは満面の笑顔で叫んだ。


「あたしもリカルド様が好きです!」



こんなに早く、この言葉を口に出来るなんて思ってなかった。だって、数年がかりで告白しようと思ってたのに。



「……」


「聞こえました? リカルド様、大好きです」



ぽかんと口を開けた、リカルド様らしからぬ顔であたしを見下ろして固まってるから、重ねて伝える。この機を逃してなるものか。



「ほ、本当か。気を使っているわけでは」


「本当ですって。ていうか好きになったのはあたしの方が先です、多分。なんせさっきまで、魔法をめっちゃ勉強して強くなって、いつかリカルド様にかっこよく告白するんだって思ってましたもん」


「? 強くなるのが必要なのか?」


「だってあたし平民ですし。貴族のリカルド様に告白するなら、やっぱり国の魔法省とかからスカウトくるくらいの実力がないと」



考えたこともなかったのか「すごいな」と呟いたリカルド様は、やっとあたしの気持ちも本気なんだと分かってくれたらしくって、はにかんで「ありがとう」と言ってくれた。


テンパってた時は苦しいくらいぎゅうぎゅうに抱きしめてきたくせに、今はあたしに抱きつかれて手のやり場に困っているのが丸わかり。


やっぱりこういうところ、可愛いよね。リカルド様、大好きだなぁ。


リカルド様と一緒なら、どこにいたってきっとこんな風に幸せな気持ちでいられるんだろう。それこそ、リカルド様が言ったみたいに、二人で世界中を巡って魔物を倒す旅をしていたってきっと楽しいに違いない。


リカルド様を見上げて視線が合うと、ついつい笑顔がこぼれてしまう。




行きたくなくって「暴発とかで学校が吹っ飛ばないかな」なんて物騒なことを思ってスタートした『春の討伐演習』。


終わってみれば、こうして【Aランク討伐】【魔力覚醒】に加え、【大好きな恋人】までゲットするという未曾有の戦果をあげて終了したのだった。




100話ちょっきり、これにて完結です!


初めて最初から最後まで大まかなプロットを書いてスタートしたのはこの話が初めてで、色々楽しみながら書けました。


リカルド様とユーリンは、多分、これから伝説になるくらい強くなるんだろうなぁとか想像するとそれも楽しい二人でした。


強いのにヘタレなリカルド様を応援してくれた皆さま、ありがとうございました!

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