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プロローグ

「野球の神様は存在するのでしょうか、野森監督。」あるスポーツ記者は聞いた。

「んー、そうだねぇ。」ゆったりと座ったふっくらとしたご老人は、手を顎にあてる。こうして見ると、現役時代は三冠王(首位打者・最多本塁打・最多打点)を幾度となく取り、現セ・リーグの”中央ドアラーズ”監督には見えない。

「野球の神様ってのはいないね。王様は沢山いるけどね。」

「王様とは、具体的に。」記者は前のめりになった。

「例えば、ホームラン王なら王貞治、松井秀喜。安打王ならイチロー。甲子園王なら『野上進』だな。」

 記者は持っているペンを震わた。「野上進、、、」聞いたこともない名前だ。

「知らんかね、三年前だよ。彼がいた夏は。」

(三年前ということは現在21歳。)

 記者はハッとなり、勢いよく立ち上がった。「21歳ということはっ、、。」

 野森監督はにやりと笑う。奥歯の金歯がキラリと見えた。

「そうだ。今、球界を代表するプロ達が一度に現れた黄金の時代だよ。彼はその中でも最強だった。」

 記者の手に汗が滲む。「じゃあ何故、彼はプロにいないんですかっ。」

「くるはずだったさ。でも、チャンスがあってもタイミング合わなかったんだよ。」

「彼は今、何処で何を。」

 記者はゴクリと唾をのむ。

(これは、いい記事になりそうだ。)

 監督は、金歯を光らせる。

「彼は、今―――。」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「コォーラッ、千夏。幼稚園行くよ。もう、出ないとパパ仕事遅刻しちゃうから。」小さな女の子の手を引っ張る。

「ちっこくー、ちっこくー。」キャッキャッしながら千夏はパパに引かれる。

「じゃあ行ってきます、小雪。」

こうして、進の日常は始まる。

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