忍者と魔女
「最近なにも無いわねぇ…」
「だねぇ…確かに何も変化もないね…」
そんな素朴な会話をしながら、紅長髪黄眼の霞野瑞波と橙長髪橙眼のアストレア・レッドスターは大光国の大森林を散歩していた。
女忍者の瑞波はこの森の大木の中に家を持ち、瑞波の幼馴染である女魔法使いのアストレアはそこに居候の形で(実は瑞波の好意ではあるが)住んでいる。両者とも極普通の人間、15歳という若さである。
そしてこの大森林は、ほとんどが瑞波の管理下に置かれているようなものである。
「何か面白いことでもないかな~」
と、アストレアが言う。
この地上界――特に大光国では極々平和な日々が続いている為、アストレアのような変化好きの者からしたら物足りないところがあるらしい。
「ま、良いじゃないの。何も無いってことは、平和が守られてるってことなんだから」
少なくとも瑞波はこの平穏な日々が好きだそうだが。
「えー、暇じゃない方があたしは好きなんだけどなぁ」
アストレアはそれを否定する。
「あたしは固定概念ってのがあまり好きじゃないんだ。瑞波だって分かってるだろ?」
「む…それは確かに知ってるけどさ…」
詰め寄るアストレアにたじろぐ瑞波。
と、そこで。
「……ん?」
瑞波が突然そんな声を上げた。
「どうした、瑞波?」
「いや…なんか向こうで変な音が聞こえたから…」
アストレアが問うと、瑞波はそう言い、正面から右斜め前を指差す。
「え、あたしは聞こえなかったけど…」
「そう? ちょっと見てくるね」
瑞波はそう言って、指差した方向へ歩いていく。
「一体どうしたんだろ…」
アストレアはそのままその場で待つことにした。
が――
「――ア、アストッ! 来て…ッ!」
――瑞波の叫び声が聞こえてきた。
「――!? ど、どうした!?」
それに応答し、アストレアは瑞波の向かった方向へ駆け出す。
すぐに、瑞波の姿が見えた。
「――――!」
その場に口を押さえて立ち尽くす瑞波は、少し先を見ながら絶句している。
そして、その先にある――否、いる者は――
「に、人間――!?」
――橙色のローブのような服を着た銀髪の人間、それも少年であったのだ。
うつ伏せになって、ピクリとも動かない。
表情さえ見えないが、緊急事態であることは容易に察せた。
「…ッ、とりあえず家まで運ぼう…!」
「――え、ぇ…放っておけないもの、ね…」
アストレアはその少年を肩に抱え(基本的に魔法使いは力仕事に関しては脆弱であるはずだが、それなりに力はあるらしい)、瑞波の家へと連れて行く。瑞波は気持ちを落ち着かせられずに、遅れながらもアストレアの後ろへ着いて行く。
――この判断が、瑞波とアストレアを思いも寄らない出来事へと引き寄せる事になる。
どうも、上野ウタカタです。
『裏切者の神 ~ God a betrayer.』の第2話です。
…元々既に物語は出来てるので、案外スムーズに書けます。
なので、更新は早くなるかもしれません。
早くに描かないといけないところもなくはないですし。
ということで、また次回。