3. いっときの別れ
「フィリーネ、荷物の準備は終わったかしら?」
「はい。いつでも出立できますよ」
「ありがとう」
ティアラローズは、アクアスティードから祭典へ出席するためサンドローズへ行くことを聞き、フィリーネと準備を進めていた。
一度は行ってみたいと思っていた国でもあるので、サラヴィアの相手をするのは大変だが楽しみでもある。ただ、砂漠の国であるため暑いことが難点だろうか。
「水分は大目に持っていかないと駄目ね。休憩もこまめに取るようにしてね」
「もちろんです。出来る限り、快適な旅になるようにいたしますね」
日焼け止めのクリームや、日光が直接当たらないように帽子を用意するなど、フィリーネはいつも以上に注意して準備を行った。
「おそらく問題はないと思いますが、何かありましたらすぐにお伝えくださいね?」
「ええ、もちろん」
ティアラローズとフィリーネが顔を見合わせて微笑むと、そのタイミングで部屋にノックが響いた。
「……誰かしら。あまりいい予感はしないけれど」
「確認してまいります」
来客は、ティアラローズが予想していた通りの人物だった。
「やあ、ローズ。今日も一段と可愛いね」
「サラヴィア陛下……わたくしは入室を許可していませんが?」
「そんな固いこと言うなよ。俺とローズの仲だろう?」
「それから、わたくしはローズではなくティアラローズです。愛称を勝手につけて呼ぶのは、おやめくださいませ」
ティアラローズがハッキリと告げるが、サラヴィアはなんら堪えた様子はない。
あははと笑いながら、ティアラローズの向かいのソファに腰かけた。
サラヴィアに続き、対応したフィリーネが疲れた顔で戻ってくる。止めたのに、サラヴィアが勝手に入ってきてしまったのは簡単に想像が出来る。
さらにその後からは、サラヴィアの側近であるイゼットもやってきた。
「……それで、ご用件はなんでしょうか?」
「冷たいなぁ、子猫ちゃんは。愛しい人へ会いにくるのに、理由なんて必要ないさ」
「…………」
思いっきりため息をつきたいところだが、ぐっと我慢する。
チャラくても相手はサンドローズの皇帝なので、礼を欠くことはしたくない。たとえ向こうが無遠慮であったとしても、だ。
ティアラローズの無言の圧力を感じたのか、サラヴィアはははっと笑う。
「あとは……そうだな。知っての通り、迷惑をかけ始めてしまったからそのお詫びも兼ねて」
「それでしたら、わたくしではなくアクアスティード陛下へお願いいたします」
「もちろん。でも、子猫ちゃんにもと思ってさ」
サラヴィアが告げている迷惑とは、サンドローズのオアシスの水問題についてだ。
火の精霊サラマンダーが目覚めると、その影響で暑さが増してしまうというのは聞いていたのだが……予想していた以上に、オアシスの水が減少してしまった。
気温が上がるので多少は減るだろうとは、ティアラローズたちも思っていたけれど。
その影響から、このままオアシスが枯れるのでは……と、危惧して一部の裕福層がマリンフォレストへやって来ているのだ。
水も食料も豊富なため受け入れることに問題はないが、想定していたよりも事態が大きくなってしまっているため、アクアスティードはその対応に追われているのだ。
「国民たちが不安に思っているのに、わたくしとお喋りしていていいのですか?」
すぐにでも国へ帰るべきでは? と、ティアラローズは暗に告げる。
「問題はない。……今回の祭典を大規模に行うのは、オアシスの恵みを復活させるためだからな。今は少し減っているが、なくなることはない」
「そうですか……」
サラヴィアの言葉に、ティアラローズも一応は納得する。
――その祭典が、クレイル様の言っていた王族が対処しているということかしら?
クレイルの言葉は信頼出来るので、きっとサラヴィアの言うことも事実なのだろう。
つまり、数百年に一度しか行われない祭典に、ちょうど出席することが出来るのだ。現場に不安はあるけれど、とても光栄だとティアラローズは思う。
「サラヴィア陛下も巫女の舞をされるのでしょう? ……楽しみにしております」
「子猫ちゃんが見ててくれるなら、張り切らないわけにはいかないなぁ!」
サラヴィアがティアラローズに向けてウィンクをして、「期待してて」と告げる。
さらにそのまま身を乗り出して、机越しにティアラローズへ手を伸ばしてきた。慌ててティアラローズが横へ逃げようとしたところで、「サラヴィア陛下?」と低い声が耳に届く。
「いい加減、私の妃へちょっかいをかけないようにと言ったはずですけど?」
「おっと、アクアか。せっかくこれから子猫ちゃんといい雰囲気になるところだったのにな〜」
「アクア様!」
ちょうど休憩のために、アクアスティードがティアラローズの部屋へとやってきた。
そのままティアラローズの隣へ座って、その肩を抱き寄せる。
「まったく油断も隙もない」
「!」
「あーあー見せつけてくれちゃって……」
サラヴィアは肩をすくめて、ソファへ深く腰掛ける。
そのままアクアスティードへ視線を向け、「忙しいんじゃないの?」と軽く問う。
「誰かさんのせいで、とても忙しいですよ。本当なら、私もティアラと一緒にサンドローズへ行く予定でしたが……少し遅れて合流することになりました」
「え、そうなんですか?」
「わぉ、そんなにか」
先程のティアラローズとサラヴィアの会話の通り、今はサンドローズから大勢の人が来ておりアクアスティードはその対応にいろいろ追われてしまっているのだ。
というわけで、本来ならばティアラローズと一緒にサンドローズへ行く予定だったのだが、遅れて行かざるを得なくなってしまった。
それを聞いたサラヴィアは、「いいね!」と表情を輝かせる。
「ローズのことは俺がちゃんとエスコートするから、アクアはゆっくりくればいい」
「だから、人の妃を勝手に愛称で呼ぶなと言っているでしょう」
「ははは」
アクアスティードの言葉にも、サラヴィアはめげないようだ。
「まったく。こうやって付け上がるから、私も一緒に行きたかったというのに……」
「えっと、アクア様……。わたくしでしたら、フィリーネもいますし大丈夫です」
サラヴィアは相手にせず、一人でもきちんと公務を行うからとティアラローズは告げる。とはいえ、相手は皇帝であるサラヴィアだ。そうそう強く拒絶するのも難しいだろう。
戸惑うような、困惑したような、そんなティアラローズに「心配はないよ」とアクアスティードは声をかける。
「もちろんサラヴィア陛下に任せるつもりはないので、こちらでしっかりした護衛を用意した」
「うん? 子猫ちゃんの護衛っていうと、タルモっていう騎士だったか。……それ以外にもか?」
「ああ、そうだ」
きょとんとするサラヴィアを尻目に、アクアスティードはパチンと指を鳴らす。
すると、転移で二人の王が現れた。
長い緑の髪と、白銀の美しい髪が舞う。
森の妖精王キースと、海の妖精王パールだ。
「よぉ、ティアラ。俺とパールも一緒にサンドローズに行くぞ」
「女子一人では大変だろうて、わらわも一緒にいってやってもよいぞ」
「お二人が、わたくしの護衛なんですか?」
ティアラローズが驚いて目を瞬かせると、パールが「そうじゃ」と告げる。
――妖精王がわたくしの護衛だなんて、贅沢すぎるんじゃ……!
勝気な女性、海の妖精王パール。
肩下で揃えられた白銀の長い髪に、王の持つ金色の瞳。いくえにも重なる鮮やかな着物のドレスを身に纏い、扇で口元を隠す姿は気品がある。
思わず横にいるアクアスティードを見ると、にっこりと微笑まれる。その顔には、ティアラローズを一人で行かせるのだからこのくらいは当然だと、書いてあるかのようだ。
ティアラローズは思わず息を呑み、頷いた。
「お心遣い、ありがとうございます」
「道中は長いからね、気をつけて。何かあったら、ちゃんと周りの者に相談するんだよ」
「はい」
アクアスティードに優しく頭を撫でられて、ティアラローズもほっと肩の力を抜く。
「ですが……キースはともかく、パール様がご一緒なのには驚きました」
「ふん。おぬしには、魔力をわけてもらい目覚めさせてもらった恩があるからの。これくらいは、力になってやってもよい」
「そうでしたか……」
パールとは距離があると思っていたので、恩を返すという理由があるとしても、こうして力を貸してもらえることはとても嬉しく思う。
それに、彼女は男嫌いだ。それを理由に、サラヴィアを引き離す言い訳にもするのだろうな……と苦笑する。
ティアラローズたちのやりとりが落ち着いたところで、おもむろにサラヴィアが席を立った。そしてキースとパールの下へいき跪く。
「妖精王のお二人と、お見受けいたします」
先ほどまでのふざけた様子は一切なく、サラヴィアの低く落ち着いた声が室内に響く。それに返事をするのは、彼を見定めるかのように目を細めたキースだ。
「ああ、いかにも。……挨拶を許そう」
「火の帝国サンドローズの皇帝、サラヴィア・サンドローズと申します。己が生きるうちに、妖精王にお会い出来たことを光栄に存じます」
「森の妖精王、キースだ」
「わらわはパール。海の妖精王じゃ」
普段がチャラいけれど、こうして凛とした姿を見せられると、サラヴィアは皇帝なのだということを見せつけられているかのようだとティアラローズは思う。
普段からこの態度でいてくれたらいいのだけれど……とは、声に出さないが。
挨拶をすませ、各々が席へとつく。
今から話し合うのは、サンドローズへ行くための日程だ。
こちらのメインメンバーは、ティアラローズ、キース、パール、フィリーネ、エリオット、タルモの六人。そして、サラヴィアと側近のイゼットも同行するので合計八人だ。
そこに、メイドや護衛をする騎士たちなども加わってくる。
「さて……出発は三日後だ。私はそこからさらに十日ほど遅れて出る予定だが、行程を急ぐからサンドローズで合流するのはティアラが到着して五日後くらいになる予定だ」
「はい、わかりました。アクアスティード陛下がくるのをお待ちしていますね」
しばらく会えないのは寂しいけれど、自分も王妃としてしっかりしなければと気合を入れる。
アクアスティードがサラヴィアに詳細な道順を示し、問題ないか確認を行う。可能な限り危険が少なく、安全に辿りつけるルートにするなら助言は必要だ。
テーブルに広げられた地図を見て、サラヴィアは「ふむ……」と真剣な眼差しになる。そして一つの街道を指差した。
「後で確認はさせるが、ここは工事を行う予定だから迂回した方がいいだろう。少し夜道が危険だから、その対策をするところだ。まあ、一人で馬車から降りたりしなければ危険はないと思うけどな」
「……いや、迂回しよう。回避出来るのであれば、それに越したことはないからな」
「わかった」
注意をしても結局一人で無茶をするのがティアラローズだ。
それならば、最初から何をしても安全な経路で進むのが一番いいとアクアスティードはすぐに迂回することを決定する。
詳細な日程の確認をして、話し合いは問題なく終わった。
サラヴィアやキースたちが退室して、アクアスティードはぐったりとティアラローズへもたれかかった。
「アクア様? ……お疲れ様です」
「……うん。どうにかしようと進めてたけど、やっぱり行きはティアラと一緒に行けそうにないね」
「お仕事ですから、仕方がないです。しばらく会えなくなってしまいますし、出発まではたくさん甘やかします!」
「!」
疲れ果てているアクアスティードの頭をぎゅっと抱え込んで、ティアラローズは自分の膝へ乗せる。そのまま頭を撫でて、優しく微笑む。
膝枕をされたアクアスティードは、このままじゃ眠ってしまいそうだと苦笑する。
「ティアラの膝は気持ちよくて困る」
「なんですか、それ」
アクアスティードの言葉にくすくす笑い、ティアラローズは「寝てもいいですよ」と告げる。
「睡眠は大切ですからね。寝不足だと、効率も落ちてしまいますよ?」
「それはそうだが……せっかくティアラと一緒にいられる時間を作れたのに、寝たらもったいない」
「もう……」
告げられた言葉に、思わず顔を赤くする。
――アクア様ってば、さらりと恥ずかしいことを言うんだから。
ドキドキしてしまって、心臓がいくつあっても足りそうにない。
「ああでも、ティアラがキスしてくれたら寝れるかもしれない」
「え……っ!」
甘やかしてくれるんでしょう? と、アクアスティードが意味深に微笑む。
対するティアラローズは、むむむと唸る。確かに甘やかすと告げた手前、アクアスティードの要望があるなら叶えてあげたい。
――もう結婚して何年も経つのに、いったいいつまでドキドキするんだろう。
まったく落ち着く気配がない。
――それもこれも、アクア様がずっと格好いいせいだ!
優しいし、笑顔は素敵だし、何事においてもリードしてくれるし、たまにちょっぴり意地悪だけれど……そんなところも含めて全部好きなのだけれど。
じぃっと膝の上のアクアスティードを見つめると、「ん?」と問いかけられる。
眠そうにまどろんでいる瞳に、やっぱり眠たいのだなとティアラローズは思う。ずっと頭を撫でていてあげるから、せめて今だけはゆっくり休んでほしい。
ティアラローズがサンドローズへ向けて出立してしまっては、こんなにゆっくり出来ないのだから。
「おやすみなさい、アクア様」
「……ん。少しだけ、ね」
ちゅ、と。甘く優しく口づけて、ティアラローズはおでこの髪を指先で撫でて、そこにも一つキスを落とす。
心地よい温もりのなかで、アクアスティードは寝息を立て始めた。
***
そしてあっという間に、サンドローズへ出立の日がやってきた。
フィリーネとエリオットが準備などをすべて終わらせてくれたので、あとは馬車に乗り込むだけだ。
「ティアラ、何かあっても絶対に無茶はしないこと。いいね?」
「もちろんです、アクア様」
「もしサラヴィア陛下に何かされそうになったら、遠慮なく魔法を使うこと。絶対だよ?」
「え、ええと……善処します」
他国の皇帝相手にあまり無茶はできないため、ティアラローズはあやふやに笑う。
すると、横からキースが話に割って入ってきた。
「お前ら二人を祝福してる妖精王の俺が一緒にいるんだぞ? 何があっても、ティアラを守ると誓おう」
「確かに守るという言葉は信頼出来るが……」
キースも別の意味でちょっかいをかけそうで、信用出来ないなとアクアスティードが睨む。とはいえ、この中で一番信頼出来る相手ではある。
妖精王である彼は身分がサラヴィアより上なので、もしティアラローズに何かしてきた場合は容赦なく追い払ってくれるだろう。
「……任せた、キース」
「ああ、任された」
アクアスティードが右手を差し出すと、キースも同じように右手を差し出し二人の拳がこつんとぶつかる。
二人にあるのは、ティアラローズを大切にしているという言語化出来ない想いだ。それは互いに認めているので、守るために託すという点においては、これほど安心出来る者もいないかもしれない。
それを見たティアラローズは、随分と気を許す間柄になったものだなと思う。
「キースとパール様もいますし、大丈夫です。サラヴィア陛下だって、公の場ではふざけたりしないでしょうし……」
「それはわかってるが、納得出来るかどうかは別だよ」
そう言ったアクアスティードにぎゅっと抱きしめられて、確かに同じ状況だったらどうだろうか。
アクアスティードに妖艶な美女が言い寄っていたら……そう考えるだけで、面白くないし不愉快だ。
――アクア様も同じ気持ちなのね。
「絶対に油断しません!」
「うん、約束」
突然気合の入ったティアラローズに笑いながら、アクアスティードは小指を絡めて約束をする。
しかし正直に言うと、アクアスティードは不安しかない。ティアラローズといえば、突拍子もない行動をするものだ。
「ほーら、そろそろ出発するよ子猫ちゃん」
「サラヴィア陛下!」
「ティアラとは違う馬車なんですから、サラヴィア陛下はさっさと自分の馬車に乗ってください」
ティアラローズ、キース、パール、フィリーネの四人で一つの馬車。サラヴィアは側近のイゼットと同じ馬車になっている。
サラヴィアは最後まで文句を言っていたけれど、そんなことをアクアスティードとキースが許すわけがないのだ。もちろん、男嫌いのパールも。
そんな話をしていると――一陣の風が吹いてクレイルが姿を見せた。
しかもその姿は長髪の美しい女性の姿だ。
「ちょっと、私に連絡もしないでマリンフォレストから出ていくなんて」
「クレイル!!」
慌てて声を荒らげたのは、キースの横にいたパールだ。
ここ最近は女装をやめて男性の姿だったというのに、いったいどういう風の吹き回しか。……と思うのだが、男嫌いのパールのためにしていることは一目瞭然だ。
ジト目になっているクレイルを見てパールは一瞬たじろぐが、強気に反論する。
「おぬしはマリンフォレストの音を好きに拾えるであろう? どうせ今回のことだって、自分で情報を得ているのであろう?」
「それはそうだけど、パールから直接聞きたかったのよ」
「拗ねるでない、仕方ないであろう。それにしても、またそんな格好をしおって……」
いい加減、自分のことは気にせず男の姿でいればいいとパールは言うが、クレイルの優先順位は自分よりもパールへの気遣いが高いから仕方がない。
「もう。私もサンドローズに行こうかしら? キース、私が代わりに行くからあなたは残りなさいよ」
「馬鹿言うな。行くのは俺とパールだっつの」
「融通がきかないわね……」
突如始まってしまった妖精王たちの言い合いに、アクアスティードはやれやれとため息をつく。出発前からこれでは、先が思いやられるというものだ。
とりあえず、クレイルも一緒に行くというのは却下だ。
「クレイル」
「もう、わかってるわよ。アクアスティードったら、怖い顔」
「……まったく。さすがにそろそろ出ないと、宿泊する街へ着くのが遅くなる」
アクアスティードの言葉を聞いて、「そうね」とクレイルは息をつく。
そしてすぐさまパールを見る。
「パール、気をつけてね。サラマンダーと会うようなことはないだろうけれど……何かあれば、すぐに知らせてちょうだい」
「わかっておる。心配せずとも、問題ない」
「それじゃあ、出発するか」
パールが返事をし、キースが声をあげる。
二人が馬車に乗り込んだのを見て、ティアラローズはいっときの別れを惜しみアクアスティードへぎゅっと抱きついた。
またすぐ会えるけど、やっぱり寂しいものは寂しいのだ。
「いってきます、アクア様」
「私もすぐに向かうから、大人しく待っているんだよ?」
「はい。では、いってまいります」
「ああ」
ティアラローズがふわりと笑うと、アクアスティードが優しくその唇にキスをする。恥ずかしいけれど、しばらく会えないことを考えるといいか……と思ってしまうから不思議だ。
名残惜しげに唇が離れて、今度こそティアラローズは馬車へ乗り込む。すぐにフィリーネも乗り、出発する。
馬車の窓から顔を覗かせ、ティアラローズは手を振った。
さあ、サンドローズへ向けて出発だ。