田畑希夏②
頼んだものを食べ、川上さんに送ってもらった。
「……川上さん」
「ん?」
「……さっきの、本当なんですよね……」
「ノノカのこと?」
「……うん。」
「本当のことだけど、信じたくなかったら信じなくていいからね。」
「……うん……」
車のドアを閉めようとした時だった。
「……あ……」
川上さんが前を見て驚いていた。
「川上さん?」
川上さんが指を指した方を見る。
「……!?」
希夏が他の男と抱き合うのを見てしまった。
「小篠くん……」
「……」
俺はもう一度川上さんの車に乗った。
「小篠くん!?」
「……川上さんこの後まだ仕事あるの?」
「ないよ?」
「家帰りたくない。川上さん話し相手になって」
「……しょうがないなぁ。明日学校どうすんの」
「行かない。」
「ε-(´∀`; )わかったよ。」
車を走らせた時、希夏がこっちを見ていたような気がした。
川上さんの家に来た。
「狭いけど……」
「んーん。ワガママ聞いてくれてありがと。」
「いやいや、お風呂やってくるね。」
「ん。」
川上さんの家でゴロゴロしていると電話かかってきた。
もちろん希夏からだ。
『あ、もしもし翔太?今どこ?会わない?』
「……ごめん、今は……忙しい」
『え、なんで?会いたいよ』
「……ごめん。」
俺はそう言って電話を切った。
「あれ、小篠くんどうしたの?」
「希夏から電話かかってきただけ。」
「何か言われた?」
「んーん、会おうって。」
「会うの?」
「会わない。」
俺は川上さん家のお風呂に入っていた。
「……小篠くん」
「おやすみ、川上さん」
酷く疲れていた俺はすぐに眠りについた。
「しょーくん、」
「翔太」
『どっちを選ぶの?』
「俺は……………」
「萌咲、しょーくんのこと大好きだよ?」
「私だって中学の時から大好きだったのよ?」
「……………。」
俺は……その……。
────のくん……
「小篠くん!!」
ハッと目を覚ました。
「川上さん……?」
「やっと目を覚ました……ずっとうなされてたんだよ。」
「……希夏と萌咲が出てきたからかな……。」
「大丈夫かい?」
「うん、大丈夫……今何時?」
「6時半だけど…………… 」
「……学校行くよ、俺。」
「うん、分かった。夕方またよろしくね。」
慌てて自分の家に帰り、制服に着替えて学校に行った。
「しょーくんおはよっ!!」
萌咲が後ろから飛びついてきた。
「……萌咲っ……」
「しょーくん、お返事は?」
「……もうちょっと、待ってて欲しい」
「しょーくん彼女いるでしょ?」
「……何で!?」
「……萌咲分かるよ。何となく。」
「……………うん。 」
「萌咲待ってるね。しょーくんが萌咲の方見てくれるの。 」
「え!?」
「萌咲待てるよ。しょーくん騙されてるから。」
「……え?」
「ふふふ。じゃあね。」
萌咲はスキップしながら教室に入っていった。
……騙されてる……?