プロローグ
俺は玄野雄介。剣道部所属の高校1年生だ。
夏休みになってから早1週間が過ぎた。部活がない日は友達と遊んでばかりで、夏休みの宿題には一切手をつけてない。まあ、大丈夫だ。
とりあえず、今日は家でのんびり過ごしてるんだ。
「よいしょっと…」
俺はベッドから起き上がる。壁に立てかけてある時計を見ると、午後9時35分を指していた。
既に風呂には入ったし、夜ご飯も自分で作って食べた。
なんで自分で作ったのかというと、父親は昨日から一週間の出張、母親は小学6年生のとき、事故で他界。妹(中学2年生)は、部活の合宿で3日間いない。
つまり、1人だからだ。
明日になれば、またきつい部活が始まり、指定された時間に集合し、先輩から剣道を叩きこまれては家に帰る。
まるで、プログラミングされた機械のようだ。
「あーなんか面白いこと起きねぇかなぁ…」
呟いても返事が帰ってくることはない。何事もない平和な日常に何かしらのアクシデントを求めてしまうのは人らしい思考である。
ふと気づくと猛烈な睡魔が襲ってきたので、部屋の電気を消し、目を瞑り、先の暗闇に集中させる。
明日からまた、頑張ろう。
明日は先輩に勝とう、などと考えているうちに、意識は途切れてきたので、眠りに就くことにした。
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