表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワイルド・ワイルド・ガールズ  作者: 虹野サヴァ子
後編『月よりも優しい少女達』
82/123

九龍大夜総会 その3


「そう……ジョニーったらそこに無意味に出たり入ったり忙しかったのね……」


「無意味って事はないような……まぁ、結果からしたらそうだけど……」


 アルミは病院から出た時点でムーから連絡をもらったようで、その足でここまできたらしい。


 私達は事の顛末をアルミに話すとアルミも納得したようだった、この際はどこまで納得しているのかを追及するのはよしておこう。

 ちなみに今は車に乗っているんだけど、駐車している車を借してもらっている。


 というか駐車してあった車を勝手に乗りまわしている、カンザキさんが窓をぶち割ってという感じだ。

 ツッコミをいれたところ「これもメイドのたしなみだ」と一言で片付けられてしまった。

 これはビルを平気で爆破するアンダーソン商会にたいしてそんなささいなツッコミを入れる私がおかしいのか、それとも緊急事態とはいえ平気でこんな事ができるアンナさん達の常識がズレているのか?


 そんな中で、眉一つ動かさないでいるアルミはやっぱり大物のような気もしないでもない。

 そのアルミも病院の近くのビルが爆発しなければ出てこようともしなかったらしいのだけど。


「この騒ぎの原因が何であれ、ダイアをシャオロンは傷つけたのよ?許せないわ!」


「アルミがやる気満々いうのも何か気持悪いもんやな……」


 そんな話をしているとムーから通信が入る。


「皆さん、ご無事で何よりです。とりあえずモモちゃんが帰ってきました。無事です!」


「よかった。ムー、状況を教えて!」


「はい、ジョニーさん! ええと、テロを受けたという事でシドウが記者会見を開いてました。内容は要約するとクーロンの不穏分子がカイバーベルトの兵器を強奪しようとしていたと。街は街でウォン家とシャオロン一家率いる連合の仁義無き戦い状態で、テロだかなんだかわからなくて警察も軍も手をあがねいてるのが現状です」


「なんだかこんがらがってきたね……」


「……しかし、やる事は変わらない。シャオロンの制止と、エクレアとマチコの救出。そしてタイムマシンの破壊とグラントの保護だ」


「……グラントってジョニーの言ってたおじいちゃん?」


 アルミの言葉にふと思い出す。

 そうだグラントだ、グラントのじっちゃん曰く全ての黒幕はグラントのじいちゃん。やっぱりグラントなら何か知ってる?

 そういえばあの場にはそういえばシャオロンだけがいなかった、あれも今回と何か関係があるのか?


「ともかく確かな手がかりは今のところシドウ、今はわかりませんけど緊急の会見ならテレビ局にいたでしょうしシドウを押えればタイムマシンとエクレアとマチコさん、グラントのじっちゃんって芋づる式にわかるかも」


「……やはりそれしかないか」


 カンザキさんがチラリとナビに目をやるとしばらくして、キッと車が停車する。


「こうなったらどうにもならんやろ?ともかく私達がシドウの方に行ってみるわ」


「アンナさん!」


「適材適所や、もともとメインは私達二人やしな。それにこの状況はどっちかというとそっちの方に人をさいたほうがええやろし。ロサが動くにしても状況からこっちの方やろしな」


「あ、そういえば。ロサの能力なんですけど……」


「あ、ええよ。言わんとも」


 私が推理したロサの空間爆破の理由をアンナさんは聞くのを拒絶した。


「気がついたんですか?」


「いや、皆目検討もつかへん。でも、なんやろな。私の通す仁義でも言うんか? それに言ったらいかん事もアイツは言うたしな、そんなわけでアイツとの決着にはどんな形であれ誰にも手を出してほしくないんよ」


 ……よくはわからないけど、これはこれでアンナさんの乗り越えなければいけない壁なんだろう。


「はい……よし、行くよアルミ!」


「ええ、私はもとよりそのつもりよ」


 私とアルミは車から降りるとアンナさんの顔を覗き込んだ。

 どう言葉を差し出せばいいのかわからなくて、私はとびきりの笑顔を作ると親指をグッと上げて見せた。

 アンナさんも飛びきりの笑顔を返しながら、同じように親指をグッと上げた。

 なんだかそれだけで安心して、そしてアンナさんはマチコさんの無事を疑う事もしてないないんだと理解した。


 そう、私もアンナさんも同じ。

 現実と直面するまで私達は戦い、仮にそうだとしても相手を信じる。

 信じた相手がどうであれ、その信じるまでにいたった過程は何事にも変えられないもので。

 それはどう否定しようともお互いの間でできた大切な絆なんだ。


「よかった……」


 私の思いと同じなのだろう、アルミは遠くを見つめるように一言呟いた。


「私……ドロシーと合流しないと武器がないもの……」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ