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ワイルド・ワイルド・ガールズ  作者: 虹野サヴァ子
前編『太陽よりも激しい少女達』
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失われし砂漠の遺産 その2


「悪いけど」


「あなた達には神の裁きを受けてもらうわ!」


 ゲゲッ! さすが限度を知らないエジプティアの人、いきなり襲いかかってくる気まんまんだ!


「ファラオ(りょく)プラス!」


「ファラオ(りょく)マイナス!」


 なんだ、なんだ、ファラオりょくってなんだ!?

 よくわからないうちにねーちゃん達がオーラ的な物を纏って発光! エジプティアの人達ってみんなこうなのか!?


「と、とりあえず戦っていいのかな!?」


 エクレアもしどろもどろ、私に聞かれても困るってば。


「「ファラオ磁気嵐クラーーッシュ!!」」

 

 スゴイ息の合い方で肩コリに聞きそうな技名を叫びながら回転して突っ込んでくるねーちゃん達。コワイ!

 空気が震えている。

 肌で感じられる、この技の破壊力!!

 私とエクレアもマヤもすんでの所で強烈なエネルギーを放つ二人を避ける!


 ズドドドーーーン!!!

 轟音を立ててピラミッドの階段を粉砕する、彼女達のファラオ磁気嵐クラッシュ! 正直、素手でなんて威力だ……。

 煙の中からゆっくりと立ちあがる二人。


「ああっパトラ。ピラミッドが!」


「クレオ姉さん、クソッ、アイツ達なんて事を!」


 そして慌てふためく二人。まぁ、ご先祖様のお墓を壊した事になるからね……。

 あと、私達はこれといって何もしていない。


「よくもやったわね!!」


「もう許さないんだから!!」


 ここまで来るとおきまりとも言える台詞を叫びながら目にさらに怒りの炎を燃え上がらせる二人。


「ちょっとジョニー! なんとかしてよ、あのマジキチな二人!」


「そうですよ、ああいった不条理系の人はジョニーさん担当ですよ!!」


 エクレアとマヤが無茶苦茶な事を言い出してる。

 正直、ここまでヒドイうえに強いと私だって手を出したくない。


「ちょ、ちょっと待って何あなた達のその技。反則じみてるじゃない!」


 とりあえず、この二人の情報が知りたい。

 知り合いに、やっぱり素手で岩を砕く威力を持った人をしってるけどここまでデタラメじゃない。


「笑止! 心に宿ったツタンカーメン(たましい)をファラオ力に置き換え」


「そしてそのファラオ力をアメンホテプ闘気(エナジー)にして全身にまとい、拳に乗せて攻撃するだけの事!」


 クレオとパトラは親切にそう説明をしてくれてるけど、私達のような一般人には理解できない。到底無理。


「ジョ、ジョニーはそのツタンカーメン魂ってもってないの?」


「そういうエクレアは持ってるの!?」


「も、持ってるわけないじゃん!マヤは?」


「持ってたとしてもそんな得体の知れないものは封印します!」


 思わずつい正直に話してしまったのが運の尽き。

 クレオとパトラに今の会話をしっかりと聞かれてしまう。


「度重なる侮辱!パトラ、パワーをスフィンクスに!」


「いいですともクレオ姉さん!」


 火に油を注いだ、という言葉があるけど目の前の二人はまさにソレ。ここまでくるともうツッコミたくもない。

 明らかに二人のパワーがあがっていき、今ではそのファラオ力と思われる得体の知れない何かオーラみたいなのが肉眼で確認できる。


 でもさ、あれがファラオ力?

 なんかドドメ色のいかにも体に悪そうもやもやが彼女達からでてるけど……なんだかなぁ……。

 まぁ、いろいろヤバイ事には変わりないんだけど、肉眼で見えるようになったおかげでわかった事が一つ。

 二人の間に、そのファラオ力とやらが集中し、共鳴しあうように増加してるという事。


 つまりがお互いのファラオ力を上げ合っているのだ。

 ならば話しは早い、ようはどっちか片方を戦闘不能にしてしまえば彼女達は人数が減る以上に戦闘力を失うのだ。

 コンビプレーならばこっちだって負けてない。

 私はエクレアとマヤに目で合図をおくる。


「かかってきなさい、そんな変態的な技で私を倒せると思ったら大間違いよ!」


「キーーッ、目に物見せてやる!」


「燃え上がれ、私達のファラオ!」


 さらに二人の力がゴワッという音を立てて上昇する。

 凄まじいエネルギー量だけど、逆を言うなら撃った後のスキも大きいはず。

 彼女達の単純な性格なら私の兆発に乗ることも予想済み、どんな攻撃かはわからないけれどエクレアが銃で動きを止めるか相殺してくれれば当身で気絶させられるはず。


 不意打ちとエネルギー量にたじろいだけど、ファラオ磁気嵐クラッシュを見る限り彼女達の体術は一般人に毛がはえた程度、十分に対処できるはず。


「「我等のオリジナル必殺技を受けてみろ!!」」


 宣言するやいなや、さらに二人のツタンカーメン魂がファラオ力になり、それらがアメンホテプ闘気に置き換わり、それらが彼女達の手のひらに集中していく。

 説明はあってたっけ? ぶっちゃけ、どうでもいいのだけど。


「「ファー」」


「「ラー」」


「「オー」」


 彼女達がお互いの手を合わせ手にエネルギーを集中させる。

 私の予想が当たるなら、これは……まずい……。


「エクレア!」


 私が声を上げる。


「「波ーーーーーーッ!!!!!」」


 いろんな意味でやっちゃっている技だった、オリジナル要素は絶無だった。

 しかし、威力は折り紙つき。

 駄目だ、どうしようもない!! これは避けるのが精一杯!!!

 ダッと横っ飛びで避けると、はずみで取れた私のお気に入りの帽子がファラオ波に飲まれ、「じゅっ」と音を立てて消滅する。


 チュドーーーーーーン!!!


 そして当のファラオ波は光の線を描きながらピラミッド下の森へと直撃し大爆発を起こして、森に十円ハゲを作る、哀れな……。


「外した!?」


「姉さん!?」


 パトラはいい反応、それ以上にエクレアがいい反応!

 私の掛け声で、というか見ればわかっただろうけど相殺は不可能と踏んでクレオとパトラ達にむかって奇襲をかけていた。

 ファラオ波の威力は予想外だったけど、さすがにあれだけのエネルギー量の放出の後のスキだけは予想通りだった。


 パコーン!


 乾いた音がピラミッドに響き渡る。エクレアにショットガンの下で後頭部をひっぱたかれたクレオは昏倒。

 それに気を取られたパトラを後からマヤがしっかりと押さえつける。


「うしっ、大丈夫!? ジョニー!?」


「死ぬかと思ったけどなんとかね。っていうかあんた達、あんなのくらったら本気で死んじゃうじゃない!」


「それにすっごいギリギリの必殺技だよ!リスペクトすればいいとかいうレベル超えてるよ!」


 エクレアも怒ってる、なんか怒りがびみょーにズレてるような気がするのは私への信頼って事でまぁいいとしておこう。

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