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ワイルド・ワイルド・ガールズ  作者: 虹野サヴァ子
前編『太陽よりも激しい少女達』
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スーパーソニックジェットガールズ その2

「船はこちらで出しましょう。アルミ様、ダイア様をお願いいたします」


 セバスチャンさんの一礼に見送られ私達はアルミ達を追跡する私達。


「船は私とフェイフェイで足止めするです」


「フェイフェイ達がなんとか穴を開けるから、ジョニーはそこから船に忍び込むです」


「OKまかせて」


「それにしても空が飛べるって能力は便利です、初めて羨ましいと思ったです」


「フェイフェイ達が引きつけるから絶対にジョニーはみつかったら駄目だよ! 夜明けまでがタイムリミットって事で、それと忍び込んだら通信はできなさそうだから早めに帰ってきて~」


「わーってるよ、さすがに飛びながら戦闘機なんて呼べないし、見つかったらさすがにヤバイからね」


 とはいってもこの高度で飛ぶなんて初めてだ。

 加えてこの速度で追いつこうってんだから一瞬でも油断したらそのまま空の藻屑になってしまう。

 ここまでくるともう考えるのは後、とにかくアルミとエクレアを取り合えすだけだ。


「いい? ジョニー、ブラニーに見つかったり見つけたりしても絶対にキレたら駄目だよ。目的はエクレアとアルミの奪還だかんね! 通信機は常にオンね! 何かあったら言って!」


 フェイフェイが念を押してくる。

 私は黙ってうなずいた。


「さぁ、見えてきたです! ふんどし締めていくですよ!!」


 私はハッチを開いて空へと飛び出した。

 ぶぉつ! なんて風だ!? それに寒っ!!

 ほっぺたが風でぶわぶわともってかれる!っていつまでも自由落下してるわけにはいかない!


 私は剣の鞘にのっかるとダイアの乗っている船へと急上昇、私の大きさじゃレーダーには映らないし船底からなら目視される事もない。


「起動……ロンドニア!」


「発進! サルバトーレ!」


 私の頭上から二機が飛び出した。

 さぁ、ここからが本番だ! 今回も無人機との乱戦になるだろうから私はなんとか敵の攻撃をさけつづけなければならない。

 こっちの姿はレーダーには映らないだろうからとにかく流れ弾に注意すればいいだけの話、大丈夫!

 私ならやれる!!

 ……こねぇな。

 意外な事に迎撃はなかった。


「ドロシー、さっさと穴開けて!」


「そんな事をいっても適当に穴を開けるわけにはいかねぇっちゃよ! 機関部とかだったらっどうするっちゃか!」


「フェイフェイが叩くわけにもいかないからね~」


 そんな話しをしていると空間に座標がうかびあがる。


「エクスキューション……ワルキュリエ……」


 あれは、ダイアの戦闘機!

 あれが出てくるって事は無人機はなしか、いやダイアの性格からして姉の前でドロシー達を落として力をみせつけたいんだろう。


「姉さん……見てて……私の力で姉さんの物も手に入れる事ができるって事を」


 この台詞、ビンゴってところだろう。


「悪いけど妹さん、アルミは返してもらうっちゃよ!」


「そーそー、アルミがいなくなったら……ん……? あんま困らないけど寂しいからね!!」


 い、今のフェイフェイの間はいったい……

 フェイフェイの愛情表現なんだろうけど、今はそれは逆効果なのでは!?


「黙ればいいのに! 私に逆らうなー!」


 危なッ!

 私には気がついてないみたいだけど、さすがにネクストレベル機と言うだけの事はあって凄いスペックだ!


「そうやってなんでも力でどうにかしようとしてたっちゃ? ならお生憎だっちゃ! 自分より強い人を見た事なかったっちゃか!? そりゃそうっちゃよ、自分の家から一歩も出ないで仕方なくついてくる人だけを力でおさえてただけっちゃね!」


「何を知ったような! そもそも下品で下賎なものが私に意見だなどと!身の程を知りなさい!」


「だっちゃ、私をそう言うのならあなたの大好きなお姉さんも下品で下賎っちゃよ?」


「姉様はあなた達の事などなんとも思ってないでしょう。あなた方、見苦しいにもほどがあります」


「だっちゃ……こりゃ根が深いっちゃね」


 ゴシックスで牽制しながらワルキュリエに近づかせないようにさせるドロシー。

 動きが素早いせいか、ビットでのコンビネーションを思うように使う事ができないでいる。


「フェイフェイ!」


「あいよう!」


 それならそれでフェイフェイが動きを制限させればいい。

 飛び込もうとするフェイフェイ、その風に流される私。


「天が呼ぶ! 地が呼ぶ! 人が呼ぶ! 悪を倒せと私が呼ぶーーーーーーぅ!!!!」


 大声! しかも声量の多い透き通って響く声が飛ばされる私の耳に聞こえてきた、よく見れば空母のハッチが開いている。

 ……あ、チャンスだあそこから潜入できる。


 そんな事を思ってる場合じゃない、いや場合なのか? とにかくハッチの端っこに立ってマフラーたなびかせる謎の影! オレンジの頭にショートパンツに……ってあれゴーグルかけてるけどカナタさんだ……


「爆裂機動! レッツゴーーーーーゥ! バクテンオーーーーーーーッ!!!!」


 指をパチンと鳴らすとカナタさんの足元の宙空に座標が出現!

 飛び出さずに頭から腕を組んだ機体がゆっくりと回転しながらずずずいとせりあがって登場。

 派手だ……けど意味がない……それにカナタさんはハッチの端に立ったままで乗り込んでないし……


「ハッ!!」


 掛け声も高らかにカナタさんは迷いなくハッチからコードレスバンジーすると膝をかかえてくるくると大回転、そして都合よく開かれたバクテンオーのコクピットに着席!


「熱血美少女、夜叉姫! 出!! 陣!!!」


 そしてバクテンオーは頭悪そうにポージングまで決めた。

 意味がわからん。


「よっしゃあ! ダイアさんよ! このバクテンオーにドリルは無ぇのかい!?」


「ありません……そもそも、その機体の名前はRツェッペリンです……」


「なんだ、その舌を噛んじまいそうな名前?この機体はバクテンオー! あたしが決めた!!」


 なんか、やっぱりあの子……変……


「か……かっこいい……」


 い、いやフェイフェイ反応するな!!


「お、わかる奴は敵でもわかるねぇ! 悪をやらせるには惜しいぜ!!」


「どうやらフェイフェイが戦わなければならないようだね! さぁ、どうする夜叉姫!?」


「吼えればいいと思うぜ!!」


 サルバトーレとバクテンオーの間に稲妻が走った! かのように見えた。


「「おおおおおおおおおおっ!!!!!!」」



「……付き合ってらんないよ……とにかく潜入はできたからいいか」  


 フェイフェイはどこまでが真面目なんだか相変わらずわからない。

 そういう意味ではアルミよりやっかいだと思う。

 夜叉姫の吼えればいいっていう意味もわからないし…… 


「失礼ですがどちら様でしょうかな?」


 闇の中から声がする。

 私とした事が油断した、フェイフェイのペースにつられてここが敵陣のど真中ってだってのにボーっとしちゃって。

 いや、この際なら派手に動いてエクレアをあぶり出した方がいいか?

 私は剣を闇に向かって構えると、動揺した様子もなく闇から返事が返ってくる。


「……最近の若い者は不法侵入のうえに歳よりを剣で脅すのかな?」


 コッコッと靴音を立てて杖を突いた白髪の老人が姿を現す。

 隙だらけ、そう装っているわけでもなく普通のおじいちゃん、今更ながら周囲に気をくばるもののこのおじいちゃん以外に人は見当たらない。

 殺意や警戒といった武の心得がある人特有の拳気はないが、そのしわがれた顔の奥にある瞳は不快感こそないが見るものを圧倒する迫力に満ちていた。


「まぁ、いい。君はジョニー・ジョニー・マクレーン君だね。その様子だとお友達をとり返しに来たというところだろう、ついて来なさい」


 そういっておじいちゃんはきびすを返すと歩き始めた。


「ちょ、ちょっと待って! 何でまたそんな!?」


「私にも事情があるさ、来ないのかね?それならそれで私はかまわないが」


 罠ってわけでもなさそうだけど、この場合はかえって罠であってくれた方が気分としてはいい。

 これではあまりにも意味がわからない。


「あんた何者?」


「人の質問には答えずに、こちらには質問をなげかけるのかね? なら答えるかわりに君にも答えてもらわないとね?」


「……OK、質問は一つずつね」


 私は了承すると、おじいちゃんの案内する方へとついて行く事にした。

 もうこの際、毒を食らわば皿までだ。何が起きても起きた時に考えるしかない。


「さっきの質問だが、私はグラント。カイバーベルト社の会長を務めている」


「なるほど、って……」


 え~~~~~~~!!!と大声をあげようとするのを私は慌てて自分の手で口を抑えて我慢する。

 なんでいきなりそんな大物が出てくるのよ!?

 なんでそんな人が私の事を知ってるの?

 エクレアはツヴァイとドライが側にいるって事だからわかるとしても、話しの様子じゃ他にもいろんな事情を知ってそうだし。

 あ~、質問は一つずつなんて言うんじゃなかった。


「ではこちらの質問だ。ジョニー君、エクレア君は先ほど自分の出生について、今まさにあの二人から聞かされているはずだが、それによって君を拒絶するとは考えないのかね?」


 やっぱり、このグラントという人はこっちの事情を知ってる、それも根の深いところで。

 それに年のせいか質問がいやらしい、私が言葉にしたくない事をピンポイントで聞いてきやがった。

 本当はは言葉にし難いだけでできないわけではないのだ、ただそれがどういう物かわからないだけ。


「えっと……私は……ううん、きっとマヤもドロシー達もそうだと思うんだけど……やっぱりもうエクレアがいないと困るんだよ。それに私の場合、だからこそちゃんと話してしこりを残したくない。」


 そうだ……

 こんな簡単な事が何でわからなかったんだろう、きっとアルミ姉妹の事やブラニーの事、エクレアの過去とかいろいろあって頭が回らなかったんだ。

 私の考えなんていつだてシンプルだって事を忘れてた。


「それに……何があったってエクレアは私の一番の親友だから!」


「自分の父を殺した相手と知った今でもかな?」


「質問は一回ずつ、でもサービスで答えてあげるわ。私の父は死んでない……いや、もうこの先にどんな結末が待っててもかまわない。そうだ、覚悟は決めた! 後は進むだけ!」


「フハハハハハ! 何だねその理屈は?馬鹿かね君は?」


「失礼な! でも、いいわ。今は前に進むためだったら馬鹿でも阿呆でも結構よ!」


 そう言ったところでグラントさんの笑顔が消え、表情がこわばった。

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