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ワイルド・ワイルド・ガールズ  作者: 虹野サヴァ子
前編『太陽よりも激しい少女達』
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彼女達の日々 その2


 思えばフェイフェイも大丈夫なんだろうか……。


「でも、決める事ってこれくらいしかなよねぇ?」


「そうだね、掃除はジョニーがやっちゃうし。洗濯は個人でやるもんだしね」


「そういえば小奇麗です、ジョニーって実は掃除好きです?」


 好きかといわれれば、そりゃ好きではないのだけど。

 炊事を全部任せている手前と、ある程度へ矢が汚くなると掃除をしないと落ち着かなくなる習性があるのだ。


 そもそもこのクロックス、何度も言うけど狭い。

 掃除をしないといけない部屋が少ないのだ。

 一番拾いスペースである道場は基本的に物をおかないようにしているし、使い終わった後の雑巾がけも使うときのワンセットになっているから汚れようが無い。


 ところでどうして道場なんてもんがるのかという説明をしておくと、BBのようなおかしな運転なんかしなければ宇宙の旅なんてのはとんでもなく時間がかかる。

 超空間航法が確立されるまではそれこそ五世代もかけて隣の星に行くとかもざらだったと歴史の教科書で習ったもん。


 SF映画みたいにワープみたいな瞬間移動ができればいいんだろうけど、そんなないものをねだってもしょうがない。

 そんなわけで常日頃、身体を鍛えてなければならない私達にとっては身体を鍛えるスペースは必要不可欠。


 今回のアルミの故郷ラシア星へは十一日かけて移動する予定だし。

 ちなみにこういう中距離の移動は私達には珍しい。

 移動してはその近くでできる仕事を受注。で、また移動、とそれを繰り返すのだ。


 あとは風呂とトイレと倉庫とエンジンルーム、お風呂掃除はもちろん私。

 炊事しないからという理由はあるけど、お風呂は私の希望で作ってもらったからだ。

 シャワーとバスタブとトイレを一つにしたユニットバスの方がスペースは確保できるのだけど、私は最低でも小一時間はお風呂に入っている。


 お風呂が至福の時なのに、慌ててどっちかがカーテン越しでトイレを使うところみてたら興ざめもいいところ。

 そんなわけでこの規模の船では珍しくお風呂とトイレがわかれいている。


 ちなみに半身浴をすると額の汗が目に入って痛いので私はハチマキをして入るのだけど、ドロシーは私のハチマキに書いてある「闘魂」という文字を見てゲラゲラ笑っていた。


 単純にカッコイイと思って買ったんだけど、マヤも買う時にそれは微妙ですよと言ってた気がする。

 古典語はよくわからないのだけど、そうなると調べてみようかとも思う。


 あとは三人用のテーブルと椅子、テレビとゲーム機と小棚しかない、むしろそれ以上はおけない小さなリビングとそことカウンターでわけられたキッチン。

 それがクロックスの一階部分である。


 はしごで二階に上がれば、操縦デッキと私達の個別の倉庫にベッドしかない寝室があるだけ。

 厳密に言えば掃除をしなければいけなくなるほど散らかるのは、つまりはデッキしかないのだ。


 プリクラは船としては二周りは大きいから、そういった事情に気がついていないのだろう。

 余談だけど小型戦艦であるファルコは各員が使うスペースを各員が掃除するらしい、合理的な話である。


「まぁ、そんなわけで掃除と洗濯はいいよ」


「あ、洗濯はここの倉庫にある洗濯スープレックス230000を使ってくださいね!」


「……素敵な名前ね」


「でしょ、アルミちゃん! 名前だけで買っちゃったんだけどコンピューターが生地を調べて最適な洗剤を選んでくれるし、柔軟材を入れるタイミングもバッチリ! 脱水乾燥、アイロンがけまでやってくれるの!」


「すごい……フェイフェイ達も欲しい……」


「でも、なんでそんな商品名にしたっちゃかね……」


 やっぱり疑問に思うよね……まぁ、便利なんだけど。

 マヤも何故かこの洗濯スープレックス230000の話だと妙にイキイキとするんだよな。


「フェイフェイ思うんだけど230000円なの?」


「それが買った時は三万円切ったんですよ」


「私とジョニーも最初はそう思ったんだけど、本当にそれくらいのお値段だった、おすすめよ」


「むぅです、これはプリクラ復活のあかつきには是非おきたいです。ところでこの倉庫に生活必需品がおいてあるですね?」


 一階倉庫は生活用の倉庫なのでちょっと広い。

 といっても八畳しかないが、壁と言う壁に棚、あとは冷蔵スペースが置かれている。


「え~っと、ここらが洗剤の類でここらは乾燥食、ここが消耗品の棚だね」


「私は台所にはいらないからここの倉庫の事はよくわからないからエクレアに聞いて。あと二階は寝室以外は私達のロッカーになってるから、読みたい本とかあったら聞いて」


 間取りとしては道場が十畳、リビングが六畳キッチンが二畳、この倉庫が八畳でトイレ一畳、バスが二畳半。

 デッキ八畳、私とマヤの倉庫と寝室が三畳にエクレアの倉庫が五畳と小部屋が多い作りになっている。

 エクレアの倉庫がチョット大きいのは使う武器のため仕方ないのだ。


「なるほど、大体はわかったよ! んじゃフェイフェイはご飯の用意するね!」


「えっ、もう!?」


「ん、それはそうだよ! じゃあ、あとはフェイフェイに任せてね!!」


 そういうとフェイフェイはピョンピョンとはねながら台所へとかけていった。

「私はそろそろ船の操舵に戻りますね」


「私は銃の手入れとかしてるから倉庫にいってるね」


 私は、さてどうするかな?


「ジョニー、腕はあげたっちゃ?」


 ん、何か意地悪な言い回しのドロシー。


「私はついにコスト四を三体同時までまでいったっちゃよ?」


「へぇ……私は念願の羽を手に入れたよ」


「へ~~~っちゃ~~~」


「……戦るか?」


「受けて立つっちゃ!」


 板張りの、マヤが言うには日本古来の趣というらしい作りの道場。

 私はよくはわからないけど、このピンと張った空気と張り詰めた緊張感は私の好みだったりする。


 正直、そんなに大きな道場ではないけど私の炎などもヴァーチャルにつくってくれる割とハイテクな設備はつけてもらっている。

 というか、そうでもしないと私の炎を交えた剣術なんかはオリジナルだから練習のしようがないのだ。


「いつ以来だっちゃ? こうやってジョニーと戦うっちゃか?」


「さぁ~、覚えてないけど随分久しぶりじゃない? いつも言うけどそんなドレスのままで本当にいいの?」


「フン、それもいつも答えてるです。これはドレスじゃなくてユカタという古来の戦闘服です」


「そうだっけか? どうでもいいや!


「だっちゃ! いけっワンコ!!」


 ドロシーのカードが犬の形をなし三匹同時に私に襲い掛かってくる。

 ドロシーの戦い方は風雲遊戯という、召喚符術と合気道を組み合わせた、これまた全く新しい戦い方である。


 召喚できる十二の獣は、それぞれ出す順番が決まっており最初は小物からしか使役する事ができなく、その獣がやられるたびに言ってたコストが上がれば強い獣を召喚できるという。


 私は詳しくルールを理解してないけど場にカードを伏せておくと、召還獣が倒されると同時に新しく強い獣をだせるらしい。

 かといって無限にカードを出せるわけでもないようで長期戦に持ち込めば持ち込むほど強くなれるというわけではないらしのだけど、とにかく私とは真逆の尻上りな戦い方。

 私は慣れているので、そんなわけで短期決戦が理想。


「悪いけど犬は無視させてもらうよ!」


 ザッ、と犬を飛び越えて上段から剣を振り下ろす。

 と、思ったらさらに中に入り込まれて振り下ろした剣の手首を取られて、さらにそのまま背中に回られて手をぐるっとまわされる。

 おおっ、なんで私が宙を舞ってるんだ!?


 ドダン!


 受身は取ったものの背中に走る激痛、間を開けずに召喚された犬が私に襲い掛かってくる!

 犬にむかって剣を突き立てて身を守るものの、音も立てずに消える犬の光がドロシーの手元に戻っていく。

 これでさらに強い獣を呼び出せるようになったというわけだ、実に厄介である。


「私だって成長してるっちゃ!」


 次に呼び出された獣は牛。

 ブルルブルル唸り声をあげてそうな感じの暴れ牛、それに私のシャツが一部ピンクだし襲って来るんだろうなぁ……


「フレアボール!」


 私の放った火球は残った犬の一匹に直撃し、さきほどと同じようにコストとしてドロシーの手元へ。

 強い獣を呼び出されるというのなら呼び出す間もなく遠距離攻撃!


「もういっちょお!」


 さらに火球が犬を消し飛ばす、呼び出された牛が私に向かって突進してくる。

 でも、この狭い空間。牛はよくなかった。

 ドロシーの動きも制限される!


「こなくそー!」


 牛の頭をさやでひっぱたき、それを足がかりにして牛を踏み台にしてジャンプ。

 空中から火球をぶつけてやる。

 キョロエエエエエエ!

 さらに召喚された怪音をあげる鳥が私の顔面を捕らえた。

 べちゃ。


「何やってるっちゃ!」


 顔面から落ちた私を引き起こすと、私は再び宙を舞った。

 くそっ! まいったな、ドロシーったら接近戦も強くなってる。


「やるじゃな、フゴッ!」


 牛のしゃくりあげが私の脇腹を直撃した。

 怯んだところにドロシーの腕に巻きついた蛇の牙が私の咽下にせまってきた。


「勝負あり、っちゃ」


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