剥き出しの欲望 その9
「……理解されないお前の気持ちはわかる、でも人はそれを乗り越えた境地にこそ真の世界がある……」
「……わかりました、うぅつ……もう無理やりに……えぐっ……理解してもらおうなんてしません!」
説得してるし……D泣いてるし……。
さて、最後はリーダーのNなんだけど、おおっ!?
「お嬢ちゃん、そんなに恐がらなくてもいい。君はまだわからないから戸惑ってるだけなんだ」
そう紳士的に言いながら、どんどんモモちゃんを追い詰めていくN。
こっちからはNの後姿なんだけど、どうも対象としてNの股間がモモちゃんの目線の高さ……。
恐怖の顔であとづさりするモモちゃんといい、さっきの台詞といいこれはこれで別の犯罪を連想させる光景だなぁ……。
「が、がおー! がおー!!」
威嚇するモモちゃん、でもNにはせんなき事。ついにモモちゃんが壁に追い詰められ……そして躊躇する事なく、そのままの姿勢で接近していくN。
「あかん! やめさせるんや!」
そうは言われても、実はさっきから私達は一生懸命この透明しきりを壊そうと努力してるんだけど丈夫なんだよ!
「フーも手伝って!」
「そう言われましても……」
そんな事をやってるうちに……あーーーーーー!!」
「まったく……テメーいい加減にしな……」
ドン
音が響き渡りNが吹き飛ぶ。
「なっ……よくも!ストリーキングエクスティンクション!!」
吹き飛ばされたNのが剣によくわからないエネルギーを溜めて、たいへん嫌な技名を叫びながらモモちゃんめがけて狙い撃つ!
ドカーーーン!
「どうだ!私の最強の技は!!」
技名や本人の格好はともかく、私のフレアボールの1.5倍はあるかのような破壊力!
もうもうと立ち込める煙の中には立っているモモちゃんの影。
「やれやれ、お前さんの最強の技っていうのは怪我にもならねぇ撫でる事を言うのかい? 二万円もするタンパンは破れたがよ……」
よかった無事だ!
……ところでさっきからモモちゃんがイヤに饒舌になってるんだけど。
……あと、あのタンパンは二万円もしないだろう……
「あかん、スイッチはいってもうた!」
「スイッチ?」
「せやマヤ、言うたろモモはジャングルで拾たて。幼い頃から危険な動物に囲まれてたせいでな、自然と人間離れした判断力をもつようになったんや。名づけて危険を感じるとスターダスト二重人格!近頃はめっきりなかったんやけど……」
そ、そのまんまなネーミングだ、だけどわかりやすい。
「テメーは……このモモが裁く! スターモモ・ザ・ワールド!」
…………。
……。
……。
……。
…。
「あれはハッタリや、さすがに時間は止まれへん」
「……そうですか」
エクレアが疲れたように呟く。
「モーーーーーモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモ……」
そしてNに向かってモモ特有の手から怪光線の連打!その様子は丈太郎というよりベジータだ。
「モモォッ!!」
そして最後に巨大な怪光線を発射!よくわからないうちにNは黒コゲになっていた。
「たった一つ……たった一つのシンプルな答えだ……テメーはモモを怒らせた……」
さて、ヌード四兄弟は倒した! あとはデラーだけだ!
「役立たずどもが……しょせんは理解しあえぬ利害だけの関係、手駒という事か……」
言うとデラーの足元がさらにせりあがり巨大のメカが姿を表す!
「夢の達成のため! このデラー・ベッピン、このグラビアンでお相手しよう!!」
ちょっとした装甲車のようなロボットに乗り込むとデラーは私達に向かって突っ込んできた!
「危なっ!」
紙一重でかわす私達四人!
「あらぁ、これじゃ私の爪は通りませんね……それでは皆さん後はお任せしました!」
そういうとまたひょいと逃げてしまうフー、自分から協力しようなんて言っといて!
「んでも、私のパンチもキックも通用しそうにないですね」
マヤもそういって頭をひねる。
「私の銃もどうだろう? バズーカも無理だろうし、マザーテイストを使うと部屋ごといっちゃうよ?」
確かに、エクレアはこういう閉所での大物相手では動きにくいことが多い。
とはいえ、今回は相手が相手だからしょうがないか。
「夢のため! 夢のため! あと少しで成就なのだぁ!!」
「さっきから聞いてれば夢、夢ってあんたはいったい何したいん!?」
アンナさんの言う通り、ヌード四兄弟とは目的が違うっていってたっけ?
「知れたこと、名づけて世界すっぽんぽん計画! 宇宙の全ての女性が服を着ている事がはずかしいと思考に植え付ける男の夢よ! 成功しだい、お前達二人をはえある最初に迎えてくれるわ!」
「「なっ!!」」
再び顔を赤らめて胸を隠すアンナさん、今回はマチコさんも恥ずかしそうだ。さっきがさっきだからちょっと以外……。
とはいえ、そんな計画、あと数年で私達もバッチリ範疇じゃない。
なんとしても止めないと……!
「しょうがない、やりたかないけどリミッターを解除するよ……」
「お、久しぶりだね」
「じゃあ、私達が時間を稼ぎます!」
マヤがそう言った瞬間にグラビアンの屋根からガトリングガンが出てきて、マヤを追うように撃ちまくる。
「ひぃぃぃ! なんでいきなりぃ~~!!」
可愛そうだけど、頑張ってもらうしかない。さて、と
私の周囲の空気の温度が私の剣を中心に急上昇を始め、私のアースウィンドアンドファイアの剣芯が炎に包まれる。