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ワイルド・ワイルド・ガールズ  作者: 虹野サヴァ子
前編『太陽よりも激しい少女達』
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剥き出しの欲望 その1


「あ~、なんかこうオモロイ事はないんかなぁ~」


「願ってもそんな事は起きないだろう、そのオモロイ事よりも仕事の手が空いてる事を嘆くべきだろう」


「マチコは真面目やな~、趣味は不真面目やのに」


「関係ないだろ! そんな事!」


「そのうちムーとミノルが帰ってくるからきっと何かあるんじゃな~い?ケッケッケ」


「まぁ、そやな。そういやあの二人はどこいったんやったっけか?」


「仲間の行動くらいは把握しておけ……先行調査でスニーキングに行ってるんだろ」


「そやったな、ムーが仕事で出だすったらそんなもんやしな」


「あはははは~」


「どうしたのモモ? 急に笑い出して?」


「BB、みれ!」


「んー、なになに? エジプティアのアイドル誕生の立役者?モモ、これのどこが面白いのよ?」


「さっきでてた」


「ん~、なにかしら?ん!?ケーッケッケッケ!これは面白いわ。何やってんのこの子達!」


「なんかオモロイ事でも……って何でジョニーが記者会見受け取るのん?」


「確かにジョニー達だな、なにやってるんだ……?」


「ただいま帰りました! あけてください!」


「あ、ムーとミノルがかえってきたよ」


「アンナ、開けてやれ」


「あいよ、それにしてもホンマ、なにやったんやあの子達?」


「帰還した……アンナ・何かあったのか?」


「知っとる顔がテレビに出とるで、ミノル達も見てみーや」


「あ、これジョニーさん達ですね。でも、何やってるんでしょう?」


「ケッケッケ、何でも流行りのアイドルと知り合いだったみたいよ」


「そうだ!ジョニーさん達に頼みましょう!」


「……ああ、ドロシー達には断られたからな……」


「どうしたのミノル、ムー?」


「杞憂だと思うが……。ムーの占いでもう少し人数を増やした方が良いとでてる……」


「三の数字が良を運ぶと出ています!」


「ふ~む、なんや大変そやな」


「人事みたいに言うな、それでどうするんだBB」


「ケッケッケ、まぁ久しぶりに彼女達にも会いたいしね。三人くらいの増員ならクライアントも何もいわないでしょ」


「じゃあ、らちる!」


「モモ……拉致って意味がわかって使ってるの?」


「キャトルミューティレーションですね! 心が踊ります!」


「ムー、それもなんか違うやろ……」


「ケッケッケ、そいじゃまアンダーソン商会しゅっぱ~つ!」


「「「「「サー!」」」」」







 人の欲には限りが無い。

 満たしても新たに欲は産まれ。

 結局のところ満たされる事はない。

 欲を満たせば人は幸福を感じるが

 欲を満たし続けてもまた人は不幸を感じる。

 欲望という名の螺旋回廊。

 人はその欲をを我慢できるからこそ人であり

 我慢できないからこそ人である。

 人の欲は人を図る一つの基準でしかないが


 その欲もまた一定の基準ではない。







「クレオとパトラの映画が封切られたみたいだね、あの二人はどこまでいくんだ」


 エクレア寝転がってせんべい食いながら雑誌の記事を見てつぶやく。


「うん、この前ね。もう見てきたよ」


 かなりぐーたらしてるエクレアだけど、私もぐーたら具合では負けてない、私は椅子におもいきりそり返ってテーブルに足を乗っけてコーラを飲んでる。

 行儀の悪さを考慮すれば私の勝ちだ!


「えー、せっかくだから三人でいきたかったのに」


 登場がアレだったし、アイドル姿もアレだし、私達はあまり良い印象を持ってなかったけど、普通にしてたら美人である。

 とりあえず私はレンタルでいいよ、とだけ言ってぐーたらモード再開。


「ケッケッケッケ、相変わらずみたいね」


 いきなり不自然なまでに不気味な笑い声がクロックスの中にこだまする。

 私じゃないし、急にマヤが壊れてしまったわけでもない。


「「「BB!」」」


 私達の声に反応するように船内モニタに声の主であるBBが映る。

 相変わらずという私達にいうがBBも相変わらず、不必要に露出があるえっちくさい格好。

 加えて、その格好に負けずおとらずのナイスバディで明らかにお色気担当なこのBB。彼女は私達の先輩である。


 本名、ブリ・ブラ・アンダーソン。

 通称BB、何があっても笑顔を忘れない人当たりのいい人でこの通信の先である小型戦艦ファルコ号の所持者だ。

 容姿端麗、成績優秀、そして運動音痴とスペックとしては文学少女としてのそれなのだが、さっきも説明した通り、キューティクルなロングヘアもあいなって、やぼったいからかけ離れた格好をしている。

 さらに実家が武器商人という事があってか文学少女はハッカー少女としての道を歩んでしまい。魔女のようにケッケッケという笑い方のため笑顔を絶やさないという長所は不気味さを助長する短所へとはやがわり。

 ちなみに今回の通信ももちろんハッキングだ、もう言うのも疲れたのだが。

 BB……それは犯罪だよ。


「ケッケッケ、駄目よマヤもう少し固いファイヤーウォールをはらなきゃケーケケケケ!」


「あ、はい。頑張ります」


 いや、マヤそこはそうじゃないだろう……。


「まいど、ジョニー。元気しとるようやな、エクレアも変わりないみたいやな」


「アンナさん!」


「はい、変わりないです」


 BBの間に割り込んできたこの変な喋り方の彼女、彼女の名前はアンナ・パキン。

 見た目だけをいうならBBと正反対の彼女、つまりどこにでもいるようなお姉ちゃんだ。

 やっぱり私達の先輩であり、彼女もまたエクレアと一緒でスカートの中に武器を仕込む技術を持っておりエクレアにその技術を伝授した人でもある。


 ちなみに二人とも当然のようにこなすが私には原理がやっぱり理解できない、エクレアのを見てもどうやってるかわからないし、そのうち考えるのをやめた。

 だいたい私はそんなに武器を持ち歩くこと無いし。


「そちらも変わってないッスか?」


「おー、変わらへんで。ほれ、この通りや」


「こんにちはエクレアさんお元気ですか!? 体に異常とかみられませんか!? 突然目が発光したりとか!」


「うわっ、ムーだ!」


 アンナの言葉が終わると同時にカメラにがぶりよる、私達と同じくらいの歳のかわいい系の顔立ちのこの子。

 名前をムー・ロズウェルという。

 エクレアに惚れている……というわけではない。

 異常なまでに神霊、不思議、未確認、といった電波系の趣味を持っており、記憶が無いという事だけでエクレアを未知の生命体と信じきっており研究対象として非常に熱をあげている。


 思い込んだら一直線、というより最初から何も見えていないムーは不思議な事に対しては本当に異常なまでの探求心がある。

 ちなみにスカートの秘密を初めて見た時にアンナのスカートに顔を突っ込んで九割殺しの目にあったという伝説を持っている。

 いろんな意味で難儀な子である。


「あまりはしゃぐなムー……三人とも元気そうだな」


 ムーを押しのけてカメラに割って入る綺麗な顔立ちの兄ちゃん。

 名をカンザキ・ミノルという。

 顔立ちは良く、背も高く、性格は渋く、声もセクシーでさらに実力も有るという、ヒロイックな出会いにあこがれるちょっと頭の弱いお姉ちゃんなら顔を見ただけで妊娠してしまいそうな性能を誇っているカンザキさん。

 ただ、大きな問題がある……。


 そんだけ素敵な要素がそろっているのに、なぜか服がメイド服。


 別に女装癖があるというのではなく、メイドの格好を公私ともにメイド服。

 ちなみに一度『なぜメイドなのか?』と聞いた事があるんだけどカンザキさん答えて曰く


「何を言う……機能美に溢れた型、美しい紺や黒のブラウスに映える純白のエプロンとの対比……悪い印象を与える要素はない……加えて職業上のイメージからくる規律正しく、芯の強そうなイメージ。仕事を受ける上で有利この上ない……皆にも着用を勧めたが断れるのが理解できない……ジョニー、お前もわかっていない……メイド服の良さを何もわかっていない……」


 と、渋く答えられた。カンザキさんにはそれは女性しかきれない服であるという考えは一切ないようだ。

 ちなみに一時期マヤにご執心で、しつこく先ほどのようにメイド服の良さを型っていた。最近はあきらめたのかないけど一歩間違えば犯罪者、いわゆる犯罪者予備軍の人格破綻者である。


「ジョニー、エクレア、マヤ、モモだよー」


 ムーと同じように画面にかぶりついたこの娘ッ子。

 幼女から毛が生えたくらいの少女で、何でこのファルコ号に乗っているかというと仕事先のジャングルで野生化しているところを保護し、成り行きでアンナさんが育てる事になったらしい。

 一見、普通の女の子なのだが彼女には秘密がある。

 それは自由に空を飛べる事と手から怪光線を放てる事という不思議能力を持っている事だ。

 ちなみにBBがあれこれ調べたけど原因は不明、不思議大好きのムーは既に調べられたからという理由でモモに興味はないらしい。

 やっと言葉を覚えたばかりなのでしたったらずな喋り方なのだけど、アンナさん曰くモモにはもう一つ大きな秘密があるらしい。


「モモ、大人しくしなさい」


 ファルコのメンバーで最後の一人、眼鏡の似合う凛々しい顔の彼女。

 元軍人という経歴で見かけ通り固い性格で固い喋り方、加えてナイスバディ、ストイックな美人キャリウーマンを絵に書いたような彼女。名前はハセガワ・マチコという。

 ファルコのメンバーの良心のように見せかけて残念ながら彼女もトンデモ性格をしている。

 実は彼女には別の名前がある、その名は華咲桜湖。別に暴走族の当て字といわけではない。


 けっこうそのままに、はなさきさくらこと読むらしい。

 一般人には理解できない美少年の妖艶で耽美な世界を描くアマチュア漫画化界の大御所!

 というと聞こえはいいけど用はホモ同人作家であり、ピンチになるとエクレアを強制連行しては手伝わせる。

 エクレアはそれをこう表現する、いわれのなき拷問と……。

 さらに可愛い物好きであり、一度スィツチがはいると人が変わったように……いや、やめておこう。


 というより変わってしまいクールビューティーからやはり犯罪者予備軍の痴女になってしまう欠陥人間だ。

 異常、じゃなくて以上六人からなるBBを中心としてアンナをリーダーに据えたなんでもやの個人事務所、アンダーソン商会の全員である。

 んで、コイツ等は何のようがあるんだろう?


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