星空に戦う その6
「うおおおおおおお!!!」
私は力が戻ったかのように鋭く剣を振り下ろす。
「うわ、まだこんな力が! 凄い!」
あいも変わらず攻撃は当らない。
シドウも驚嘆の声をあげるも、恐れとかじゃなくて私の根性に対してあげられたもんだ。
倒す手立ても思いつかないってのに気持ちだけは充実してる。
「いや、これはもう死んでもらわないとどうしようもないですね。でも、ジョニーさんあなたの事は忘れませよ。新しい世界のあなたには是非挨拶させていただきます」
「余計なお世話だ!」
私の攻撃はあたらず、変わらずシドウの攻撃は私に直撃する。
気持ちだけはあっても意識はもうろう、殴られて顔も酷い事になってるんだろう視界も最悪だ。
目にうつるのは鬼の形相のシドウだけ。
どっちの手で殴られてるのかもわからん、それでも私は怯まず攻撃する。
コイツを倒さないと。
「あなとの死は私の中で生きます、過去の世界でまた会いましょう」
バキッ!
何かおかしな一発をくらった……
あれ……?
また視界が揺らぐ。
駄目だよ私、もう私だけがどうこうってわけじゃないんだから。
さっきわかったじゃん……
ほら……コイツを倒さないと……
グラグラの目線の先にシドウの振り上げた拳が映る。
「ジョニーーー!」
今度はエクレアが支えてくれるのかな?
そう思ったところで視界の中に緑の頭が映る。
今の声は幻聴じゃなかったんだ。
バキッ!
今度の音は私が殴られたんじゃなくて、私の間に割って入ってきたエクレアが殴られる音。
何でエクレアが殴られてるんだ?
わからない。
思えば何で私は戦ってるんだ?
宇宙のため?
いや、そんな大それたもんじゃない。
さっき思ったように私達の未来のため?
いや、それもあるけどそれも違う。
そもそも、私は何で戦いはじめたんだ?
父さんと母さんがいなくて、姉ちゃんが悲しい顔をしていて、兄ちゃんがそんな姉ちゃんと私を励ますように頑張ってて。
私はそんな兄ちゃんが痛々しくて独立しようと思って。
もとを正せば父さんと母さんがって思って、それでこの仕事について。
ん……いない。
何で父さんと母さんがいない?
タイムマシンの事故で?
それでいない。
その時にブレンダがおかしくなって、ブラニーが悲しい思いして。
何が原因なんだっけ……?
エクレアが記憶喪失になったってのもそれが原因で……
エクレア!?
何でエクレアが殴られて血を流してるんだ!?
誰がやった!!
原因……?誰……?
目の前にはコートの男。
何だコイツは!
誰だコイツは!!
なんなんだコイツはーーーーーーーー!!!!
「おや、エクレアさん?」
そうだ、宇宙の存亡とか未来とかそんなもんのために戦ってるんじゃない!
私はいつも自分の大切な人のために戦ってたんだ!
「おや、エクレアさん?」じゃねぇよ!!
思い返してみれば!
「全部! 全部!! お前のせいじゃねぇかぁああああああああああああああ!!!!!!!!!」
ブチッ!
私の中で何かが弾けた。




