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ワイルド・ワイルド・ガールズ  作者: 虹野サヴァ子
後編『月よりも優しい少女達』
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星空に戦う その4


「ブラウニーというですよ、彼女の本当の名前。でも、私が父親のようなものですからね。ここまでくる私のモチベーションの維持のためにもあなたとブレンダの名前をあやかって付けなおしたんです。もともとの名前も近いですし、別にいいかなと思って」


「別にって……よかねぇだろ!」


「そうですか? 本人も気にいってましたし……ああ、その名前がもとであなたには特別な感情を抱いていたようで、それについては本当にすいません」


「私にあやまってもしょうがねぇだろうが!」


 もう、コイツと話していてもラチがあかない。

 私は宇宙を蹴ってシドウに斬りかかる、日本語が変だがこうとしかいいようがない。

 でも、相変わらずの便利コートによって斬撃はシドウにまで届かない。


「んにゃろ! これなら!」


 ならばとばかりにフレアボールを投げつけるも、コートをひるがえすだけでフレアボールは消されてしまう。


「反則だろ!」


 私が文句を言うと、同じようにエクレアも文句をつけていた。


「銃の弾まで弾く事ないじゃん!」


 うおっ、銃の弾もきかないのかこのコート!?

 じゃあ、私の斬り下ろしなんてきかないような……


「このナノマシンコートは着用者の危険を察知し、防弾、防刃、耐火、耐冷といったあらゆる面において着用者を保護します。なのであなた方の攻撃は私達にまでは届きません」


 自信からか、それともマテリアの性格からか、とても親切にコートのスペックを解説してくれる。

 大きなお世話だけど、そこまで完璧だとお約束的な弱点だってある。


「ちなみに、無数のナノマシンはそれぞれで統制されているので支持するメインプログラム的な個所はありませんので弱点を探しても無駄です」


 ゲッ、マジで?

 それを期待してたのに……ってかそしたらこのコートって無敵なんじゃ……


「いや、勝ってに防御するってんならその防御能力を上回る攻撃をすれば!」


 私の起死回生の案はエクレアの表情を見る限り駄目っぽそうだ。


「いや、私も思ったんだけどさ。実はほとんどの銃弾をうっても防御されてんのよ」


「え、エクレアの火力でもだめだったの?」


「まぁ、アレなら話しは違ったかもしれないけどね。んでも、細々しいのでいくら攻めても駄目だった」


 そういってエクレアはマザーテイストトッピングに目をやる。

 確かに、最大攻撃力と普通の攻撃力との差がありすぎるといえばありすぎるんだけど。

 それでも無理か。


「まぁ、ちょっと最後に試してみたい事もあるんだけどね!」


 そういってエクレアはマテリアに走っていく。


「無駄です」


 余裕ぶってるのか、そのままの性格で喋っているだけなのか。

 とにかく、エクレアを気にする様子もなくマテリアはエクレアをいなそうとする。


 それをかわしてエクレアはパンチを繰り出すが、それはマテリアは避ける必要はない。

 フェイフェイのパンチですらガードしてくれるんだ、エクレアのパンチなんて当たるはずもない。


 しかし、これでわかった事も一つある。

 コートは防御はしこそすれ、攻撃力はほとんどない。

 攻撃は着ている人に左右されるのかもしれないけど、とにかくエクレアとマテリアでは攻撃力、むしろ戦闘経験の差がある。


 フェイフェイが豪快に吹き飛ばされるのを見ていたエクレアは、その様子を確認するように手を引っ込める。

 マテリアからの攻撃をひょいと避けるとゆっくりとマテリアのコートに手を伸ばして掴む。


「なるほどね、攻撃とコート認識しなければ掴む事はできるんだ」


 言ってエクレアはマテリアを一本背負いの要領で放り投げた。

 なにげにパワーはうちらの間で一番あるエクレア、これで地面に叩きつけられればマテリアでは立ちあがれないだろう。


「無駄です」


 しかし、コートがエアバックのように広がってマテリアを床に叩きつけられる事から守る。

 宇宙しかみえないのに床ってのも変な話なんだけど……


「私に対するは衝撃はすべてコートが防御します」


「そう、じゃしょうがないね!」


 言ってエクレアは再び銃を構える。


「ですから無駄です」


 マテリアの言葉なんて耳に入らないようにエクレアが走りながら二丁拳銃を撃ちまくる。


「もう、弾がきれるからこれで駄目ならもう駄目だ」


 言って撃ちまくるエクレア、しかしそれはマテリアには当らない。

 いや、防御されるわけではなくて。そもそも当っていない。 

 思って私はまさかと思った。

 マテリアを投げたのはあくまで伏線で、エクレアの狙いは!


「その最後の弾は私に当ってすらいませんが」


 ドガン!

 余裕をぶっこいているマテリアの後ろで大爆発が起きた。

 エクレアが狙っていたのは、マテリアではなく。さっき自分が放り投げたマザーテイストトッピング。

 火力の塊みたいなマザーティストトッピングだ、たとえ弾が出なくても、その装填エネルギーはとんでもない量。


「なっ!?」


 初めて表情らしい表情を見せるマテリア。


「これで!」


 背に受けた爆発からマテリアを守るように彼女背後に防御を集中させるコート。

 それでも自分に受ける爆風を我慢しながら放ったパンチはマテリアには届かない。


「残念でしたね、これでもうあなたに戦う術は残っていません」


 口調こそはそのままだけど、明らかに焦った感じのマテリアはエクレアに言い放つ。

 しかし、エクレアだってまだ負けてはいない。


「弾が無くなったら根性で戦うまでよ!」


 エクレアのパンチを防御した時に焦らず反撃していればマテリアだってまだ余裕はあっただろう。


 しかし、経験の差がここで出てしまった。


 パンチで突き出したてをそのままゆっくりと下ろしコートを掴むとマテリアをグルリと反転させる。

 コートの背中は燃えたままだけど、エクレアはそんな事なんてきにせずにマテリアを後ろから抱きしめる。


「なっ!」


「アチチチチ!」


 予想外の行動に目を泳がせて後ろに回ったエクレアを見ようとするマテリア。そして悲鳴を上げるエクレア。

 そしてその間隙をついてエクレアはマテリアにスリーパーホールドをしかける。


「ぐぐっ!」


「アチチチチ、んでも絶対に放さないぞ!」


 なるほど、確かに衝撃でもないし、密着してるからコートに反応される事もない。

 言うならばコートの性質の穴をついた一撃、そして一回しか通用しない奇策だ。

 じたばたもがくマテリア。


 でも、体格差と力の差はエクレアのが上。

 さらに付け加えるなら、ああもガッチリ決まったスリパーホールドは抜けられるはずもない。

 炎にやられたからか、それともさらに体重をかけたからか、エクレアが両膝をガクリとと落とす。


「むむむ……」


 締めから抜け出そうと、マテリアも地面に倒れまいと踏ん張る。

 バタバタと振られる手はまるでシドウに助けを求めるかのようだ。

 実際、そうかもしれないけどシドウは動かない。仮に動いたとしても私が全力でそれを阻止させてもらうけど。

 そして、ついに動かなくなるマテリア。


「や、やっと落ちてくれた……よし、じゃあジョニーそっちはよろしく……」


 いって疲れとダメージからか大の字に倒れ込むエクレア。

 無理もない、ロサとの連戦で受けたダメージだってほとんど回復してないし。ずっと火であぶりつづけられたようなもんだし。

お疲れエクレア、あとは私がコイツをブッ飛ばすだけだ!!



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