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ワイルド・ワイルド・ガールズ  作者: 虹野サヴァ子
後編『月よりも優しい少女達』
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振り向けば馬鹿がいる その3


「マックレーン! お前は私が!」


 そう、私もコイツとの確執が終わってないんだった。


「ねぇ、ブラニー。あんたのその羽があるとこの無人戦闘機って動かなくなるんじゃなかったっけ?」


「もう、バリアを張る必要もなくなったという事。もう止める事なんてできはしないわ」


 形が鬼になったという事か。

 まぁ、確かにこんな物みせられたらどうしようもないって思うのが普通だわな。


「世界の全ては巻き戻る、あなただってこの外にいればこの事さえ覚えていないのよ。それでいいじゃない!」


「よくない!」


 私達の会話に声がまざり、ニルギルスを撃った。


「エクレア!」


「やぁ、またせたね。BBから受け取るものがあってさ」


 そういって私の隣に陣取るエクレア。


「マヤパパからのコレの解析の説明とかね、理屈はわかったけど。とんでもない物よこれ。んで、そろそろ……」


 オデッセイを指さして答えるエクレア、いやとんでもない物なのはさっきから知ってるけど。


「というか、離れてたのにどうやってここまできたの!?」


「ん、ああ。ジョニーの姉ちゃんの友達の戦闘機の機能で。短距離間なら自分意外の機体をワープさせられるんだって。なにか相性があるみたいだけど」


 そんな話しをしているとバリアの色がかわり七色のマーブル模様になってしまう。

 明らかにこれは異常だろうと、見てとれる。

 あ~、なんかもうヤダなぁ。


「今度はなんだ!」


「ここ意外の時間を巻き戻す前段階だってさ、だからコレをとっととぶっ壊さないといけない」


「まぁ、やっぱりね……んでもこの子がそれをさせてくれるのかしら?」


「さぁ、ね。あとジョニー後で渡すもんがあるからブラニーをとっととぶったおすよ!」


 確かに考えたってしょうがない!

 今はブラニーと戦って倒す事だけを考えないと!


「お前達~!」


 ニルギルスが再び翼を広げる。


「いや、それはもう使わないんじゃなかったの!?」


「フライは全部飛び立った! それに今は外界と完全に分断された空間、だからもうかまわない。私の意味を知れ!」


 ブラニーは私と戦うという事で興奮しているわけではなさそうだった。

 私には理解できないけど、おそらくは悲願が達成されるのが間近に迫っていっるからだろう。

 やっぱり、私には理解できないや。


「ジョニー、私の名前はあなたをもじっただけ。あなたの名前に母さんの名前が混ぜられただけ。結局は私はあなたのかわり。それにすらなれない。だから私はあなたを否定しないといけない。私のニルギルスはあなたに当てつけたのよ。Nir Girls(自己証明)と」


 本当にこの子の憎しみは根が深い。

 それが、どう考えても私のせいじゃないのがなっとくいかない。

 んでも、そこまで鼻息荒く言われたらだんだんと自分も悪いように思えてくるから不思議だ。


「いや、そんなのジョニー関係ないじゃん、私の戦闘機の名前なんてBonapttli(めしあがれ)だよ?」


「そんなの知るか!」


 ああ、エクレアの言葉は的外れだけど、それは私も言っていいんだよな?

 なんだか何度も同じような押し問答をした気がするけれど、とりあえず言い返すか!


「こっちだってそんなの知るか!」


「だいたい、私なんて自分の名前がそんなに好きじゃないんだよ! なんだジョニーって! 私は女なのに!」


「それは違うぞジョニー!」


 ぶぉつ!


「な、なんで兄ちゃんがいきなり割って入ってくるのよ!」


「ハッハッハ、それはお前の兄ちゃんだからさ。というのもあるが、秘密はエクレアちゃんにBBが渡した通信機さ。身体に装着するタイプでね。そっちはこっちからしてみれば全く別の次元だからね普通の通信じゃ交信できないんだ。それに凄いんだぞ、バイタルとか会話のやりとりとか全部録音できるすぐれものなんだ」


 そんな機能の説明をされても……

 この兄貴はまぁ、何でもアリだからな。


「お兄さん!」


 ブラニーも兄貴に反応する。

 そういえば忘れがちだけど、遺伝子情報的な見解でいけば私達とブラニーは腹違いの姉妹みたいなもんなんだよな。


「ハッハッハ、いいね! いいね! その表現! ジョニーも頭におをつけて呼ぶんだ簡単な事じゃないか!」


「絶対ヤダ!」


「っていうか、ジョニーの兄ちゃんは何でわってはいってきたのさ?」


 話しが暴走しないようにうまくエクレアがコントロールしてくれた。これはありがたい。


「おお、そうだった。ジョニー、お前の名前は何だ?」


 この兄貴ついに壊れてしまったか……


「ジョニー、ジョニー・ジョニー・マクレーン。何だってんだこんな時に?」


「そう。で、俺はジャック・ジャン・マクレーンにあいつはジュリア・ジュディ・マクレーンがフルネームだ。で、父さんジョン・マックレーンに母さんはジェニー・マックレーン。無頓着なジョニーは考えなかったかもしれないが俺達にだけセカンドネームがあるんだ」


 ああ、まぁ気がついてはいたけど気にはしないではいたな。


「実はな、お前は覚えてないかもしれあいが。父と母は仲が悪い」


 ぶっ!

 なんというか……兄ちゃんの存在がこの場にいないだけ余計に私達三人の場の空気がガッカリな物になる。


「いや、ほら。お前がなんか父さんと母さんを美化してる感があったからな。今まで切り出す事ができなかった、残念かもしれないが事実だ」


「な、なにもそんな事を今言わなくてもいいんじゃないか!」


「いや、今っておく。そんな父と母だからな。名前を付ける時も大波瀾だった。父は俺の名前をジャック、母は俺をジャンとつけたかった。んで、さんざん喧嘩をしたあげく。どっちもつけようという事でジャック・ジャン・マックレーンという名前になったんだ。名前の前後で喧嘩になったのも言うまでもない。ジュリの時もそうでな。父はジュディで母はジュリアとつけたかった。順番は前回と逆になってジュリア・ジュディ・マックレーンとなったんだ」


 つ、つまんねぇ理由だ……

 え、どうしよう……

 なにこのガッカリムード、まるで三人とも御通夜に出席してるみたいな。


「んでな、ジョニー。お前の名前だが。父さんと母さんもさすがに反省したのか。自分達の名前をもじってつけようち。んで、ついた名前がジョニー。お前の名前の由来だ。上の二人がセカンドネームがついてるのに、お前だけジョニー・マクレーンじゃさみしいからという事で2回つけてジョニー・ジョニー・マクレーン。それがお前の名前の由来だ。すげーたいしたもんじゃないぞ。俺もジョニーも」


 た、確かに……

 目標としてやっきになっていたから、その目標がどんな人達であるかという事をすっかり忘れていた。

 まさに、灯台下暗し。

 私の……さらにあの兄と姉の親なのだ、まともなはずがないのだ。


「とりあえず、何が言いたいのかというと。あまり期待しすぎるな二人とも。得てしてどんな親だってそんなもんだ。でもな、キレイキレイで固めた物はきっと面白くもなんともないぞ。だからお前達も仲良く喧嘩しろ。じゃあな」


 言いたい事だけいって、兄ちゃんは唐突に回線を切断した。

 そう、思えばいつだって。

 自分が振りかえっても馬鹿がいて、自分を振り返っても馬鹿がいるんだ。

 いつか思い出を振りかえっても馬鹿しかいないだろう。


 結局は笑うハメになるのなら。


 今、この瞬間だって笑ったもん勝ちだ。

 そう思ってニヤリとする私、エクレアもそれでこそという表情で笑い返す。


「いったいお前達は何で何もいわずにそういう顔ができるんだ……?」


 確かに、ブラニーにしてはそうか。


「「そうだね、強いて言えば……馬鹿だからかな」」


 私の返事にブラニーは困惑しながら続ける。


「……何をどうしてそんな理由になるのさ?」


 そんな事をきいてくるけど、もう言葉なんて不用だ。


「行くよ、エクレア!」


「お~けぃ、ジョニー!」


 私達二機が勢いよく飛び出す!

 構えるニルギルス。

 しかし、私達は無視して華麗に通りすぎた。


「なにっ!?」


「「馬鹿は相手にしてられないのさ!」」


 私はそのままオデッセイにつっこみ剣をつきたてる。

 ちょうど鬼の眉間に突き立てられた剣を目掛けてエクレアが銃撃を放つ。

 剣を始点にして鬼の顔に亀裂が入る、それは私達の戦闘機が入れるぐらいのスペース。


「このままぶっ込めー!」


「けっぱれー!」


「させるかー!」


 各々が声をあげる中で私達三機はオデッセイの中へと侵入した。


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