表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワイルド・ワイルド・ガールズ  作者: 虹野サヴァ子
後編『月よりも優しい少女達』
102/123

いつか完璧な輪になるように その6


「ドライちゃん!」


「駄目です姉さん……これからは二人で、そういったばかりじゃない」


 いわゆるネクストレベル機といわれた戦闘機。

 その戦闘機にはそれぞれに思えば能力があった

 そしてサグラーダの能力はビームの吸収である。


「あうっ!?」


 ビームを吸いきったところでサグラーダの腕が破裂する。

 通常の戦闘でならばともかく、ここまでの威力は想定された設計ではなかったのだろう。

 それでもなんとか最悪の事態だけはなんとか避けられた。


「大丈夫ドライちゃん!」


「うん、平気……それよりも姉さんはやくバリアをどうにかしないと」


 その言葉と同時にメメントモリが動く、さすがにあの巨大な一撃を放ったあとでは動きが鈍い。


「モモにおまかせだ!」


 戦闘機械獣マクベスの巨大な拳がメメントモリに直撃した。

 機体への損傷はないようだが、直接殴るというこの行為は衝撃となってパイロットであるマテリアをひるませる。


「えっと……確かあいつらこっちに!」


 バクテンカイザーがバリアに面して飛び立つ、それを追従する形でバーディクトとサグラーダが追う。


「……させません」


 メメントモリが動こうとした矢先、ボナペティエの銃撃がそれを捉えた。


「よっし、やっと当った!」


「悪いけどいかせないよ!」


 壁のようにそびえ立つ戦闘機怪獣マクベスをフォローするようにボナペティエと月凪がメメントモリの前に立ちはだかる。

 ヴァンピールとロンドニアはこれ以上サルバトーレがとばっちりを食らわないようにこの宙域から出そうとこころみる。

 そんなロンドニアの肩口に光線が突き刺さる。


「あうっです!?」


「……誰!?」


 撃たれた先を見れば、幾つかの光点が見える。

「危機の演出、クライマックスの常套手段、粗末な犠牲まで出したというのに。まだアンナは出てきてないのか?焦らす事によってえられるカタルシス、それはわかるがいい加減飽き飽きだよ!」


 そんなまさか!


 私とエクレア、そしてツヴァイとドライが目を丸くする。

 この声の主はまさしく。


「「「「ロサ!」」」」


「おっと、そこまでだ。生きていたのかなんて月並みな台詞は聞きたくないのでね。窮地は私の好むところ。このデュエルヴァルッアを持ってすれば、あの程度は何ともないのだよ」


 そして私の目の前でいくつかの光の点が合体しはじめる。

 もしかして、あの小さな光が……


「また、メチャクチャなのが出てきたです……」


 合体したかと思えば、表れたのはいびつな戦闘機、これがデユエルヴァルツァか!

 ロサと同じでメチャクチャだ!

 そして瞬く間に再びバラバラになる、合体した意味ねぇ!


「この十の私が君達をなぶり、死して私の名を思い出すのだ、このロサ・ペディエンヌの名を!」


「わかった手前は絶対悪党だ!!」


 馬鹿キターーーー!

 ロサが自己陶酔しきった自己紹介をしてくれたおかげで夜叉姫の正義魂に火がついた。

 変態には馬鹿が引きつくらしい。


「何だね君は! 世界観を考えたまえ!」


「爆裂! 爆天サイクロンキック!」


 ロサの言葉をまったく耳にせずにバクテンカイザーが分離したデュエルヴァルツァにきりもみキックを放つ。

 聞いた話によるとデュエルヴァルツァは10に分離する、加えて私達の戦闘機よりも一回り大きいだけ。


 そんな小さな的をそうそう蹴飛ばせるわけでもなく、デュエルヴァルツアの十の分離した体に囲まれて蜂の巣にされるバクテンカイザー。

 本格的に馬鹿だ……


「うおおおお! 燃えるぜ! 逆境ーーーーー!!」


 しかも馬鹿には危険を感じるという事はないらしい。

 確認するが、この子の職業はアイドルのはずだ。


「姉さん、いまのうちに」


「そうねドライちゃん、こんなのに構ってられないわ」


 バーディクトとサグラーダがユニットを目指して動き出す。

 メメントモリは動けず、ニルギルスは私が足止め、パッと出てきたデュエルヴァルツァは夜叉姫がなんとかしてくれてる。


「空間の歪み、姉さん! そこです、そこにバリアを散布しているユニットが!」


 ドライの言葉にツヴァイが向かう。

 しかし!

 バリバリバリ!

 巨大すぎるオデッセイにバリアを循環させるほどのエネルギー、バリアの出元というだけあって、その濃いバリアがバーディクトを近づかせまいと遮る。


「きゃう!」


 出所はわかったものの、そこから弾き飛ばされるツヴァイのバーディクト。

 その勢いもかなりのもので傷ついたツヴァイにはそれだけで気を失ってしまうんじゃないかと思うほど。


「姉さん!」


 ドライが受けとめると、やはり疲弊しきっているんだろう。

 か細い声で返事を返す。


「これは……まいっちゃいましたねぇ……」


 その様子を見ていた夜叉姫が気づいた。


「待ってろ! このカイザーの装甲と突進力なら!」


「そうはさせないよ!」


 しかし、分離したデュエルヴァルツァがそれを阻止する。

 いや、っていうかそれどころか!


「ん~、君達に直前で阻止される絶望を味あわせてあげようと思ったが。もう十分に絶望したようだ。なら、もう死んでもらうか?」


 デュエルヴァルツァの一部がツヴァイとドライの方を向く。

 これは、まずい!


「しょうがないですね、やっぱり人生うまくいきません」


 といっていきなりバーディクトが再びバリアの嵐に突っ込んだ。


「姉さん!」


「この怪我じゃ……実のところどのみち私は助かりませんから」


 かけめぐるバリアの本流がバーディクトの装甲を削っていく。


「とはいえ、こりゃ頑張っても無理ですかね……」


「いいえ、私もいるわ」


 いってサグラーダもバリアの渦に飛び込んだ。

 バーディクトを被うように立つサグラーダ、流れの芯にせまるほどその勢いは強烈になっていく。


「さっきも言ったのに……姉さんたら私がいないと駄目なんだから……」


「ドライちゃん……」


 いや、ちょっ……


 何この展開!? おい! 誰か止めろよ!


「そこそこに感動的だがね、カーテンコールの時間だ。未来永劫休みたまえ」


 バリアの流れを二人の機体が断った。

 まるで花びらが散るように、その付近のバリアの流れが止まり。

 そして、デュエルヴァルツァの一撃が重なり合う二人の機体を撃ちぬいた。







 


                                 Bey Bey Space Girls.

                                 See You Next Pranet!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ