STAGE2-3
【】で表現されているのはゲームの流れをある程度示す為の情報です。遊戯王等で言うと、モンスターの攻撃力やプレイヤーのライフが表示されるのと同じものだと思って下さい。例外的に新たなカードが出て来た場合、登場人物の台詞の中に現れることもあります。
【ステージ2】
「分かってるよ! わたしのステージ! ドローっ!」
【日由理の手札5枚 マナ5個 ライフ32500】
【日由里の使い魔】【白翼のニル 魔力1000 レベル1】
「わたしは今引いたカードをダイレクトリンクするよ!」
日由理は目の前の小さな魔法陣に2枚目のカードを置いた。
【日由理のフィールドレベル2 属性光】
「更にカードをドロー、そしてレベル2の【白翼の剣士リイン】をサモンだよ!」
その手に剣を持ち、白の聖衣に身を包んだブロンドポニーテールの美少女が日由理の左側に現れる。
【白翼の剣士リイン 魔力5500 レベル2】
「手札からレベル1のフォロースペル【光のワンド】を使うよ。わたしはステージエンドまで魔力が3000上るよ。そして、マジックフェイズ!」
日由理の力の入った言葉と共に、その前にあるカードの一枚が反転する。
「レベル2のアタックスペル、シャインバースト! 魔力5000に光のワンドの効果もあるよ!」
「…合計魔力18000!?」
ミルディアが驚きの声をあげた。日由理の放った光の塊が迫ってくる。だが、彼女は慌てずに手札のカードを反転させた。
「…マナを二つ支払い、カウンタールーン【スペルブレイク】発動……レベル2以下のアタックスペルかフォロースペルの発動、又は使い魔の召喚を無効にして…マジックソウルに送る…」
「ええっ、そんな!?」
日由理の放った魔法はミルディアに届く前に消え去った。
「はうぅ、残った使い魔たちじゃ攻撃が通らないよぅ……」
日由理は目の前に浮いている残った二枚のカードを見つめたが、何も出来ないと知ると、無念さを溜息に交えて言った。
「ステージエンドするよ……」
「……こちらのステージ、ドロー」
【ミルディアの手札5枚 マナ2個 ライフ32000】
【ミルディアの使い魔】【黒翼の戦乙女メイルダ 魔力7500 レベル3】
【黒翼の魔少女アリア 魔力4000 レベル2】
「…ダイレクトリンク…さらにドロー。…ファーストステップ」
【ミルディアのフィールドレベル2 属性闇】
「……マナが少ない…」
「さっきカウンタールーンの発動で二つも使ってたもんね~」
「……このカードを使う…」
【マジックドレイン レベル2】
「マナを一つ消費し、カードを一枚捨てる…あなたの場にいる使い魔一体を選び、そのレベルと同じ数だけマナを奪う…わたしは白翼の剣士リインを選択……」
「え、奪うって!?」
【日由理のマナ4個→2個】【ミルディアのマナ1個→3個】
日由理はリインと同じレベルの数だけマナが奪われてしまった。あんまりなカードの効果に、日由理はショックを受けてしまった。ミルディアは日由理の様子など気にも留めずに言った。
「マジックソウルに捨てたリニィのスキル発動……マジックソウルに存在するレベル2以下の黒翼を手札に戻す……リスティを戻してさらにスキル発動……リスティを手札から捨てて、デッキからリスティ以外の黒翼一体を手札に……2枚目の黒翼のリニィを手札に加える……」
「…えっと、何をしてるんですか?」
「……使い魔のスキルを使ってる…」
「何だか目が回りそうだよ…」
「……続けてアリアのスキル…デッキの上から2枚を確認……2枚目に引いた【黒翼召喚の生贄】を手札に加え、後のカードはデッキに戻してシャッフル……アタックステップに入る……」
日由理はいよいよ攻撃が来ると知ると身構えた。
「…アリアでニルを攻撃」
「え!? や、やだっ!!」
【白翼のニル 魔力1000 レベル1】
【黒翼の魔少女アリア 魔力5000 レベル2】
アリアがステッキから放った黒い波動がまっすぐニルに命中して、ちいさな天使は小さな悲鳴をあげて消えてしまった。
「うう、酷いよ、ニルを狙うなんて……あれ、でもライフが減ってない」
「使い魔を直接狙った場合は、マスターにダメージを与えることはできないんだよ」
そう言ったのは外野のファーラだった。それに続いてシャイナも言った。
「使い魔への攻撃は基本的にはディスアドバンテージにしかならないから、よほど邪魔な使い魔でもないかぎりやらない方がいいわ。それと、使い魔への攻撃に対しても他の使い魔の結界で守ることが出来るわ」
「そ、そうなんだ!? だったら結界でニルちゃんを守ればよかった…」
「魔力1000の使い魔をわざわざ守るのはどうかと思うけどな」
言ったのはファーラだった。それを聞いた日由理は少し考え込んでから言った。
「……だったら、あの人は何で魔力がたった1000しかない可愛いニルをわざわざ攻撃してきたんだろう?」
その疑問にはシャイナが答えた。
「それはニルが厄介なスキルを持っているからよ。もしリインの方が先に倒されていたら、ニルがマジックソウルに送られたときに、レベル2以下の白翼を蘇生させるスキルが発動してしまうからね」
「なるほどぉ」
日由理はようやく納得してステージの方に意識を戻した。その間ミルディアは律儀に待っていてくれた。
「……ステージを再開…黒翼のメイルダで攻撃……」
「リインの結界を使うよ!」
「マジックソウルに黒翼が2体いる…メイルダのスキルにより魔力1000アップ……さらに、リンクゾーンの【黒翼の魔女イザラ】のスキル発動、この使い魔がリンクゾーンに存在するとき、わたしのステージにの黒翼の魔力を……1000上げる」
「何かやたらとパワーアップしてる!?」
【白翼の剣士リイン 魔力5500 レベル2】
【黒翼の戦乙女メイルダ 魔力9500 レベル3】
メイルダは上空からやってきてリインの結界を付き崩す。リインは胸に黒槍を受けて光となり、マジックソウルに送られた。
【日由理のライフ32500→28500】
「……最後にわたしの攻撃…」
ミルディアが言った時、日由理は自分の手札の一枚を見て自分では気付かずに微笑していた。
――この攻撃は手札のシルバーラビーナでかわせる。
日由理の様子をじっと見ていたミルディアは、カード発動の合図の為に上げかけていた手を下ろした。
「……やっぱりやめた…ステージエンド…」
「え~~~っ、何で止めちゃうの!」
不満げな声を上げる日由理を見ながらファーラは言った。
「こりゃ悟られたな」
「あんな得意げな顔してたらねぇ。それにしても、イザラのスキルは強力ね」
「仲間の魔力を1000も上げるのは強いね。しかもリンクゾーンでスキルを発動するから、対処するのが難しいんだ」
圧されっぱなしの感が強い日由理だったが、シャイナとファーラはそろそろ何かが起こりそうな気がしていた。いよいよステージは後半戦へと突入していく。