表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女と銀の法札  作者: 李音
STAGE2 あなたは魔女ですか?
6/16

STAGE2-2

【】で表現されているのはゲームの流れをある程度示す為の情報です。遊戯王等で言うと、モンスターの攻撃力やプレイヤーのライフが表示されるのと同じものだと思って下さい。例外的に新たなカードが出て来た場合、登場人物の台詞の中に現れることもあります。

   【ステージ1】

「ファーストステップだよ! わたしの先行、ドローっ!」

   【日由理の手札6枚 マナ4個 ライフ40000】

「わたしは手札の二体の使い魔をサモンするよ! 来て、白翼のニル、ホワイトラビーナ!」

   【白翼のニル 魔力1000 レベル1】

   【ホワイトラビーナ 魔力0 レベル1】

 いきなりカードから実体化した使い魔が現れたので、ギャラリーは大いに沸いた。そんな中で、ファーラは半ば怒っているような調子で言った。

「バカ! いきなりニルをサモンするな! 少しは考えろよ!」

「だって、可愛いんだもん!」

 ファーラは苦笑いを浮かべつつ黙った。もうこれ以上言っても仕方がないと思ったのだろう。今は日由理の好きにやらせるより仕様がなかった。

「アタックステップに入って、わたしはレベル1のアタックスペルを使うよ!」

「……先行の最初のステージは攻撃出来ない…」

「あ、そうだったっけ!? じゃあ、これでステージエンドするよ!」

「……わたしのステージ、ドロー」

 ミルディアは少しの間手札を眺めてから言った。

「……ライフブレイク発動…」

   【ミルディアのライフ 40000→32000】

「え、もう使うの!?」

「2枚ドロー……」

 それを見ていたファーラは言った。

「嫌な予感しかしない流れだな……」

 ミルディアの前に浮かぶカードの一枚が反転して公開される。

「……レベル1のフォロースペル【ダークフォース】発動……ステージエンドまで闇属性のフィールドレベルが一つ上がる」

「フィールドレベルを上げた!?」

 日由理は驚きはしたものの、これからなにが起こるのかは予想もつかなかった。さらにミルディアのカードが反転する。

「……フィールドレベルが一つあがっているのでレベル2のカードまで使える……レベル2のフォロースぺル【黒翼召喚魔法陣(レイヴン・サモン・サークル)】発動…手札から黒翼を捨てて、それと同じレベルを持つ黒翼を……エクストラサモン!」

 使い魔がカードから飛び出すように出てくる。蝙蝠に似た漆黒の翼を広げ、黒衣に黒い胸当てを付けた長槍を持つ乙女がミルディアの左側に舞い降りた。美しい乙女の登場にまたギャラリーが沸き返った。

   【黒翼の戦乙女メイルダ 魔力7500 レベル3】

「え、えええぇぇっ!!? 何でいきなりレベル3の使い魔が出てくるの!? フィールドのレベルは一つ上がってるけどそれでも2だよ、ずるはいけないよ!」

 ミルディアは黙っていたが、日由理を非難するような目つきをしていた。そこでシャイナが言った。

「ずるなんてしていないわよ。この前のちょっと言ったけれど、エクストラサモンはマナコストとフィールドレベルを無視することが出来るのよ」

「エクストラサモンってなんなの?」

 日由理は少しいらついて、納得しかねると言いたげな顔をしていた。そんな日由理にシャイナは言い聞かせるような調子で答えた。

「エクストラサモンというのは、サモン以外の方法で使い魔を召喚する特殊な召喚方法のことを言うのよ。ミルディアは黒翼召喚魔法陣の効果で使い魔を召喚したわ。これはエクストラサモンよ」

 日由理はまだ少しばかり納得いかないという様子で何か言いたそうだったが、待ちぼうけているミルディアがそれを許さなかった。

「……ステージを続行する……わたしは更に、手札からレベル2の【黒翼の魔少女アリア】をサモン……」

 ミルディアの右側に、蝙蝠の翼を持つ黒髪ショートボブで、とんがり帽子を被った少女が降り立った。その右手には黒いステッキを持っていて、少女はそれで日由理を差して微笑した。その姿はミルディアに似ていて、小さな魔女という感じだった。

   【黒翼の魔少女アリア 魔力4000 レベル2】

「……手札の【黒翼のリスティ】のスキル…この使い魔をマジックソウルに送り、デッキから黒翼一体を手札に加える……【黒翼のリニィ】を手札に…」

「あ、その子可愛い!」

 ミルディアが公開したカードを見て、日由理は思わず言った。それには背中に小さな蝙蝠の羽をはやした長い黒髪で瞳が赤い幼い少女が描かれていた。ニルとまったく対照的な印象で、一言で表すならば子悪魔という様相だった。日由理はニルと同じくらい可愛いと思った。

「いいな、その可愛い使い魔ちょうだい」

「……駄目! ……アタックステップに移行…黒翼の戦乙女メイルダの攻撃』

 メイルダが黒翼を広げて上昇し、一気に急降下して日由理に向かってくる。

「ホワイトラビーナの結界だよ! ホワイトラビーナのスキルで、攻撃を受けるときだけ魔力が5000まで上るよ!」

「……こちらもメイルダのスキル発動…マジックソウルの黒翼一体につき、魔力500アップ…わたしのマジックソウルには黒翼が2体いるので……魔力8500…」

 日由理の前に広がった白い魔法陣は戦乙女の槍の一撃で砕かれ、ホワイトラビーナも槍の一突きの洗礼を受けて消え去った。

   【日由理のライフ 40000→36500】

「……続けてアリアで攻撃」

   【黒翼の魔少女アリア 魔力4000 レベル2】

 可愛らしい黒い翼の魔女がステッキを一振りすると、黒いエネルギーの塊が飛び出して、それが日由理に命中した。使い魔の魔法がさく裂して爆炎があがり、その派手な演出に観客は度肝を抜かれた。中には驚きのあまり声も出せずにただ呆然と突っ立っている人までいた。

   【日由理のライフ 36500→32500】

「……マナが0なのでアタックスペルは使えない」

 日由理はそれを聞くとほっとして言った。

「じゃあこれでエンドだね」

「……いえ、ファイナルステップ…マジックソウルの黒翼召喚魔法陣(レイヴン・サモン・サークル)の効果……マジックソウルの黒翼一体をデッキに戻し、シャッフル……」

 ミルディアから少し離れた場所にある魔法陣から、捨てられたカードの一枚がミルディアのデッキにひとりでに戻り、ホルダーの中のカードが目まぐるしく動いた。

「……シャッフルした後、黒翼召喚魔法陣をデッキの一番上に戻す…」

 日由理にはミルディアが何をしようとしているのかさっぱり分からなかった。

「さらに、アリアのスキル……デッキの上から2枚をめくり、黒翼召喚と名の付くカードがあったら手札に加える……」

 そこまで聞いて、日由理はようやくミルディアのしようとしていることが分かった。

「ちょ、ちょっと、それ!?」

「一枚目…当り、黒翼召喚魔法陣を手札に……」

「そりゃ当るよ! たった今一番上に戻したんだから!」

「……2枚目…【黒翼召喚鏡(レイヴン・サモン・ミラー)】…手札に加える…」

「ええっ!? また当った!!?」

「ステージエンド……」

「……むぅ」

 日由理は相手をとても恨めしそうに見ていた。まるで目の前で不正があったとでも言うような様子だ。日由理の心情を見抜いたシャイナは言った。

「別にミルディアはずるなんてしてないわよ」

「だって、酷いよこれぇっ!」

「そういうデッキなんだから仕方がない。一応言っておくけど、2枚目のカードが当ったのはたまたまだからな」

 ファーラが言うと、とりあえず日由理は黙ったが、まだ不満がありそうだった。

「……あなたのステージよ」

 ミルディアが言った。それは何気なく言った一言にすぎないが、日由理の気持ちを逆なでし火に油を注ぐような結果になった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ