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魔法少女と銀の法札  作者: 李音
STAGE4 翠湖の巫女
16/16

STAGE4-3

【ステージ3】


「わたしのステージですね。ファーストステップ、ドローします」

【アクアの手札3枚 マナ5個 ライフ23500】

 【アクアの使い魔】【翠湖の龍ブルースピア 魔力8500 レベル3】

「カードをダイレクトリンクして、さらにドロー」

 アクアなリンクステージにさらなるカードを重ねると、彼女の足元の魔法陣の大外に三つ目の円が現れる。これでアクアのフィールドレベルは3になった。

「あなたは中々よい嗅覚をもっていますね。さっきのステージでライフブレイクを使うと思っていましたけれど、それは思いとどまりました。あなたは直感的にこのステージで何かが起こると予感しているんです」

 優しげなアクアの物言いとは真逆に、あたりには異様な緊張感が漂っていた。アクアはデッキに手を置くと言った。

「わたしはライフブレイクを発動します。ライフを8000支払い、カードを2枚ドロー」

【アクアのライフ23500→15500】

「わたしのサモンステージには、翠湖と名の付く使い魔がいます。手札から2体目の翠湖のキャットをエクストラサモンします」

 カードから飛び出した青い猫がくるりと一回転してアクアのステージに降り立った。

「これでサモンステージにレベル2とレベル3の使い魔が揃いました」

 アクアと日由里の間にある床が突然歪んで渦を巻き始めた。もちろん魔法が見せる幻影だが、本物の水流のごとく迫力で、日由里は近づいたら吸い込まれそうな気さえした。

「わたしはレベル2とレベル3の翠湖でスパイラルサモン!」

 アクアのステージにいる2体の使い魔たちが青い光の塊となって、渦巻きの中に吸い込まれていく。

「湖底に潜みし伝説の水龍よ。ここに顕現し清浄なる力を示せ! ソウルよりいでよ【翠湖の龍エウロス】!」

 渦巻きの中から青い翼を広げて巨大な龍が飛沫をあげながら姿を現す。長い首をもたげて日由里を見下ろす龍の瞳はサファイアのように青く、その翼はクリスタルのように輝いていた。

【翠湖の龍エウロス 魔力10500 レベル4】

「お、大きい」

「驚くのはまだ早いですよ。わたしはエウロスのスキルを発動します。この使い魔がスパイラルサモンに成功したとき、相手のステージに存在する使い魔一体をマジックソウルに送ります。わたしは白翼のメルティを対象にエウロスのスキルを発動!」

 いきなり日由里のステージで水流が渦を巻き始め、メルティはそれに吸い込まれて消えて行った。

「エウロスのスキルでマジックソウルに送られた使い魔は使用不能となります」

「うう、強いよぅ……」

「日由里ちゃんの持つ白翼デッキは、ニルを中心に回転してゆくデッキです。白翼のニルとその蘇生先であるレベル2の白翼を封じてしまえば、身動きが取れなくなってしまうのです」

「酷い……」

「辛いでしょうけれど、自分のデッキの弱点を知る事も大切ですよ」

 アクアはさらに手札の一枚を反転させた。

「レベル1のフォロースペル、【アクアエレメント】を発動します。あなたのサモンステージにいる使い魔を選択して、ステージエンドまで水属性に変える事が出来ます。白翼のリインを水属性にします」

「な、何? そんな事して何か意味あるの?」

「すぐに分かりますよ。わたしはさらにマナを三つ消費してオリジナルスペル、【アクエリアスチャーム】を使用します。相手のサモンステージにある水属性の使い魔を奪う事が出来ます。さあいらっしゃい、リイン」

 リインは翼を広げて日由里のステージから飛び立ち、アクアの隣に舞い降りた。

「そ、そんな」

 ステージを見ていたファーラはさすがに日由里が可哀そうになってきた。

「何もそこまでやることはないじゃないか、もう少し手を抜いてやったらいいのに……」

「……アクアさんは手は抜かない……いえ、抜けない……」

「そりゃどういう意味だ?」

 ファーラが聞いても、ミルディアはそれっきり黙ってしまった。

「アタックステップに入ります。エウロスで日由里ちゃんを攻撃!」

 エウロスが口から青い光線を吐き出して、それが日由里に直撃すると水しぶきが高く舞い上がった。

   【翠湖の龍エウロス 魔力10500】

      ↓ATTACK

   【日由里のライフ24000→13500】

「続いて日由里ちゃんから奪ったリインで攻撃です」

 リインは飛び上がり、上空から日由里に向かって剣を振り下ろした。日由里は仲間でありるリインに攻撃されるなど、思ってもみなかった。その衝撃は想像以上に心に重くのしかかり、瞳に涙を浮かべた。

   【白翼のメルティ 魔力5500】

      ↓ATTACK

   【日由里のライフ13500→8000】

「日由里ちゃんが前のステージでライフブレイクを使っていれば、この攻撃で終わりでした。でも、これが通れば、わたしの勝ちです。2枚目のウォータープレッシャーを使います!」

「それは防ぐよ! 手札のシルバーラビーナをエクストラサモン!」

 日由里の前に長い耳と尻尾の獣が出てくる。アクアの放った青い水流は、シルバーラビーナが出現させた結界によって完全に無効化された。

「…そんな使い魔をもっていたのね。アタックステップからファイナルステップに移行するわ」

「シルバーラビーナはどんな攻撃でも完全防御できるけれど、アタックステップの終了と同時にマジックソウルに送られるよ……」

「アクエリアスチャームの効果はステージエンドまでしか持続しません。このままではリインが日由里ちゃんのステージに戻ってしまうので、わたしはレベル1のフォロースペル、【水神(みずかみ)への供物】を使います。このスペルの使用にマナは必要ありませんが、自分のサモンステージにいる使い魔一体をマジックソウルに送らなければなりません。水属性になっている白翼のリインを日由里ちゃんのソウルに送って、わたしはリインのレベルと同じ二つのマナを得ます」

 メルティが白い光の球体となって日由里のマジックソウルに吸い込まれ、自らのマナを二つ回復させると同時にアクアは言った。

「ステージエンドです」

 アクアは日由里が今までに戦った相手と次元が違っていた。あまりにも強すぎる。日由里はアクアの容赦のなさにもう泣き出してしまいそうだった。

「……わたしのステージ」

 日由里はいつもの元気の良さを完全に失って、下を向いて敗北感に浸りながらデッキに手を伸ばした。その時、何ともいえない温かさがデッキから掌に伝わった。日由里ははっと顔を上げてデッキを見つめる。

「誰かが……諦めるなって言ってる!」

 瞬間に日由里が表情に強い意志を示した。

「そうだよ、まだ終わったわけじゃない! ドローっ」

 日由里は涙を振り払い、カードを引いた。

【日由里の手札2枚 マナ6個 ライフ8000】

 日由里は引いたカードを手の中で反転させてアクアに見せつけた。

「わたしは今引いたカードを使うよ! レベル2のフォロースペル、【ラビトライアングル】」

 日由里のデッキからステージへ桃色の獣が飛び出し、手札にも一枚が加わる。

「このスペルはラビーナと名の付く使い魔がマジックソウルに存在する時に使う事が出来るよ。デッキからラビーナと名の付く使い魔をサモンステージに呼び出し、さらに手札にもラビーナと名の付く使い魔を加えるよ。このスペルを使用した後に、デッキから対象に選んだ使い魔の合計レベル分のマナを支払うよ。ピンクラビーナとホワイトラビーナのレベルの合計は3だから、さらに三つのマナを使うよ」

 これで日由里のマナは5つ消費され、残りは一つとなってしまった。

「わたしはさらに、手札に加えたレベル1のホワイトラビーナをサモン!」

 更に白い獣が現れ、白と桃色の2匹の獣が日由里の左右を守った。

   【ピンクラビーナ 魔力0 レベル2】

   【ホワイトラビーナ 魔力0 レベル1】

「守りを固めてきましたね。ラビトライアングルは便利なカードですが、その分マナの消費も大きいです」

「……わたしはこれでステージエンドだよ!」


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