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第04話 生徒会室

相も変わらず拙い分ですみません…

しかし読んでもらえて幸せです。

感想いただけるともっと幸せです。


それにしても新キャラを空気にしないか心配です。

刻季は深呼吸すると決心してドアを開けた。


そこは、ここ学校なのか?と思うぐらい荘厳な部屋だった。

アンティーク調な雰囲気もありつつ荘厳さも失われていない。

そして部屋の中の楕円形テーブルを取り囲むように役員たちが集まっていた。

朝の集まりにいる人たちだ。


その中心にいるのが生徒会長|天川華音だった。

やはりとてつもなく美人だった。

彼女は一歩前に出ると、

「3年生徒会長の天川華音です。羽間さん、これからよろしくお願い致します」


(――ん?何か聞き逃せない言葉が……)


そのあとその横にいる茶髪の高身長のイケメンがにこやかに

「3年生徒会副会長の金城巽きんじょうたつみです。歓迎するよ」


(――うーん…。聞き間違いだろうか)


生徒会長の左隣りの眼鏡を掛けた青髪の美少女が

「3年生徒会書記の法等保美ほうらやすみです。新たな戦力として期待しています」


(――もう聞き間違えじゃ済まねえよ!)


その横の赤髪の活発そうな美少女が満面の笑みで

「2年生徒会会計の永峰柚穂ながみねゆずほだよ。仲良くしてね!」


(――あの…仲良くしない予定なのですが……)


その横の少し仁吾に似た雰囲気のがたいの良い男前の人がブスッとした顔をして睨みながら

「2年の鷹司幸継たかつかさゆきつぐだ。言っとくが俺は歓迎なんてしない。なんで会長もこんなヒョロそうな奴を……」


(――あ、やっとだいぶ理想の反応が……)

そう思っていると、一番遠くにいた柚穂が幸継のところに行くとガンッと殴った。


「ようじ、まだそんなこと言ってるの? ほぼ満場一致で迎えるって可決したじゃない!」

「俺は歓迎しないって言い続けているぞ! こんな奴が生徒会でやっていけるわけないだろ! 帰宅部が良いところだ。それとようじって呼ぶな!」

「じゃああんたなんかつまようじでいいわね! 彼は魔力も高いんだからやっていけるでしょ」

「誰がつまようじだ!! 魔力が高いからなんだってんだよ!」


お互いにフンっと顔をそむけた。なんか刻季を置いて喧嘩をしている。

その上いつのまにか入ることが確定しているみたいな展開になっている。

刻季が萌葱を睨むと、気まずそうに顔をそらした。


しかたなく前を向きとりあえず空気を変えようとした。

「あの……」

すると一斉にこちらを向き、そして生徒会長が

「ああ……、ごめんなさい。あなたたちもう止めなさい。鷹司君も、もう決まったことです。従ってください」

すると幸継も渋々と

「……はい」

と引き下がった。


しかし引き下がられても困る。

なにしろ刻季としては入る気がないのに勝手に話が完結している。

ここらで断っておかないと大変になると思い


「あ、あのですね……。実に言いにくいことなんですが……」

また天原会長がこちらを向き直り

「はい、何でしょう?」

しっとり微笑みながらその美貌を見せてくる。


刻季が言葉に詰っていると、

「諦めて入ったら?」

萌葱がボソッと、それでもハッキリ聞こえるように言ってくる。

「バカ言わないでよ」

刻季も萌葱にだけ聞こえるようにそう言った。


そして今度こそはっきり断ろうと声を絞り出した。

「あの……、僕生徒会に入る気ないんですけど」

その瞬間、刻季・萌葱を除く全員が息を止めた。


萌葱はこれ見よがしにため息をついている。

そして少ししてから天原会長がみんなの意見を代表するように

「……入らないのですか?」

「ええ、こちらには断るつもりで来ました」

「でも南雲さんは……」

「萌葱が何を仰ったのかわかりませんが、この話はお断りさせていただきます。」


その言葉に天原会長は少し何かを考えるようにして

「何故入らないのですか? 確かに危険の多い職ですが、卒業後の待遇はかなりよろしいですよ。OBの方々も優しい方ばかりですし、今の役員の皆様も優しいですよ?」

「はあ……、まぁ魅力的なお誘いなのですが……」

そこで言葉を切った。


ホントに魅力的な誘いだった。

卒業後のことをまったく考えていない刻季にとってこういう誘いは正直言ってありがたい。

しかし、


「僕魔術が使えませんので……」


そうなのだ。

こればっかりは仕方ない。

みんながまた驚いた。それもそうだろう。


大抵魔術師は魔力量で勝負が決するからだ。

魔力が多ければ、魔術が使える、それが当たり前の世の中になりつつある。

だが俺は使えない。


会長が絶句から復帰したように声を出した。

「本当なのですか?」

「ホントです。魔力所有値は高いんですけど、魔術は全く使えません」

「ですが……」

「お気持ちはわかります、ですが事実なんです。僕の魔力は無用の長物なんです。 な、萌葱」


萌葱は悔しそうにした後、こくんと頷いた。

締めにかかろうと刻季は口を開いた。

「そういうわけで申し訳ありませんが……」

その言葉はそこで切られた。


幸継がいきなり大きくふんぞり返りながら偉そうに腰に手を当て嘲笑するようにいった。

「やっぱりそうだ! 俺は使えない奴だと思ってたんだよ。こんなヒョロくって体力もなさそうなら、極めつけは魔術が使えないときた。お前もう学園をやめたらどうだ?」

それなりに温厚な刻季もさすがにいらついた。

事実なのだがやはりこのような手合いは表面的には慣れたくても深層では拒絶している。


思い切り睨みつけてやると、鼻で笑うようにした。

「なんか文句があるなら言えよ。言いたくても怖くて言えないか? ハッ! とんだ臆病モンだな」

中傷の眼差しを向けている。


限界が近づいてきたので一歩前に出ようとすると、萌葱が刻季の裾を掴んだ。

不安そうな表情をしている。

刻季は軽く、――幸継に対する眼つきの1/100くらいの眼差しで睨む。

(萌葱がつれてきたんだぞ、止める権利があるの?)と非難も込めて

それでも面持ちはそのままに裾を離そうとせず首を振る。


その行動にすこし頭が冷えた。

刻季は萌葱がどこか懇願するような目をしていることに気付いた。

そういえば、と思い至った。


萌葱は今現在生徒会に所属している。

ここで刻季が暴れれば、それは自分自身はすっきりするかもしれないが、萌葱としては長い間付き合っていかなければいけないのだ。

一時的な興奮に身を任せてはダメだ、そう熱くなっている自分に言い聞かせる

そもそもこの幼馴染はあまり刻季に対して嫌になるような事や不利益になるようなことはしない。

こちらがいくら迷惑をかけても取り締まり、解決すると微塵も悔恨を残さずにいつも通り優しく接するのだ。


刻季は仕方ないとばかりにため息をついて萌葱だけに見えるように微笑む。

萌葱は少し顔を赤くし照れながら、ありがとうと彼女がいつも合図にしているウインクをしてくる。

安心してとても魅力的な表情を向けてくる。

その表情に刻季は更に相好を崩した。


「おいおい、ウチの新しいのに慰めてもらってしあわせか?」

一部始終見ていた幸継の言葉にその雰囲気をぶち壊しにされる。

せっかく丸く収めようとしたところに新たな爆弾を投げ込むみたいに。


刻季が萌葱に迷惑がかからない程度の非難をしようとすると華音がたしなめるように

「やめてください。この学園生徒会役員ともあろう方が誹謗中傷をするなど言語道断です。本当に申し訳ございません、羽間さん」

自分の立場を取られた立場の刻季なので


「あ、いえ。大丈夫です。確かに言うとおり魔術使えないどうしようもない奴ですので」

と、何故か更に自分を卑下する様な言葉になってしまうが言った。

そして会長は首を振った。

「そんなことはありません。そしてやはりあなたの魔力は私たちにとって魅力的です。」

「え?」

「魔力にはいろいろな使い道があります。自ら魔法に変えて使うこと。普段私達が行っていることです。それから魔力を物体に込めて、魔力を有したモノに変えること。たとえば、宗教徒が使う剣術や他には魔術書なんかがそうです。そして魔力を他者に授与することです。羽間さんはこちらができるのではないでしょうか?」

「はぁ……。まぁ出来なくもないですが……」

「それでは改めてお願い致します。」

会長が恭しく頭を下げた。


刻季はあわてて

「ですが、そのようなことだけで所属させてもらうのは申し訳ないですよ。皆さんが体をはるのに、俺だけのうのうと魔力の譲渡だけだなんて」

すると幸継が

「そうだぞ! そんな楽な仕事でいいなら猿でもできる」

そして柚穂が

「だからやめなさいって会長も言ってるでしょ! それをいうならあんたの学習能力も猿並みよ」

「うるせえな!誰が猿並みだよ。 ホントのこと言ってなにが悪いんだ」

「いいから黙ってなさい!」


また頭を思いっきり殴る。幸継は痛みに悶えて黙る。

今度は柚穂も魔術を使って殴ったようだ。


すると横目でそれを見ていた巽が口を開いた。

「幸継君が言ってるのは気にしないでもいいからさ」

そして保美も

「私達はホントに歓迎しています。是非お願いします」


そんなこと言われては断りにくくなるとばかりに縮こまる刻季。

仕事が魔力だけでいいなら、それほど楽なことは無い。

しかし万が一にも公で能力を使っては面倒どころではない。


そう誘惑を断つように

「いえ、ホントに申し訳ありませんから。お断りします。」

出来る限り丁寧に頭を下げ断る。


「全く考え直す気、ありませんか?」

会長が最後の打診とばかりに語りかける。

「すいません、せっかくのお誘いですが」

社交辞令的な断り方をする。


そして会長はいきなり剣呑を変えたかのようにして、

「それでは、生徒会権限を使用させていただきます。」

「ちょっ! それは……」

「自発的に入ってくださらないのでは仕方がありません。それでは羽間さん。あなたはこれから生徒会役員です。いいですね」

強引に話を進めようとしてくる。

なかなかうまい交渉術?

……強制術だ。


「え!? ちょっと待ってください! ねえ、萌葱」

助けを求めて萌葱の方を刻季は見ると彼女も動揺している。

萌葱は当てにできない、と踏ん切りなんとかしようとする。

「生徒会長! 少し待ってください」

「申し訳ありませんが、それは聞けません。生徒会権限を使用しましたから。」

生徒会権限とはそこまで強制力があるのだろうか?


最後の綱と思い質問した。

「それは全く取り消せないんですか?」

「可能と言えば可能ですが、不可能と言えば不可能です」

「どういうことですか?」

怪訝に思って聞く。


「権限の使用者と決闘して勝てば帳消しになります。決闘の結果はこの学園では絶対ですから」

会長が淡々と、そして有り得ないと思っているような態度で言う。


――決闘をすれば帳消しにできる。

その言葉を聞いて助かったと刻季は思った。

決闘ならば能力を使っても見るのはここにいる役員だけだろう。

それに萌葱は信用出来ると言っていた。

外部に情報が洩れる心配も限りなく低いだろう。


そう頭の中で素早く計算し声高に


「天原生徒会長、決闘を申し込みます」


全員の息をのむ音が聞こえた。

少しの沈黙が流れる。


そしていち早く復帰した巽が、

「本気? 会長ホントに強いよ」

「ええ、本気です。確かに強いのでしょうね」

そして会長は

「ホントにいいのでしょうか? 勝ったらしっかり入っていただきますよ」

その言葉に首を縦に振る。


萌葱がまた不安そうな顔を浮かべている。

刻季は安心させるように声を落とし

「やりすぎないようにするから大丈夫だよ。心配しないで」

と優しく囁く。

それでも萌葱はまだ不安そうな表情が隠れない。

しかし他にはどうしようもないので萌葱を放っておき華音の方を見た。


華音は驚きから回復させて言った。

「決闘をお受けいたします」

彼女の声がアンティーク調な部屋に響いた。

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