第31話 過去の事だ
お久しぶりです。
1か月ぶりくらいなのかな?
もう書き方を忘れちゃいました。
なのでリハビリ感覚でコメディを……(笑)
んどうぞ!
「それじゃ、|頭首(皇帝)殿の紹介も済んだことだし今日のところは解散しよっか」
音弥さんが決闘後すぐに言った。
『師団』が集まっているんだしやることがあるんだろう。
ここにいるのは後継者なのだから、ひょっとしなくても仁吾より忙しいのかもしれない。
管理の面では碓氷には及ばないだろうけど、実務の面での仕事量は圧倒的に多いだろう。
さっき言ってた警備なんかもそうだ。
「そうですね」
と僕は追従する。
周りのみんなも同意見のようだ。
というかそれ以外に選択肢がないようだった。
他人事ながら大変だなぁとおもった。
「刻季君」
ふいに呼びかけられた。
「他の師団家が揃ったら、それもまた紹介するからね」
「あ、はい」
「また決闘頑張ってね!」
「なんでですか!?」
なんて不吉なことを……!
「だって紹介にはそれが一番じゃないかな? 拳で語り合えばその後は親友みたいな……ね!」
「そんな泥臭い青春劇で済みそうにない!」
その上、拳を使うかすら危うい。
魔術師だから炎とかで語り合いそうだ。
「そうかなぁ……」
「そうですよ!」
「まぁ拳とかは冗談でも決闘は有効じゃないかな」
「危ない考えですね!」
「でも、華音の時もそうだったんでしょ?」
「うっ……(チクッ)」
10のダメージ
「それに僕の時もそうだったし」
「うぅっ……(チクチクッ)」
30のダメージ
「友人の碓氷君ともそうらしいじゃないか」
「まいりましたぁ!」
僕が悪かったです……
決闘でなんでも片づけてすいません……
しかしなんで仁吾との事を知っているのかな?
「そう思って少し灯莉をちょうは………………………」
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……………………………………
…………ん?
音弥さんのベラベラ回っていた口が突然止まる。
「音弥さん今なんて言いました?」
「……ナニモイッテナイヨ?」
怪しい!
「兄上?」
「音弥さん?」
華音と灯莉さんも会話に混ざる。
少し、いや大分不穏な雰囲気だ。
「まさかとは思いますけど、刻季様を危険な目にあわせるようなことしてませんよね? 例えば決闘とか」
「まさかとは思うけど、ウチのことけしかけて可愛い坊やとどうこうとか考えてないよね? 例えば決闘とか」
2人の眼が据わってる!
華音に灯莉さん、割と主戦派でしたよね、あなたたち……とは決して言えない形相を浮かべている。
そして震える音弥さん。
「そそそそんなことないよよ! 灯莉は単純だからけしかけたら簡単に話が進む、とか思ってないし、紹介するの面倒だから戦えばいいよね、とかも考えてないよ!」
と全部自供する音弥さん。
愛すべき天然さんだ。
「兄上?」
「音弥さん?」
2人の声は今や氷点下に感じられるほど冷たかった。
「えーと………………………………刻季君助けて!」
「なんでですか!? 危ないですからこっち来ないでください」
「そういわずに! 未来のお義兄様を助けて!」
と、苦し紛れを言う。
それに反応したのは、彼女だった。
「……は?」
冷たさで言えば前述の2人と差異はないどころか、渇きが含まれている分、冷えよりも怯えを感じた声だった。
そう澪桜姉だ――。
「何を言ってるのかな、このゲス野郎は……ねー?トー君」
「……へ?」
「全く笑っちゃうよね、アハハ。男ってだけでアレなのをトー君の紹介で我慢してたら、なんか変なこと言いだしたちゃったよ。トー君にお義兄さんが出来るって無理なことだもんね。だって今さらお母さん達が頑張ってもお兄さんは出来ないし、トー君はお姉ちゃんと結婚するんだからお義兄さんが出来る余地なんて一寸もないのにね。まったくこれだから男って意味がわからないよね。お姉ちゃんはトー君の事だけわかってればいいからいっか! だから意味の分からないことをいってるゲスは始末しなきゃね! だってトー君に悪影響があったらお姉ちゃん嫌だもん。お姉ちゃんはトー君の為だけに生きて、トー君はお姉ちゃんだけを見てくれれば嬉しいなぁ。さぁ、そのために始末しないと! 夫婦を円満にするには悪分子を排除するに限るよね。アハハハハハハ」
「み……、澪桜姉?」
もしかして発作が始まった?
「大丈夫! お姉ちゃんに全部任せれば、トー君もお姉ちゃんも幸せになれるから! だからトー君はちょっとあっち向いててね!」
「お、お姉さん?」
音弥さんの声が怯えで震度が高まる。
「と、刻季君?」
まぁでも少し反省してもらおう。
ということで放置!
澪桜姉も少し暴れたら元に戻ると思うし……
「兄上?」
「音弥さん?」
「このゲス野郎……」
一人だけ声色が違うけど気にしない気にしない!
皆は引いていた。
あと澪桜姉を見て、顔を赤らめている男の人もいた。
照れる要素あるのかな?
まぁいいや
僕は一人萌葱の方へ向かう。
他の人と違い、萌葱にも耐性があるため平然としている。
さすが萌葱だ。
「まったく困ったもんだよね、音弥さん」
「そうね」
「ギャーーッ!」
「あっ、そうだ! ドリームランドいつ行こうか?」
「えっ!? ど、ドリームランド!?」
「そうだよ、覚えてないの? 萌葱行きたがってたくせにぃ」
「(…………忘れてないわよ。ただ自分から言いだすのが恥ずかしかっただけで…………)」
「痛い痛い痛い!!! 刻季君だずげで~!!」
「音弥さーん、少し静かにしてくださいよー! ごめん、聞こえなかった」
「な、なんでもないわ!」
「そう?」
「うん、なんでもないったら、なんでもないわよ!」
「兄上、動くと倍にします」
「音弥さん! 馬鹿にしないで!」
「ウフフ、トー君との幸せのために……」
「ギャーース!」
「そ、それより、いつにするのよ!?」
「萌葱はいつがいい? 僕はいつでもいいんだけど……」
「わ、わたしも刻季さえ良ければいつでもいいわよ!」
「そっか」
「ウギャーー!! 悪魔~!!!!」
「まぁ近いし、学校帰りでもいっか!」
「だめよ!!」
「えっ!? なんで?」
「(…………服とかもちゃんとしたいし、せっかくだから一日行ってたいし…………)」
「鬼! 鬼! みんなも見てないで助けてよ!!!」
「えっ? 聞こえないよ」
「コホン。と、とにかく、ダメなのよ!」
「そう? じゃあ萌葱が行きたい日を後で教えてくれる?」
「うん、わかった」
「熱い冷たい! そして痛い!! ダブルペインどころかトリプルペインだー!」
「えへへ」
「そんなに行きたかったら阪野さんとかと行ったらよかったのに」
「べ、別にいいじゃない。楽しみになる分には勝手でしょ?」
「まぁ、そうだけどさ……、でも僕も萌葱と行くの楽しみだよ」
「な、何言ってるのよ! バカ!」
「いいじゃん。萌葱と2人で出かけるのも久しぶりだし楽しみになっても……」
「もうっ……、恥ずかしいからやめてよ」
「そこぉぉ!! こっちが苦しいのにラブコメってんなよーー!!!」
「でもあたしも楽しみ……刻季と行くのが」
「それなら良かった」
「「アハハハハ」」
「ウギャーーーーーー!!」
叫びとも産声ともとれる声が体育館にこだました。
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「それじゃ、次の集会の時は華音に連絡してもらうから」
顔の凹凸が激しく、一目見ただけでは誰か分からない人が言う。
「『魔力世界の帝国』の暫定メンバーもまだ揃ってないしね。それも今週中には揃うはずだけど……まぁ、そんな感じで」
「はい、じゃあまた」
するとデコボコ男は妹のように頭を下げながら言った。
「これからよろしくお願いします。皇帝陛下」
顔こそふざけているが、その態度はどこか騎士のようだった。
魔術師にこの表現は語弊があるかもしれないけど……
この騎士という言葉は宗教徒にこそ相応しい。
しかしそう思った。
「それじゃあね」
またおどけた感じで去っていく音弥さん。
それについていく結社の構成員達。
別に僕は上に立って威張りくさるつもりはないので、みんなをお辞儀で見送る。
その際、さっき澪桜姉に熱い目線を送っていた御仁はまたしても熱っぽい視線を澪桜姉に目配せする。
似たような目で、僕も華音と萌葱、灯莉さんに見られた。
それでも、あの藍色の着物の女性は、僕と澪桜姉を少し睨みつけるようにしてきた。
あの人は『車谷』だった気がする。
……それなら仕方がないか。
『羽間』のしたことで一番被害を受けた勢力はと聞かれれば、師団と答えられるし、一番被害を受けた一族はと聞かれれば『車谷』になることは間違いない。
僕が産まれる前どころか、母さん達もまだ産まれていない、そんな時期に現在の3すくみが完成した。
それは『羽間』の裏切り、ないしは叛逆が原因だ。
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刻季と澪桜の曾祖父である羽間傑界の当主時、『羽間』は『20旅団』に属していた。
旅団には、師団のように主席や次席などはなく、ただ師団の直属の下位組織として存在している。
それでも日本では第2位の魔術結社なので、家柄的に考えれば当時の華族と同じくらいの地位はあっただろう。
現在こそ、そういう地位は明確にはなっていないものの、それに近いものはある。
師団のように結社内に明確な地位の差はなかったものの、当時の『羽間』は旅団1位といっても良いくらい力をもっていた。
家臣は多く、一族も血系魔術をしっかり継承し、ウナギ登りのようにどんどん力をつけていった。
それは師団家に勝るとも劣らないくらい。
傑界には自信も野心もあった。
その傑界が力を持てばどうなるか……それは語らずとも知れたもの。
今の『羽間』はと『』を付けるのもおこがましいが、埼玉県に居を構えている。
ただの庭付き一軒家なのが、力の衰えを感じさせるが、それはいい。
それより、昔の『羽間』家は京都に本家を置いていた。
『羽間』は師団家よりは新しい家だが、現在まで来るとそこまで古さの違いはない。
200年と100年、10000年と10100年の違いと言えばいいのだろうか、ここまで大げさではないが、近いものはある。
傑界はその年数の違いで、師団家より下に見られる旅団が嫌だった。
いや、これだけが原因ではないのだろうが、大元の原因はこれだ。
そこで考えたのが、近場にある『車谷』だった。
そう、簡単に言ってしまえば、攻撃をした。
旅団が師団に攻撃したことは、国家・教徒・魔術サイド全ての上層部に波紋を呼んだ。
特に酷いダメージを受けたのが、当然の如く魔術側だった。
そこに攻め入る教徒、反撃する魔術師。
そして好き放題やられていた国家はそれを好機とみて、流れるままに2勢力を抑え込んでしまった。
それにはもちろんアメリカの後ろ盾もあったが……
こうして教徒と魔術は国家の従属下に置かれた。
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話せば、こんなことしかない。
こんな過去の一事件でしかない。
それを車谷さんもしっているんだろう。
それでもこだわる僕と彼女。
そこにはなんの違いもないんだろう。
たかが、祖先がやったこと
たかが、祖先がやられたこと
そうは片付かない。
自分の中でもそうは片づけられない。
僕はそのために結社に入ることにしたんだし、彼女のなかでもなんらかの解決が必要なんだろう。
それが僕にはなにかわからないし、彼女も伝える気もないだろう。
ホンットに、ただの、魔法使いに、生まれたかった、なぁ…………
そして僕と澪桜姉も体育館を後にし、家である新居に向かった。
なんらかの矛盾があったら教えてください……
俺TUEEって読んでて面白いけど書いててつまらないんだなぁと思った昨日この頃。
だから刻季にも弱点があるのかも……
それにしても萌葱はテンプレツンデレだなぁ。