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第01話 優遇学園


入学してまだ10日ぐらいなのに寮から学校までの道を慣れ親しんだ道のように中学校からの友人である碓氷仁吾うすいじんごと僕――羽間刻季はざまときは歩いていた。

仁吾は数少ない同じ中学校からの新入生だった。

彼と初めて話した日もちょうど三年前のこれくらいの日だったと思う。


そんなことを思って横目で彼を見るとちょうど目が合い、ニカッと笑いかけてくる。綺麗な白い歯だ。

仁吾は筋肉質で野獣のようなカッコよさを持っている。

それも某映画のキスをして王子様に戻る野獣のような生ぬるいものではなく、本物の獅子のような獣臭さ、男臭さを兼ね備えているような存在。

そしてその上彼の実家は魔術師一家としても有名だ。


背はそれほど小さくないが、痩せ型と見える僕が仁吾と仲良くなったばかりの頃は周りの人から虐められていると誤解されていた。

その誤解も、僕と仁吾の仲の良さを知るとすぐさま立ち消えになったようだが。


「いや~、それにしても同じクラスになれてよかったな。これで中高含めて4年連続で同じクラスだよ。やっぱり入学したてはそれなりに不安だから慣れ親しんだやつがいると助かるぞ」

笑いかけたまま仁吾はそう言った。

「ホントだよ。普通の学校でもそうなのにウチは特殊だからね…」

「ホントホント!特殊過ぎるっての」

仁吾は大げさに肩をすくめた。


同じ中学校からは僕・仁吾を含め3人が魔術まじゅつ優遇ゆうぐう第三区だいさんく空明からあけ崎学園がさきがくえんに通っている。

この学園は日本に6校しかない魔術優遇学園だ。


魔術優遇学園とはその名の通り魔術を優遇している学園だ。

古来より宗教徒と魔術師の間で抗争があった。しかし50年ほど前に抗争が収まり同盟を組むまでに至った。

そこで宗教徒は宗教徒を、魔術師たちは魔術師を堂々と増やせる状況になり、こぞって若い人材を集めようとした。


元々どちらも子孫に受け継いでいたモノ(魔法や剣技)だったのを公開し、今ではそれらが蔓延り、各国の軍事よりも力を持った。

そこで国々も危機感を感じ、魔術学園及び教徒学園の設立、法改正、軍備増強をおこなった。


それにより宗教徒・魔術師・国家の3すくみの状態になった。

尤も現在は「国家」が一番力をもち他の2つの派閥を抑える形になっているが、単純な力で抑えるより取り込むことを考え作ったのが「魔術優遇学園」だ。要するに国家に属する最大の魔術育成学校ということだ。

もちろん「教徒優遇学園」もある。


優遇学園は優秀な生徒しか取らず、個人が望む望まないにかかわらず、優秀であれば国家からの依頼ということで入学させられる。一応受験枠もあるが、それも全体の2割程度だ。残りは推薦ということになる。

僕自身は推薦枠に入ってしまった。

それほど望んだものではなかったのに……。


しかし推薦枠に入ってしまった以上、入学するほかに手立てがなかったので仕方なく入学した。

あと3年は仁吾達と通えるのであまり悪い話ではないのかもしれない、とポジティブに割り切って、今は通っている。


そうこうしている内に校舎に着いた。学生寮は学園内にあるのでそれなりに近い。


校舎の前で人だかりを見つけた。入学して10日程度だが入学式以降この人だかりを見ない日は無い。またか、と思い人だかりの出来ている中心を見てみた。


案の定学園の生徒会役員だった。全員アイドルやモデルのような美少女やイケメンだ。

相当見栄えのする顔立ちや体格スタイルをしている。


その中でもひと際輝いている人が見えた。


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