表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力世界の時操者(CHroNuS)  作者: 更科 甘味
一章 始まりの物語
16/33

第14話 始まりの物語の終わり

答えも結果も二つに一つだった。

これに了承すれば『羽間』の家格を少しでも取り戻すことが出来るだろうし、しなければそのまま没落したままの未来が待っている。

このように言えば了承すべきだ、と思うかもしれないがそんな簡単な話ではない。

刻季が高校生だから務まらないというのももちろんあるが、それは華音や音弥に協力フォローしてもらえばなんとかなると割り切って。

それ以上の問題とは『羽間』が要職に就くのを師団が許すか、ということである。

音弥の話が本当かはまだ確信の持ちようがないがもし本当ならば、今後の師団の家の当主候補があつまる結社ということである。

まぁ音弥と華音が所属する時点で嘘になりにくい話ではあるが……。


現在ではないとはいえ未来の日本魔術界を担う一手に値する師団・旅団の家の継子で結成される結社の頭首になるなど、裏切り者との認識が晴れているはずのない羽間がやることは警戒されるに決まっている。

刻季自身は『羽間』の名前で革命を起こそうだなんて思ったこともないし、権力なんて高校生である刻季に必要があるはずがないので求めたことも無い。

必要以上に目立つことは良しとしなかったし、華音のことも黙認はしているが正式に認めた覚えは無い。

つまり権力を持ったところでそれを無理に行使しようだなんて考えてない。

求めているのは不遇である『羽間』の家に生まれた姉の為になるように『羽間』の家格の最低限の復活である。

いやもちろん、姉だけでなく、両親に祖父母もその対象なのだが、現状では姉の為の家格回復が第一のモットーであるといえるだろう。


それゆえに刻季自身に辞退する気持ちがあるといえば、面倒事が増えて面倒くさそうだ、ということしかないのだが、師団の反対があれば話は変わってくる。

認められずに、結成すら出鼻をくじかれて終わるのではないか?といった疑問が消えることなく刻季の頭を駆け巡るのだ。

要約すると、刻季自身はそこまでやることに否定的ではないが、他の連中は知りません。

といったところだ。

そんなことをいつまでも思っていても話は始まらないし進まない、良い方にも悪い方にも。


堂々巡りする頭を切り替えて一番に障害となるだろう話から切り出した。

「僕は今、やることはやぶさかではありません」

華音がその言葉に目を輝かせる。


「ですが僕自身が良くても否定的な方々もいっぱいいるでしょう。例えば――」

「師団、とか?」

刻季の声を切って割る音弥。それは刻季の内心を見据えていようものだった。

少し動揺するが、音弥ならそこまでやってもおかしくないと多少なりとも思っている自分がいたので話を続けた。

音弥にしてみれば失礼な話だが


「ええ、そうです。それに師団だけでなく旅団も……。たとえ僕以外のどんな一般人がやっても反対されるでしょうが、僕ならなおさらです。結成すらままならない状態になるのではないですか?」

刻季を今縛っているもの、それは単純であり複雑なものだ。

相手を断定できる分単純だ、しかしそれからは避けて通れない分かなり複雑だ。


師団・旅団それに多分、宗教徒も。

そう言えば単純だが、それが敵だとわかっている分単純だが、これらから防ぐことはかなりの難題でかなりの力を必要とする。

まず一介の高校生に出し抜くことは100%不可能といえよう。


しかしそんな刻季の当然の想いも一言で覆される。

「大丈夫」

そう発した音弥はさながらこれから魔王を倒しに行く勇者のような頼りになる表情をしていた。


「……大丈夫って何が大丈夫なんですか?」

だが音弥の頼りになる表情を見たところでそう簡単に意見を変えられるわけがない。


「だから大丈夫なんだって。羽間君はトップとしてデンと構えててくれるだけで、さ」

「そんなの根本的な解決なんて何もしてないじゃないですか」

「根本的な解決なんて最初から出来ると思ってないから」

「えっ……?」


「別に根本的な解決を結社なかまとして求めているわけじゃないんだ。もともと上に認められると思ってもいないし、そんなこと見込んでいるわけでもない。僕たちが作るのは――」


――秘密結社だ


音弥の声に部屋が静寂に包まれる。

音弥としては刻季の反応を求めていたのだろうが、驚いて声を出すことが出来ない。


「…………」

「ははっ、そんなに驚いてどうしたの?」

元の飄々とした態度に戻して音弥が訊いた。


「元々結社を作るとして、国に申請書をだして……なんてことは必要ないのはわかっているでしょ? そうなるとただ結成表明するかしないかの違いじゃないか。表明しなければ秘密結社ってことになるのは当然」

「…………」

「……ま、秘密結社だとしても親父たちにばれるのは時間の問題。いや、もうばれてるかも……」

「ダメじゃないですか!?」

ずるっと漫画のようにこける刻季。


「でも、うちの親父は強く言えないはずだよ」

「何故ですか?」

「僕に勝ったからね。魔術も使わずにさ」

「……すいません」

思わず謝ってしまう刻季。


「いや別に、いいよ。使えない事情もあるんだろうし」

「そうです。刻季様は全く悪くありません」

刻季の事情を知っている華音が刻季を庇う。


「ま、そういうことだから親父からは当分大丈夫だろう。その間に地盤を固めて……」

「あの……ッ」

「ん?」

「なんか入ること勝手に決められてませんか?」

「え゛っ!? 違うの?」

なんか変な声を出す音弥。喉の奥から出ているような声だ。


「いえ、違いませんけど……。でも最後にひとつだけ」

「ふぅ……。なにかな?」

安心したように息をつく音弥。


「結成する目的はなんですか?」

一番大事なことを完璧に訊き忘れていた。

「あっ……話してなかったっけ?」

頷くと音弥は言葉をつづけた。


「いくつかあるけど、第一の大きな目的は魔術師の権威の向上。結局国の下で統制されているただの・・・魔術師の意見はそこまで反映されないからね。二つめは宗教徒との均衡を整えるため。最近教徒の力が凄いからね、そのバランスを調節したい。魔術師勢力を教徒サイドより大きく出来たら言うことなしかな。そんで三つめは……、これは目標というよりも願望に近いんだけど、現在の魔術体制を崩すこと。師団の下に全ての魔術師がいるという状態をなんとかしたい。全ての平民魔術師の発言権をもっと大きく、より豊かにしたいんだ。あとは個人個人であるんでしょ。それは上の目的とともに解決すればいいよ。とりあえず結成の目的は以上三つ」

一気に言った音弥の目的と願望はあまりにも難題だった。

生きているうちに変えられるようなものではない。


「一つめはわかります。二つめも……まぁ、わかります。でも三つめは……」

「だから目的じゃなくて願望なんだよ。そう簡単に出来ることじゃない。日本魔術界を根本から変革するわけだからね」

「秘密結社にそこまで出来るのでしょうか?」

「わからない……、だからいずれは表明するつもりだよ」

「師団の家の若い人たちもそれを納得しているのでしょうか?」

「半々……ってとこかな」

内部にも反対勢力はあるらしい。


「僕も今の状態を崩さない方がいいと思います」

刻季が反対の意思を表す。

「どうして?」

「今の状態に満足している人も多いからです。もちろん『羽間』の意見ではありませんが……。現状を崩してその時に教徒との争いがあったら、魔術師は一気に瓦解してしまいます」

「うーん、確かにそうなんだけどね。ちなみに『羽間』としての意見だとどうなるの?」

「お兄さんの話はとても魅力的だと思います。『羽間』にとってこれほどの報酬は無いでしょう。でも『羽間』だけで喜んでいてはいけない話だと思います。『羽間』が良ければそれでいいなんて話になったら、より『羽間』は恨まれてしまいますから」

微笑む刻季。しかしそれは苦笑しているようにしか見えなかった。


「ま、話は結成してから何回でも出来るよ。それじゃ羽間君はOKということでいいのかな?」

「……こちらから要求があります」

「僕達にできることならなんでも聞くよ」

律儀にも華音も含める音弥。

それはいらぬお世話だったが。


「まず一つめは2人ほど結成メンバー枠を開けといて欲しいんです」

「2人? 別に制限人数なんていないけど、入れたい人でもいるの?」

「はい「女性ですか?」……え?」

華音が抱きつく力を強めて食い気味で訊いた。

どこか非難する様な目で


「まぁ一応女性だけど、萌葱と姉さんだよ?」

「刻季様はお姉様がいらっしゃったのですか?」

「うん、まあね」

「そうですか、それでは是非今度挨拶をしに行かせていただきます。ご両親にももちろん」

「いや、それは……」

「空いてる日取りを教えて下さい」

「えっ……ちょっと……」

教えるわけにいかない。華音に紹介させたらまたとんでもないことを言うに決まっている。

それに姉には然るときに然る説明を刻季自身・・・・がしなければ……。

華音と姉を混ぜたらどんな化学反応するか想像もしたくなかった。

こんな表現したくもないが劇薬同士を混ぜるようなものだ。

ヘタしたら死人がでる……。

それでも姉を結社に含めることは刻季の中で絶対に必要なことであった。



「……それじゃ、今度ね」

とりあえず言葉を濁して逃げようと図る刻季。

「はい、ありがとうございます我が君。約束です。絶対忘れません」

「…………」

しかし逃げ道をふさがれてしまった。

華音が抱きつく腕を緩める。


華音は華音で少しアレな人なのだが、姉は姉でアレなのだ。

刻季は姉に後で連絡し、華音を個人的・・・に紹介することに決めた。



「萌葱さんってさっきの子だよね? それなら勿論大丈夫。まだ誘ってはないけれど、頭数には入っているから。それで羽間君のお姉さんは強い人なのかな?」

「ええ、その点に関しては問題ないと思います」

「なら、いいよ。というより頭首の要望は出来る限り応えたいところだから」

「ありがとうございます」

頭を下げる刻季。

頭首というのはまだなってはいないが、聞き流した。

刻季の意思も固まってきている。


「それから最後にもう一つだけ」

「ん?」

「僕は戦いますが、その時に魔術を使わないことを容認してもらうのと、それを結成メンバーに伝えてください」

一応魔術を使えないでなく使わないと言っておく。


「別にいいけど、どうして使わないの? 戦う上で魔術は必要なことじゃないの?」

「……兄上。我が君、刻季様は事情があって魔術は使えないんです。ですが誰よりも強く、そして誰よりも美しく勝つことが出来るお方です。なので、あまり詮索の程は……」

「……うーん、わかったよ。でも戦争がある場合は第一線で戦ってもらうから」

華音があっさりと刻季の魔術が使えないことをばらすが、それよりも……


「……戦争?」

「当たり前でしょ。最低でも教徒と、最悪師団とも決別するかもしれないから。もともと師団から独立している結社なんて魔術界の異端も同然の扱いだからね」

刻季が疑問を呈すると音弥が説明し、華音も当然のことのようにキョトンとしていた。


現在日本魔術界の結社は、殆ど師団の管理下に置かれている。

例外は、国家の下にある結社と、秘密結社のみだ。

だから必然的に結成表明すれば師団の許可ありきの結社と思われる。

しかし、今回の結社は違う。


秘密結社として活動し、結成表明を掲げたとしてもその時は完全に師団と決別していることだろう。

それも師団の家の者がだ。

もし結社の力が強くなれば、師団の敵として扱われるだろうし、そうなれば処分くちくの対象になるだろう。


今は刻季と音弥の戦いのことで黙認するかも・・しれないが、それがずっと続くとは考え難い。

やはり姉を含めるべきでは無かったかもしれないと思い始めてくる。

とりあえず、話すだけ話してみようと考えていると、華音が刻季の不安を感じ取ったのか、


「刻季様? どうなさったんですか?」

「いや、姉を誘うかどうか考えていたんだ。自分のことならまだしも、戦うことは覚悟していたけど、戦争って言葉に少し怖気づいちゃったみたい」

情けなく、ははと刻季が笑うと華音がまた抱きつく腕を強めて言った。


「大丈夫ですよ。刻季様とならお姉様も喜んで戦うと思われます。私がそうなのですから」

久しぶりに微笑んで意思を伝えてくる華音。

不覚にもその表情は何度見ても、愛らしく愛おしいモノで刻季は照れてしまう。

「ですから、お誘いなさるだけなさってみてはいかかですか? 私もお姉様に会いたいですし」

「そうだよ。誘ってみるだけ誘ってみなよ」

音弥が追撃してくる。


「そうですね。誘うだけ誘ってみることにします。ただ止められたらどうしよ……」

「それは確かに有り得るね……」

「そうですね……」

華音と音弥も刻季と同じく苦渋を浮かべる。


・・・・・・・・・・・・・・・


何故誘って仲間になることか断られることしか考えなかったのかわからないが、現状最悪な結果としては刻季を引きとめることだろう。

最悪の結果であって、一番有り得る結果だ。

個々人で考えをやめないので


沈黙が横たわる談話室。


そこに天原父との挨拶をようやっと終えたのか、萌葱が入ってきた。

入ってくるなり怪訝な顔をした萌葱が一言。


「……なにこのお通夜ムード?」


萌葱の疑問も当然のことだろう。

萌葱としては誰かと指定してかけた質問ではなかった。

しかし皆は思考を止めずにいたので、萌葱の問いに返す者は一人もいなかった。


「えっ? なんで無視するの? ねえ……」

尻すぼみになっていく声で余計聞こえにくくなっている。

だからというわけではないが刻季たちはまるで萌葱の声を聞いていない。

皆して、うーんと唸っている。


そろそろ堪忍袋の切れる音が聞こえてくるぞ、刻季!


もちろんこんな人為的な呼びかけをしても届くはずがない。


萌葱が寂しさと怒り(1:9)でぷるぷると震え始める。

限界値がかなり低い萌葱はあまり我慢することなく怒りを発する。

「刻季っ!」

「うわっ……って萌葱? いつの間に来たの?」

無神経に刻季が返すと萌葱は瞬間ヒーターの如く加熱に過熱を重ね、刻季にのみ怒りを向けた。


「あんたねぇ。あたしが何回も問いかけてるのになんで無視するのよ?」

「え……? あぁごめん気付かなかったよ。ちょっと考え事しててね」

「ふーん、考え事ねぇ。一体何をかんがえていたのかしら?」

刻季視点から見ると萌葱はいきなり怒りゲージMAXの状態で刻季の前に仁王立ちしている。


「そんでなんで会長とあんたは腕を組んでるのかしら? 言い訳があるなら聞くだけ聞いてあげる」

ゆらゆらと髪が蠢いているような幻覚を見ているのか、と刻季は目を疑った……が、単純に怒りのオーラに充てられて萌葱が魔術を使っているだけだった。


「い、いや……、エート……」

さっきまで平和に考え事をしていられたのに、突然サファリパークに放たれたような威圧感を感じなければいけない自分の不運を呪った。

「ま、どんな言い訳でも意味は無いけど」

美人の怒り顔はすさまじく怖くて、どこでもいいから逃げたくなる。というか逃がしてやれ。



そこでそんな刻季を救う一人の少女がいた。

怒りが振り切っている状態の萌葱を諌める声がかかる。

「南雲さん、ダメですよ」

それはやはり華音の一言だった。


「今の状況はよくわかりませんが、刻季様に危害を加える可能性があることだけは察します」

相変わらずボケボケな華音の言葉だったが一応聞いた途端に怒りの視線は収まりつつあった。

「会長……」

「私もすみませんでした。何か私のやったことで南雲さんが嫌な気持ちになったなら謝らせてください」

「いえ、会長は何も……」

こんな純粋な生徒会長に対して、怒りの半分はあんたのせいよ、なんて言えるわけがなかった萌葱なので、図らずも軍配は華音に上がった。

しかもいまだに腕を組みながら。



毒気を抜かれる形となった萌葱はため息を一度突き刻季の手元にある腕掛けに腰を何故か降ろしてもう一度疑問を投げかけた。

そこで解放されたように萌葱よりも大きくため息をつき、萌葱に先程からの話を説明した。


______________________


「ふーん、結社ね。それであたしも。そして刻季の姉あのひとも。ふーん」

刻季を見下ろす形になっている萌葱は説明を聞き終えると、嬉しそうな表情と複雑そうな表情の二つを器用にも交互に浮かべて感想をもらした。

ちなみに見下ろしている姿に華音は、あまり我が主に不敬を働かないでほしい、と内心思っていた。


「なんであたしも誘ったの、刻季?」

嬉しそうに刻季を見下ろして訊いた。

「いや、なんでって……。もともと師団の家の人たちって話だったし……」

「それでも決定的に誘うことにしたのはあんたでしょ?」

「まぁ……そうだけど」


「それはなんでなの?」

表情を変えずに何度も問いかける。

実は刻季が鈍いだけなのだが、萌葱は刻季から誘われたことが嬉しいのだ。

まぁ鈍いから気付かない鈍感男って言うのは大変だろう。


「うーん、っていうか萌葱がいないことが考えられないからなぁ、理由なんてないよ」

「えっ!?」

一瞬でより幸せそうな笑顔に萌葱はなった。

その反面華音は何故か不機嫌そうな様子だが。


理由なんてない、とは言っているが、それが理由ってことにその場にいる刻季だけが気づいていなかった。

「そうか、そうか。あたしがいないのは考えられないか!」

さっきの怒りはどこへいったのやら、と刻季は不思議そうに萌葱を見ていた。


目に見えて嬉しそうな萌葱が結社に入ることがたぶん決定した。

これで拒否する人間はあまりいないだろう。


ともあれ、これで現在残っている憂いは姉を誘うことだけになった。

それはもうすでに刻季の中で、誘ってみなきゃ始まらない、といった考えが纏まってきたので後は誘うことを実行するだけだ。



刻季の考えが纏まったのがわかると、

「それじゃ、これからよろしく、頭首さま」

音弥がおどけて言うと華音が続いて

「よろしくお願い致します、我が君」

刻季の腕を離して、席から立ち、兄妹で刻季を歓迎した。

2人は対照的なようすだったが、どこか似ている雰囲気があった。


「えーと、とりあえず。よろしくお願いします」

頭をポリポリ掻きながら刻季も返事をする。

「あたしもよろしくおねがいします」

萌葱もそれに倣って言った。



――××92年4月12日天原邸宅。

ここから結社の結成が始まった。



_______________________



ここは天原邸と打って変わって、純洋風な邸宅だった。

その部屋には、剣から始まり、槍、爪、戟など、大小様々な武器が立てかけられていたり、飾られていたりした。

その武器を見るだけで、この世界の人は『宗教徒』とわかる。

現在武器の所有・使用許可が出ているのは、宗教徒と国家役員のみになる。

国家役員はこんな豪勢な部屋に住まうことは許されていないことから、消去法でいくとここは宗教徒の家ということだ。


その家の王家の謁見の間さながらの部屋には人が集まっていた。


「陛下、12師団トゥエルフスとは何時開戦するのですか?」

「まだ時期ではない。今戦えば彼奴らには負けてしまうだろう。負けなくても引き分け程度にしか納まらん。力を溜める時だと思え」

「「「はっ!」」」

陛下と呼ばれたその男は、部下を諌めるように言うと憂いを浮かべた。


魔術師と宗教徒の険悪さは過去からのモノでそう簡単に取り除けるモノではない。

結局はどちらかが、勝つか負けなければ消えることは無い。

いや結果がどうであれ遺恨は消えることなく残るだろう。

それこそ何十年も何百年も何千年も……


今現在は国家が力を持っているため抑えは聞いているものの、パワーバランスが崩れたら、その瞬間争いが再発するだろう。


男はその瞬間を虎視眈々と狙っていた。

ようやく話が纏まってきたかな、と思います。


ここまで読んでくれた皆さんありがとうございます。

序章が終わったと云ったところでしょうか。

これからもがんばって書くので応援してくれたら感謝の限りです。



今回長かった……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ