詩 『恋文』
何をしていてもあなたが浮かんできます
嬉しいことも
哀しいことも
伝えたくて
手に取った携帯電話は
開いたままの状態で
あなたのメモリーを呼び出すこともできず
いつもそっと閉じられ
そうして
嬉しいことも
哀しいことも
どうでもよくなってしまいます
私はもともとものをほしがる人間ではなく
興味がないという気持ちが半分
ほしがっても手に入らないという諦めが半分で
人生を薄く過ごしていました
もしほしいものが目の前に現れたら
いつも私は目を閉じてゆっくり呼吸をします
それをゆっくり閉じ込めるように
またはゆっくり散らすように
気持ちを見えなくしてしまうのです
私はそうやって生きてきました
でもあなただけはダメでした
あなたを想い
いけないと
目を閉じたら
閉じ込めるどころか
次から次に気持ちが湧いてきて
散らすどころか
次から次に集まって膨れるのです
あなたを見なければいいのに
どうしても気づいてしまいます
目が離せなくなってしまいます
あなたから逃げようとして
あなたを不自然に避けて
少し怒った顔が哀しくて
こんなにつらいことがあったのかと泣いてしまい
でもその後にもらった笑顔で
こんな幸せがあったのかと泣いてしまいました
私がこんなに泣くことができるなんて知りませんでした
前に馬鹿にした恋愛映画を見直したら
こんなに良い物語があるのかと感動し
そういう自分の変化に驚いています
ありがとう
あなたに会えたことで
私は世界を彩る感情の全てを知ることができました
ありがとう
私はあなたを
心から
好きです