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始まりはいつも突然に  作者: siro
第一章
8/50

8)嘘


「あなた何者?」

「まずは、君から名乗ったら?それが礼儀でしょ?」


リザリーは男をにらみながら答えた。

「・・・スアン・リゼル。19歳よ」

―誰が馬鹿正直に敵か味方かわからない男に名乗るわけないじゃない。


「19歳?15歳かと思った。」

「童顔なの」

眉間にしわを寄せてリザリーは答えた。

「ごめん、ごめん。」

男はニヤニヤした笑みでリザリーを見ていた。

「・・で、あなたは?」


「俺はリカルド・リゼル」

「は?!」

「おあいこ、だろ?そうそう君の荷物は、そこの机の上に置いてあるから」


振り返ると、机の上にリュックが置かれていた。しかも中身は綺麗に机の上に並べられていた。

リザリーは自分がリュックを背負っていないことに今気づいた。

「どういうこと?!」

「さ、君がもっていた染め粉で、はやく髪の毛染めたら?」

「答えになっ」

「質問は君が髪の毛を染めてきたら答えてあげるよ」

腕をつかまれ、染め粉の箱と化粧道具を手渡され隣室の浴室に放り込まれた。

「ついでに体も洗ったら?」

リザリーはしぶしぶ男の言うとおりにした。



髪の毛を染め終わってみると、黒かった髪の毛は男と同じオレンジが強い金髪になっていた。



浴室からでてきたリザリーをみてリカルドは満足そうに微笑んだ。

「これだったら親戚で通るかな~」

「ねぇ」

「さて、君の質問に答えようか」


とりあず座ったら?と男が指し示す椅子にリザリーは腰を掛けた。


「なんで私の荷物があなたの部屋にあるの」

「それは、君が寝ている間にこの部屋に運んだからだよ」

気持ちよさそうに寝てたよね~っと言いながら男は机の上に並べていた白い服を摘み上げた。

―制服・・・昨日のうちに捨てて置けばよかった。年齢の嘘はばれてるってことね。

 でも名前が書いてあるものは何一つもってないからばれてない筈。

「寝ているうちに来てたくせに、さっきはなんで気づいてないフリをしたのよ」

「君を試したんだ。こっちも変な人間を匿いたくないからね。」


リザリーは眉間にしわを寄せて男をにらんだ。

男はそんなことを気にせずに、机の上にあるものを物色しながら言った。

「君が何んで逃亡しているかなんて俺は知らない、俺はただ任務どおりに行うだけだ。

君があの倉庫の扉をあけた鍵は逃亡者が使う鍵でその鍵であの扉を開いて中に入った人間を我々は逃亡者として判断して匿ってわが国に匿うだけだ。」


「我々・・?」

「そこは何も知らない君には企業秘密」

「あっそ、じゃーわが国ってどこの国をさしてるの」

「んーそれも秘密って言いたい所だけど」

男はおもちゃの旅行証を見ながら、リカルドは旅行証の空白のページにどこからか出した大きい印をした。

リザリーは覗き込んで、押された印を見て驚いた。

「リネウス国?!」


押された印はリネウス国から出国したことを表す印だった。

リネウス国は、リザリーの国、スノップ国と敵対している国だった。


「これで君は明日にはこの国を出ないといけない。」

「それ、おもちゃよ」

「おもちゃの箱に入っているからといって、この旅行証もおもちゃとは限らない。

これは本物」

「うそ・・・」

「君は本当に何も知らないだね。」

「・・・っ」


―本当に私何も知らない。知らされてない。

リザリーは悔しそうに椅子に腰を下ろした。


リカルドはため息をついて、席を立ち隣の部屋から食事を持ってきた。

「まぁ、とりあえず食べな。君が食べてる間に俺は必要なものを買い込んでくるから、

分かっていると思うけど、この部屋からは出るなよ?扉を叩かれても俺が戻ってくるまでこの部屋にいろ。あと、窓辺にも近づくな。いいな?」


リザリーは無言でうなずいた。


リカルドは、リザリーの頭をなでるとそのまま部屋から出て行った。

扉が閉まる音と一緒に鍵が掛けられる音もした。



リザリーは腹黒いです。

リカルドもリザリーより腹黒いです。

腹黒い人は相手が腹黒いか分かるものらしいです。

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