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始まりはいつも突然に  作者: siro
第一章
7/50

7)隠

チュンチュン


サワサワ


森林の朝の音が聞こえる。起きなくちゃ


カツ カツ カツ カツ カツ


サワサワ


―足音・・・?

森林の音とは違う石に響く音が聞こえてきた。しかもその音はだんだんと近づいてきていた。


急速に頭が覚醒した。リザリーは周りを見渡しながら、ポケットにしまっていたナイフを握った。

リザリーはまだ倉庫の中、天窓からは朝の日差しがさんさんと降り注ぎ中を照らしていた。

足音は壁側から聞こえてきていた。


―・・・おかしい、この小屋は離れた所にぽつんと立ってたはず。


ギィギィギィ


音と共に石壁が動いて人一人分通れる隙間が出来た。

息を詰めて隠れていると男が一人出てきた。


天窓から漏れる光のある場所まで男が出てきた。

オレンジがかった金髪、瞳は紅茶のような赤に近い茶。

胸元があいたシャツからは程よく引き締まった筋肉が見えた、藍色のズボンにショートブーツをはいていた。腰には短剣がさげられていた。

一目見ただけで、一般人ではないとリザリーは感じた。


「出ておいで、匿ってあげるよ」


男は突然話し始めた。

ばれた?そう思うが、男はこちらをみておらず、倉庫内を見渡していた。

―匿ってあげる?この男はお父様が用意していた人?でも違う気もするわ

出て行くべきか悩んでいるうちに男がため息をついた。


「俺も暇じゃないんだ。あと5秒数えて出てこなかったら、俺は戻るよ。ちなみにそこの隠し扉はこちら側からは開かない」


じゃ、数えるよといって男は数え始めた。


「1」


リザリーは男の後ろにある隠し扉をみた。

ここからだと、隠し扉に行くには男の目に確実に触れることに気づいた。


「2」

男は隠し扉のほうに下がった。


ナイフを腕に隠してリザリーは男の前に出ることを決めた。

「3」


リザリーは隠れていた場所から立ち上がった。

「まって」


「・・・・女の子?」

男は器用に方眉だけ上げて、驚いた風にみせた。

そして、口の端を上げて言った。

「おいで」

言葉と共に壁の隠し扉の中に入っていった。リザリーは駆け出し隠し扉の中に入っていった。

男は入ったすぐの場所に居たため、リザリーは男の胸の中に飛び込むような形になった。

「ぁ!」

「やっぱり女の子か」

男はリザリーがかぶっていたフードをはずして言った。

「扉を閉めるから動かないで」

男が何か小さくつぶやくと扉はゆっくりと閉まり、辺りを闇で覆った。

そしてリザリーは、男の手が腰と背中に回されていることに気づいた。

女学校に通っていたため、若い男に対する免疫が少ないリザリーは内心焦っていた。

―近い!近い!暴れたいけど真っ暗で暴れられないし!どうしたらいいの?!

心音は早鐘のように全身に鳴り響いていた。


男は、身動きしないリザリーを見て楽しそうに笑っていた。暗闇の中、男にはリザリーの姿がはっきりと見えていた。

―耳が真っ赤だ。もしかして男に免疫がないのかな?

 もうちょっと、こうしてたいけどそろそろ戻らないとやばいかな。


「失礼」

そういって男はリザリーを抱きかかえた。

「しっかり掴まって、あとじっとしている事」

「・・・ぇぇ」

男はリザリーを抱きかかえて暗闇の中を歩き始めた。

リザリーは男の腕の中で、壁沿いに階段があり降りていっていることに気づいた。

―どこに繋がっているのかな?


階段を降りきると、木の扉があり男がまた何かつぶやくと開いた。その先はまっすぐな道になっていた。

リザリーは頭の中でなんとなく歩いている方向を推測すると、薔薇庭園のある屋敷の方向に思えた。

また、男が階段を上っていき、何事かをつぶやくと重たい音と共に、暗闇から光が差し込んだ。

リザリーは思わず目をつぶっていると、男は光中にはいっていた。

そこは、どこかの寝室で朝の日差しがたくさん差し込んでいた。


「・・・ここは?」

「俺の宿泊場所」

「ぇ?」

「薔薇庭園のある屋敷の客室だよ」


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