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始まりはいつも突然に  作者: siro
第一章
5/50

5)鍵


書斎の引き出しをあけると中に、ナイフと方位磁石、発光石、何かの粉が入った5センチ程度の小さいビンが5つ、髪染め用の粉が一箱、本物のように作られている旅行セットのおもちゃ、セット内容は旅行証が2つに外国の紙幣。


何か意味があるのだろう、リザリーは迷わずそれらをポケットや鞄に詰め込み、休む間もなく別荘をあとにした。


―お父様は絵の才能がまったくといってなかったけど、今思うと誰かに見られたときにはちょうどいい目くらましね。


リザリーは先ほど手に入れた、手書きの地図を見ながら森の中を進んでいった。


小さい頃、さんざん父親が書く下手な絵を見てきたので、リザリーには落書きのような地図も読み解くことが出きた。

双葉のような形は木で、さっきの別荘の位置を表しているはず、鳥のような形は風見鶏、波型は海、絵の回りをうねっている線は道、チューリップのような形は睡蓮、横に何個もある渦巻状の円は・・・薔薇かしら?

薔薇・・・たしかこの近くに、貴族の屋敷で一般に公開している薔薇庭園があったはず。


私のカンが正しければ、この睡蓮のマークの場所を探せばいいはず。



森の中を進んでいくと、舗装された道を見つけた。

地図を確認すると、この道の上に薔薇園があり、その近くに睡蓮のマークがあるはずだ。

道を歩かず、横の雑木林を慎重に進んでいった、しばらくするとレリーフの施された鉄の門が見え、境界線に高いレンガの壁が続いていた。


門はしっかりと閉ざされ、篝火が灯されていた。辺りに守衛は見当たらず、リザリーは壁沿いに進んで見ることにした。

ちょうど屋敷の裏あたりだろうか、レンガの壁から少し離れた所に倉庫のようなレンガの小屋があった。


近づいてみると、扉の中央に先ほど手に入れた鍵の睡蓮の彫刻と同じ柄がほどこされていた。


―この場所かしら?


小屋の扉の鍵穴に先ほど手に入れた鍵を差し入れると、あっさりと扉は開いた。

中を覗くと物置小屋のようだった。

周りの気配を伺いながら中に入り、扉を閉めた。天井の近くに天窓があり、月明かりがうっすらと差し込み辺りを照らしていた、薪や箒、樽などが置かれているようだった。


かび臭いけど今日は、ここで一晩過ごせそう。


リザリーは奥にある大きな木箱の裏側に隠れるように座ると、緊張の糸がきれたようにすぐに眠りに着いた。


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