45)嘘でもいい嘘と言って
なんとも言えない冷たい感触が首にある。
居心地わるそうにリザリーは首輪に触れるが繋ぎ目が無く、しかもどうやって嵌めたのかいまいち解らないためはずすこともできない。
「なんか、変な感じ」
まるで囚人のような感じがしてしまった。
その様子にリカルドはリザリーの首輪に触れながら言った。
「俺がもっと君に似合う首飾りにしてプレゼントするよ」
「そんなことできるの?」
「できるさ、まーそのぶん作るのに時間もかかるけどね」
リカルドは微笑みながら言った。
「ありがとう」
リザリーはその笑みに気恥ずかしさを覚え、うつむきながらお礼を言った
リカルドは首輪を撫でながらそのままリザリーの肩に指を這わせ、そのまま肩を手のひらで包んだ。
「ぁっ!」
びくりと肩を揺らしたリザリーはリカルドの顔を見上げる。
紅茶色の瞳が熱を孕んだように揺らめいて見えた。
心臓の音が耳に響いて煩い。
リカルドは重いため息をしてリザリーの額にキスを落とし、肩に触れていた手を離してリザリーを抱きしめた。
「・・・着替えようか、服は右手にある扉がクローゼットルーム、そこにある服どれでも好きなものを着ていいから」
そう言うと、リカルドはリザリーの体から離れ、隣の応接室で待ってると言って部屋を出て行った。
「・・・・」
リカルドが部屋から出るのを見届けてから、リザリーはベットにそのまま倒れた。
- へ・・・変な空気だった・・・
まだ心臓がドクドクいっていた。
ため息をつきながら起き上がると肩に風が当たった。
みると先ほどリカルドに触れられていた場所は肩がはだけていた、白いパジャマは薄っすらと肌の色を映し出していることに気づいた。
リカルドの熱を孕んだ瞳を思い出し、脱がそうとしていたのではないかという事に気づいてリザリーはまた顔に熱が集まった。
「・・・・いやいやいやいや!!気のせいだ!キノセイダヨ・・・・・うん。・・・・着替えよう」
思考を断ち切るかのようにリザリーは、言われたクローゼットに入っていった。
そこには何着も服が並べられており、流石王宮と感心しながらリザリーは目に付いた朱色がかったオレンジのワンピースを手に取り、着替えた。
鏡に映る自分は今まで想像できないほど着飾っているように見えた。
こんな格好ができるなんて・・・そう思いながら、赤毛の母を思い出した。
髪の毛に合わせて赤系の服ばかり身に着けていた。
明るい華やかな女性がリザリーの母だった。
思い出して思わず笑みがこぼれた。
いつも突拍子も無いことをして、父を驚かしていた。
「お母様に会いたい。・・・リカルドに言ってみよう」
足取りは軽く、リザリーはリカルドが待っている部屋へと急いだ。
「リカルド」
声をかけると、長いすに座っていたリカルドは立ち上がり振り返った。
リザリーの姿を見ると微笑んだ。
「リザリー良く似合うよ。」
「・・・ありがとう」
あまりにも優しい笑みにリザリーは俯きながらお礼を言った。
優しく手をとられ、リザリーはリカルドに抱きしめられた。
「はぁ~誰にも見せたくないな」
「ふふふ、ありがとう」
リザリーは笑いながら、リカルドの腕から抜け出した。
早く言わないと言うきかいを逃してしまう、そう思ってリザリーは口を開いた。
「ねぇ、リカルド。もう戦争が終わったし、お母様と連絡をとりたいだけどできるかしら?」
「っ・・・」
リカルドの顔は笑顔から一点、表情を変えた。
その様子にリザリーの顔からも笑顔が消えた。
「リカルド?」
リカルドは気まずげに目を伏せてから、リザリーの両肩を優しく包み込むように掴んだ。
そして目線を合わせて口を開いた。
「・・・リザリー君の母君は・・」
重い空気に”もしかして”そんな思いがよぎった。でもあの母だ。そんなはずは・・・
リザリーは不安でゆれる心に蓋をして、なんとか微笑もうとした。
「リカルド?」
リカルドの瞳は不安を押し消し、ガラス球のように感情が読めなくなった。
「亡くなったよ」
リカルドの瞳の中に自分が映っているのが見えた。
その顔は驚愕した姿。
まるで他人を見ているような感覚。
ー 今なんていった?
瞳の中に映る人は口を開いた。
「うそ」
「スノップ国の軍に捕まるのを拒否して自殺した。」
キリがいいのでUpしますた