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始まりはいつも突然に  作者: siro
第二章
42/50

42)脱線


「小娘・・・」

リザリーの言葉にウサギはどすの聞いた声を発した。


「父上、本当のことなんですから、威圧感出さないでください!!!」

立ち上がりながら大叔父様ヴァルキスは言った。

「カイザーが助兵衛なのは元からよね♪」

カイゼリンは笑いながら、ウサギのぬいぐるみ元いカイザーを抱きしめ頬擦りした。

「カイゼリン・・・お前は・・・」

成されるがままになっている様子に、リザリーが唖然としているとリカルドが耳打ちをした。

「カイザーはカイゼリンに甘えられると弱いんだよ」


なるほど!つまりバカップルなのか!!と納得しているとウリウス王がため息をついた。


「はぁ、保険ってこういうことだったんですね。」

カイザーとカイゼリンを見ながら脱力したようにウリウス王は椅子の背もたれに体を預けていた。

「なんでもっと早く言ってくださらなかったんですか、父上!!」

「気づかないお前たちが悪い。俺からカイゼリンを離すわけ無いだろうが」

カイザーは言いながら、ネコのようにカイゼリンに甘えるしぐさをしていた。


話の見えない会話にリザリーはリカルドの袖を引っ張った。

「ねぇねぇ、どういうこと?」

戸惑ったようにリカルドは口を開いた。目線はいまだにぬいぐるみに向けられていたが。

「あ・・あぁ、あのぬいぐるみ、あの中に居る人がカイザーだったんだ」

「カイザーって・・?」


「グレイアス連合王国皇帝,カイザー・フロイアンス・カファレル。最高神って言った方がわかりやすいか」

「ぇ・・・最高神?!」

うなづくリカルド

「じゃーカイゼリンはもしかして・・・」

「最高神の花嫁といわれてるね。」


「う・・・そ・・・」

神話で読んだイメージと違いすぎてリザリーは思わず呟いてしまった。最高神はもっとこう厳つく固いイメージだったが、今見る限りだとただのバカップルにしかみえない。


「はぁー父上、その姿で話すのをやめてください。気持ち悪い」

大叔父様ヴァルキス席に着きながら言った。



「しかたない」

ウサギが腕を振るうと壁の一部が光り、別の部屋へと繋がった。正確には、別の部屋を映し出しているのだが。

そこには、金髪碧眼の体格のいい男がちょっと蒼を基調とした古めかしい衣装にマントを羽織って装飾が施された豪華な椅子に座っていた。その後ろには薄茶色の同じく古めかしい衣装を着た男性が控えていた。


「これが最高神」

絵などに描かれている感じと同じように威圧感のある圧倒的な印象を与える男性だった。あのウサギから発せられる声にも納得ができた。


カイザーは、カイゼリンを見ながら口を開いた。

「満足したか?カイゼリン」

ウサギのぬいぐるみを弄りながらカイゼリンは小首をかしげて唸った。

「まだちょっと不満足」

カイザーは方眉を起用にあげて見つめ返す。

皆無言になり、二人のやり取りを聞いていた。


唸っていたカイゼリンは、ぱっと顔を輝かせてカイザーに言った。

「あのね、カイザーお願いがある「却下だ」」

速攻で阻止され、カイゼリンは口を尖らせた。


「なんでよぉー。まだ最後まで言ってないじゃない!」

「俺にとっておもしろくないお願いだろ?十分お前のわがままを聞いたんだ。早く帰って来い」

「むー・・・」

不服そうな顔をして、カイゼリンは頷く気配が無かった。


「私リザリーを養女にする」

「「ぇ?!」」

リザリーも他の人々も驚きカイゼリンとカイザーを見た。

カイザーは不機嫌をあらわにして怒鳴った。

「駄目だ!!!」

「駄目じゃないもん!決めたもん!!!」

その迫力に、カイゼリンは立ち上がって反論した、目にはちょっと涙が浮かんでいるのは気のせいではないだろう。聞いているこっちでもカイザーの怒鳴り声は怖いものがあった。


「リザリーは私の子と同じなんだから!!!」

「駄目だ!!!お前の子じゃない、こいつはクローンだ。ただの質の悪いコピー品だ!!!!」

「ぇ・・・」

「カイザー!!!」「父上!!」

皆、カイザーの発言に焦った。


リザリーは言われたことの意味がわからず唖然とした。

気づくとリカルドが庇うようにカイザーとリザリーの間に立ち、リザリーの手を握り締めていた。

リザリーはリカルドの手を軽く引きながら聞いた。

「コピー品って・・・、クローンって・・・誰のクローンなの?」

「リザリー・・・」

リカルドは困ったような焦ったような顔をして、口を開きかけてやめてしまった。


「カイザーの馬鹿!!馬鹿!!馬鹿!!馬鹿!!大っ嫌い!!!リザリーを養女にしてくれるまで絶対に帰らないだから!!!」

もうすでに半泣き状態のカイゼリンは、そう叫んでからウサギのぬいぐるみをカイザーに向かって投げつけた。

そのウサギは壁を通り抜けてカイザーの顔面に直撃し、カイゼリンが腕を振るうと映し出されていた映像が消え元の壁へと戻った。


大叔父様ヴァルキスは、カイゼリンに駆け寄った。

「母上!!通信を切断するなんて!!やりすぎです!!父上が怒り狂いますよ!!」


「流石カイゼリン、映像のみの通信魔法を一瞬で変化させて物を投げ入れるなんて。」

後ろに控えていた男性の一人が、感心したように言った。

「そこ!!関心するな!!」

大叔父様ヴァルキスは突っ込みながらもカイゼリンを慰めるように腕を取った。だがカイゼリンはそっぽを向いて一言。


「いや」


「母上!!」


「知らない!!私怒ったもん。カイザーが謝るで帰らないもん。リザリーに説明するほうが先決よ。カイザーは後でいいの!!」

そっぽを向いたままカイゼリンは頬を膨らましていた。


「確かにカイゼリンの言うとおりですね。誰かさんに話の腰を折られてしまいましたが。」

ウリウス王は、苦笑しながら座るように促した。


話が脱線してしまった。。

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