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始まりはいつも突然に  作者: siro
第一章
35/50

35)攻防と策士

リカルドはクラウスに向かって剣を振り落とした。

クラウスはギリギリで横へと飛躍し避けると、いままでいた場所に亀裂が入った。

立ち上る砂煙に顔をしかめながら、クラウスは薄笑いを浮かべた。


「必死だな」

クラウスは懐から術式を書いた紙を取り出し、術を開放した。


≪展開せよ≫

紙からは炎を身に纏った狼のような獣が現れ、リカルドに向かって咆哮しながら襲い掛かった。


リカルドは襲い来る、炎の狼を避け剣で真っ二つに切り裂いた。だが、炎は一度大きく燃え盛り分離したまま、また狼の形を象った。

「ちっ」


「俺を甘く見られては困るな~陸軍中将ゲネハートンタッツ


迫り来る炎の狼を避けながら、リカルドは術を紡いだ。


≪空気なる水。集まりて、弾丸となれ≫


発すると同時に、リカルドの周りに水の球体が出現し炎の狼から身を守りながら、攻撃へと転じていった。

ボシュボシュという水が蒸発する音とともに、水の弾丸は炎の狼の体を突き抜け、炎を消していく。


「ふんっ、むかつく奴だな」


≪風の刃≫

リカルドは炎の狼を消し去ると同時に、クラウスに向かって剣を凪いだ。

それは、魔力を込めた風の刃となって空気を震わせて行った。


≪展開せよ≫


クラウスはすぐさま術式の紙を取りだし防壁を出現させた、それはリカルドの風の刃を受け止め爆風と共に霧散した。


「さすが、天才といわれただけはあるな」


「はっ、嫌味か?始祖再来と言われた男が」


お互い、対峙したまま睨みつけた。


リカルドは、クラウスの身にまとう魔力をみて内心安堵した。

「どうやら、まだ契約は済んでないらしいな」

「ふん、時間の問題だ」


クラウスは手を差し出し呟いた。

≪捕捉せよ≫


その途端、地面から蔦が伸びリカルドへと向かった。


「いろいろ仕込んでやがる」


「力任せに突っ込んでいくような馬鹿とは違うんでね。策士とよんでくれ」


優雅に立ちながらクラウスは背後に立つ者から銃を受け取った。

避けつつ、自身に絡みつきそうな蔦を切っていたリカルドは、その様子を伺った。


「それだけ、技術があるのに魔力が無いなんて、さぞ不便だろうな」

挑発するように、リカルドは一気に蔦を燃え上がらせ消し去った。


ガシャンという鉄の無機質な音と共にクラウスは受け取った銃の引き金を引いた。

爆発音と共に銃弾はリカルドに向かって飛ぶが、それはせり上がった土壁によって阻まれ、轟音と共に視界を土煙で奪った。


「ふんっ、むかつく奴だな、4大要素を操れるのか。」

先ほどの水、火、土の魔法を使った姿を見て、忌々しそうに呟いた。


「わが国では基礎だからな」

ブンと空気が揺れる音と共に、クラウスは瞬間移動をし空中へと浮遊した。いままで自身がいた場所にはリカルドが立ち、剣を横になぎ払ったままクラウスを睨みつけていた。


「はっ流石、神の愛したリネウス国だな」


「貴様が持っている、その銃は神に見放されたスノップ国のものだな」


リカルドが地を蹴ると、一気にクラウスに接近し剣を振り落とす、それを塞ぎながらクラウスは笑った。


「その通りさ、神に見放された者は魔力よりもより高度な技術を手に入れた。その力で今度は神を征服してやる」

「無駄なことを」

お互い一歩も譲らない攻防の中、湖から爆音が響いた。


ちらりと横をで確認すると、リネウス国の艦隊の一つが沈んでいくのが見えた。どうやらスノップ国の爆撃によって沈められたらしい。

「世界屈指と言われる国でも、魔力だけに頼りすぎてると痛い目に見るということが証明されたな。」


「・・・」


「今最強の武器は、魔力と機械を合わせたものなんだよ」


リネウス国の艦隊を落としたことで、ガリエス国とスノップ国の兵士は雄たけびを上げていた。

リカルドは何も答えず、ただ耳をすませた。


 - まだ、動作させていないのか。


何の反応も示さないリカルドに、クラウスは眉間に皺を寄せた。


 - なんだ、リネウス国の兵士も、こいつも表情を変えない。



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