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始まりはいつも突然に  作者: siro
第一章
28/50

28)捕らわれて、捕らわれて

空から落ちた衝撃で気を失っていたリザリーは、体に受けた衝撃で意識が浮上した。

目覚めると、薄暗い空間に天蓋ベットの天上が見えた。


「さて、リザリー嬢。僕と一緒になろうか」


声がした足元を見ると、クラウスが上着を肌蹴させて立っていた。


「ぃ・・・」


”絶対に君は、クラウスの前で了承するような答えを発しないでくれ。むしろ口をつつで居たほうがいい、彼は何が何でも君を手に入れようとしてる。”

頭の中で響くリカルドの声が響いた。


リザリーは首を横に激しく振り拒絶し、あとずさった。その足をクラウスが掴み取る。

「離して!離してよ!!」

あっけなく引き寄せられて、足を広げられる。

これから何が行われるかなど考えたくも無かった。


「君が色よい返事さえしてくれれば、優しくするし、すぐ終わるよ」

言葉とは裏腹に足首にかかる圧迫感は増し、強引に進めていく様は命令しているのと変わらず、見下したような瞳でリザリーを追い詰めていった。

一生懸命足を閉じようと膝を閉ざそうとするが、それを邪魔するかのようにクラウスの手が伸び押し広げられる。

「やっ・・・嫌!!!」


「知っているかい?最高神と花嫁は、体を繋げて半身の契約を行ったそうだよ。僕たちもそれに習おうか」


息が凍る。


血の気が頭から引いていくのが解った。


「女性はロマンチックなほうがいいだろ?」


クラウスの言っている言葉を理解しているはずなのに、頭がそれを拒絶する。


ただ口から漏れた言葉は


「・リ・・カ・ルド!!・・リカルド!!!リカルド!!!助けて!!」


叫んでも来ないことは解っている、それでも叫ばずにいられない。


「ちっ。煩い!!」


バシッ!!という音と共に視界がぶれた。

それはクラウスに頬をはたかれたため、口内に錆びた鉄の味が染み渡った。


「決めた。泣いて許しをこうまで止めない」


それは、死刑宣告のように聞こえた。

リカルドから貰った服は、抵抗むなしくビリビリと耳障りな音と共に引き裂かれていった。

あらわになる下着、クラウスは、足を押さえ込んだままショーツに手を差し入れた、不愉快な感触にリザリーは暴れる。


涙で視界が歪む中、片隅に鈍く銀色に光るものがあることに気づいた。それは・・・


握り締めると元の大きさに戻り、ずっしりとした重さを手に伝えた。


リザリーの下着に手をかけていたクラウスは、抵抗をやめたリザリーに気づき顔を上げると


パン!!!


クラウスは肩に衝撃が走り、そのまま後方に倒れこみベットからおちた。

リザリーは震える手でリカルドから貰った魔法の銃でクラウスの肩を打ち抜いた。震える体を叱責しベットの横から滑り落ち、震える足を叩いて走り出す。


起き上がったクラウスは肩から血を流し立ち上がった。

「この!!くそあまがっ!!」


怒声を背後に聞きながら、近くにあった扉をこじ開けるとまた、部屋へと繋がっていた、無我夢中で次の扉を開けていくとやっと廊下へと出れた。

素足で、下着姿のまま。格好などかまわずリザリーは廊下を走る。

飛び出せば見知らぬ王宮のような豪華な廊下だが、人いなかった。後ろからはクラウスの罵倒が響いている。


銃は手を離すとまた、小さくなり首元で揺れていた。

窓の外はまだ明るく、少し日が傾いてるように見えた。ただひたすら廊下を走り隠れられる場所を探そうとするが、背後から迷いなく近づいてくる気配に、リザリーはひたすら逃げ惑った。


「リカルド・・・リカルド・・・」

震える声で、今一番側に居て欲しい者の名が漏れた。

目が熱い、こんな所で泣いてなど居られない。そう思うのに頬からたれていく。


誰も居ない、薄気味悪い廊下。


こんなに広いのに、誰にも会わないことにリザリーは気づき始めた。


 - おかしすぎる。



逃げ惑った先の廊下の突き当たりに扉が見えた。

リザリーはその扉に手をかけるが、むなしくガチャガチャなるだけで開くことはなかった。


後ろからはクラウスの声が聞こえてきている。


 - まだ距離が十分ある、落ち着け!!


銃を使えば、と思い首から提げている銃を手に取り撃とうと構えると


「物騒なものを持っているね。」


やんわりと後ろから抱きしめられた。


「っ?!」


その声はクラウスではなく、見知らぬ男の声。


「なかなか、気の強いお嬢さんでよかった。まだ契約を結んでいないみたいだね」

「だ・・・れ・・・」


リザリーは自分の毛が逆立つのを感じた。


あいつクラウスに契約されると困る者とでも言っとくかな。」


「・・・逃がしてくれる・・・わけじゃなさそうね」


「もちろん」


そう言って、男はリザリーが持っていた銃を取り上げた。


振り返ると、そこにはクラウスによく似た男性が立っていた、違うのは彼よりも幾分年上な雰囲気と背の高さ、瞳の色が青いところだ。


「ダリウス!!!」


追いついたクラウスが忌々しげに男の名を呼んだ。


「じゃーまたね。」


ダリウスはクラウスに振り返らず、リザリーに手を振った。


その瞬間、リザリーの足元は光り輝き目を覆った。



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