24)信用か警戒か
目を覚ますと粗い木目の天上が目に映った。
起き上がるとミシミシときしむ簡素なベットの中にいた。
「ここは・・・」
あぁ、そうだリカルドに連れられて軍の飛竜船に乗せられたんだ。柄にも無く泣き叫んでしまった、そう思いながら起き上がり体の確認をする、どこも異常もなく、縛れらた様子も無い。手は恐怖からか先ほどから震えているし、やけに心臓の音が響いているが気のせいだと言い聞かせてで立ち上がり部屋の中を物色し始めた。
壁にはクローゼット、小さい机にある引き出しには紙と鉛筆、壁にあるカーテンを剥がすと窓がついて外が眺められた。
眼下には森と川が見え、小さな筋は道らしく、その先の遠くのほうに町があるのが伺えた。
カーテンを閉め、唯一ある扉を捻るが案の定開くことは無くガタガタと鈍い音を鳴らせただけだった。
「閉じ込められた。」
小さく息を吐き、くじけそうな心をなんとか持ち直した。
まだ、最悪の状態とは決まっていない、自国の軍ではなくリネウス国の軍・・・自分がこの後どうなってしまうのか、まったく予想がつかなかった。
ベットに腰掛てリザリーは思案した。
リカルドは逃がしてくれると言った、事実船で捕まりそうになった時には隠してくれたしここまで逃がしてくれている。それを考えても、リネウス国の軍が自身をスノップ国に渡されることは無いと思われた。
でも、軍が迎えに来たというのが引っかかった。
そうこうしているうちに、ノックと共にリカルドと男二人がはいってきた。
だがリカルドは、先ほど一緒に居たときの格好でなく軍服、それを意味するのはリカルドは軍人だということ。
手にはプレート、その上にはスープとパンと水が載せられている。
一人の男が壁にぴったりと付けられていた机を部屋の真ん中に置きなおし、その上にリカルドはプレートを置いた。
「どうぞ、座って食べて。大丈夫何も入ってないから」
そういってリカルドは椅子を机のところまで持ってきてリザリーを促した。
リザリーは迷ったが、指示に従い椅子についた。
「食べて」
お腹も空いていたので、リザリーは出された食事に手を付けた。
何かするのなら、リザリーが寝ている間にしているはずだ、それに何も持っていないリザリーに話を伺うこともないだろうと判断して胃を満たしていった。
リカルドは、ニコニコしながら簡易椅子を持ってきて、リザリーが食べきるのを待ってから口を開いた。
「落ち着いた?」
「・・・えぇ」
「不思議そうに見ているね。」
当たり前だっとはすぐに口には出さなかった。飛竜船には脱出用の浮揚機があったことを思い出し、リザリーは瞳を伏せた。
その様子にリカルドは、どうリザリーが動くのか待っていた。
男が二人リカルドの背後の壁に立ち、扉はがら空きだった、きっと中からは鍵が閉められない構造になっているのであいているはず。とりあえず会話を行って隙を見るか、と思いついたリザリーは口を開いた。
「あなた、軍人だったのね。」
「ごめんね、黙ってて」
全然悪気のなさそうな回答にため息をつき立ち上がった。
「私はどうなるの?」
「いったろ、俺の仕事は君を逃がすこと。そこは信じて欲しい」
その言葉は信じられなかった。お金でも払っているのなら仕事として助けてくれるのはわかる、だがリザリーは何一つとしてリカルドに渡していない、最初に教師に渡されたお金はいまだに身に着けている。無償で、しかも国が助けてくれるなどと裏があるとしか思えない。
「逃がすのになんで軍の飛竜船に乗らなきゃいけないのよ」
「必要だったから、このほうがより早くつける。君に危害は加えない、安心して」
- 安心?どう安心しろと?国は損得勘定で動くもの、何か私が知らないことを知っている・・・。
国が動くほどの価値が自分にあるとは思えない、そしてまだ重要なことを何も話していない。
リザリーはコツコツと響く床をゆっくり歩いた。
これ以上ココに・・・彼と一緒にいるのは危険。そう本能で感じた。
狭い室内は5歩ほどで壁に辿りつくそのためリザリーは往復しながらリカルドの横に立ちどまった。
ちょうど扉が目の前にある。
そして、扉に向かって飛脚し開けたが、すぐに腰を掴まれベットに投げ入れら抑えれた。
「うわぁ!」
軽く舌をかんでしまい、口の中に血の味が広がる。
「話を聞く前に出て行かないの。危なっかしいな君は」
両手を片手で押さえられ、太ももを足で押さえれた状態、軽く押し倒しているような格好にリザリーは抵抗しようとしたが、リカルドの制服の肩についている階級章を見てリザリーは固まった。
国によって違うが、階級章の配置で大体の階級がわかる。
抵抗をしないのを確認してから、リカルドはリザリーの体の上からどき、リザリーを起き上がらせた。
だが、リザリーの目はいぜんとしてリカルドの肩に目がいっていた。
周りの軍人が付けている階級章は、星とその下に翼を広げた柄は部署を表す刺繍、囲うようにシンプルなラインが施されている、これらの組み合わせで細かな階級がわかるらしいが、リザリーはそこまで詳しくない。ただ解るのは、空に関連する翼を使うこの人たちは空軍であるということと、この場にいる人たちの大まかな順位くらいだ。
だが、リカルドに付けられているのは、百合の文様が三角形の角に位置され、その下にあるのは陸竜を象った柄、囲うように施されるシンプルなラインは上部で一度円を描いている。
動物の体の全体を入れた柄、星ではなく凝った文様それが意味するのは・・・・将官クラスの人間。
「リカルド・・・貴方何者なの?」
さっと、リカルドは跪きリザリーの手を取り顔を上げた、それは騎士が忠誠を誓うようなポーズ
「リカルド・ヘルツォーク・リネウス・グルス、リネウス国陸軍中将 これより貴方を我が国で重要賓客として保護いたします。」
リザリーは固まった。ヘルツォークは確かリネウス国で公爵を表す爵位、そして名前に国名が入っているのは王族の印なのだ、そして陸軍中将
「な・・んで?」
彼はただのスパイではなかったのか?陸軍中将がやる仕事ではないはずだ。
「あなたのお父上はわが国のスパイでした。我々が知らないほど特殊な・・・国の中枢にまで入るための。」
「うそでしょ?」
お父様がリネウス国のスパイ?
「何を言っているの?意味がわからない」
引きつった笑みを浮かべてリザリーは言った。
「詳しいお話は、わが国でお話します。リザリー嬢、どうぞ信用してください。」
そう言ってリカルドは頭を下げた。
リザリーの手には銃を渡し、もしもの時のためだとリカルドは微笑んで渡した。それは魔法が掛けられた銃。
呟くとアクセサリーほどの大きさになり紐をかけて首に下げさせられた。
- 私の父が特殊なスパイ?だから国が動いた?それがどれほど重要なことなのか解らない。国は知っていて私を探しているの?
護身用に銃を渡された・・・これが意味するのは?
リザリーは困惑しながら、受け取った銃を握り締めた。
階級章はウィキペッディア見ながら妄想しました。
見かたが難しいですね。
リカルドは、この船に乗っている中で一番階級が上です。