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始まりはいつも突然に  作者: siro
第一章
23/50

23)その価値は

「君は自身の価値を何一つ分かってないんだろうね」







   ** ** *** *** 







リカルド達は、代将コマンドールから国からの指令を聞いた。

6人掛けのテーブルにリカルド達と軍人が並んで座っている。

リカルド達は先ほどのラフな格好ではなく、軍人と同じ蒼い軍服に身を包んでいる。


重たい空気のなかリカルドは口を開いた。

「本格的にあちらさんは攻め入る気か。」

「はい、すでにカイゼリンを召還したそうです。」

代将コマンドールからの返答にリカルドはため息をついて、目を覆った。


「また過去の過ちを繰り返す気か?!あの国は!!」

ルーディスは立ち上がり声を荒げた。

「それにしても静かね、カイザーが動いた様子がないわ」

「確かに、二度も攫われたとしたらカイザーは今度こそあの国は滅ぶだろに、まだそんな情報がきてないな」

「何か、まだ我々に知らされていないことがあるのでは?」


「それは、これから開封いたします。」


机の上に広げられた洋紙皮には術式が描かれていた、その上に皆手を載せる。


『認証確認』


リカルドが唱えると置かれた手のひらから術式が広がっていく、それは人によって色さまざまに。

それが元から描かれている術式にたどり着くと強く光り、手元の目の前に名が刻まれた。

全ての人の名が刻まれるのを確認してからリカルドはもう一度唱えた。


『展開』


術式が強く光りその場所を覆いつくした。


先ほど机があった場所に綺麗なマントを羽織った金髪の男が一人立っていた、皆宙に手を置いたままの状態でその男を見ている。


「さて、そろったようだな。」

「王みずからとは、最悪ですね」

リカルドが苦虫をかんだような表情で男の顔をみて言った。

周りの者はいくぶん緊張したおももちで、男・・王を見ている。


「まぁな、今スノップ国とガリエス国の状況は皆わかっていると思うが、なぜ君達を戻すために軍を動かしたか説明しようと思ってな、こちらが一番重要な内容なのだよ。リカルド、君が連れてきている娘が誰だかもうわかっているか?」

リカルドがうなづく。王は周りを見渡してから言葉を紡いだ。


「他の者はまだ知らぬようだな、スノップ国の軍師ボルドー・ディ・クライスアンスの娘リザリー・ファイネス・クライスアンスだ。彼女を早急にわが国に入れるために動かした。」

「な、黒き竜の娘?!」

リカルド以外の人達がざわついた。


「そう、だが彼女の父ボルドーはわが国の人間・・・・・・だ。リカルドが送ってきた逃亡者証明の鍵、あれはボルドー専用のもの。本来なら登録された鍵は登録者以外は使用できないが、事前に報告がきているため許可した。娘が持ってきた場合、最悪な事態を招くとも報告されている。ボルドーの妻は軍事実験の被害者だった、だが失敗作として価値がなく見放されていたのだが、その妻から生まれた子、リザリー嬢は、軍が求めていた成功例として生まれていた。ボルドーはすぐに気づきばれぬように保護魔法を施したが、成長するにつれて気づきはじめた軍関係者がいて、なんども探りを入れられたそうだ、それを何とか誤魔化してきたが、そろそろ隠し通せなくなってきているときに・・・」


「ボルドーは亡くなった。」

リカルドは無表情で残りの言葉を紡いだ。


「そう」


「彼女が通う学園には、わが国と繋がりの深い者が多く存在してね。逃がしたという報告も受けている。その後軍が学園に来たことも」


「超最悪!探し人にしては大げさに軍が血眼になって探してると思ったら!それって追われているっていう事でしょ?!」

嫌そうにメルは言うのをスイは咎めた。

「メル!」


「ぁあ、追われている。そのために、我が国の重要賓客として招き入れる。そのように対応してくれ。」

手を上げてこれ以上は話は無いことをしめすと、皆あいてる手で敬礼をした。

王が手を横になぎ払うと、リカルド以外の人々が消えうせた。


「で、他に聞かれてまずいことはなんですか」


「あぁ、カイザーは今の所我々に物事を任されてくださった。」

「よく承諾しましたね?」

「超ー大変だったよ、大叔父様も手伝ってくれたからなんとかなったけどさーって話がそれたが、リザリー嬢は、スノップとガリエス両方に追われている。むしろ警戒するべきはガリエスだ」


「やはり・・・」

「知っていたのか?」

「えぇ、船に乗り込んできた軍にクラウスと呼ばれている男がいました。その男はリザリー嬢を探していて・・」


「そこまで来ていたか、そいつは、第四王子のクラウスだ。ボルドーが結界やらナンやらを張っていたというのに半身がリザリー嬢だと気づかれたらしくてな」


「ということは、ボルドーどのはリザリー嬢に半身がいると知っていたのですか?」

「あいつも、我が王家の末端だが仕来しきたりは知っている。生まれてきた子に半身がいるかの祝福の術は行っている。」

祝福の術、リネウス国の王家のみに伝わるもので、生まれてきた子に半身が存在するか否かを占うものだった、そしてその半身が子に対して幸せを運ぶのか不幸を運ぶのかも・・・。幸せを運ぶ場合は、成人となったときに半身の居場所を占う呼寄せの術を行う。だが不幸を呼ぶ場合は生まれた子に呼寄せの術を反発させる術を施すのだ。


「隠されたということは。彼女にとってクラウスは不幸を招く存在」

王はうなずき、国政でなんどか顔を合わせたことのあるクラウスを思い出していた。

「性格悪いからなーあの王子は、魔力が少ないからましだったが・・・」


そう言って王はリカルドの前から消えた。




浮遊感と共にリカルドは元の会議室にいた。

皆、手を洋紙皮から手を離し、思い思いに口を開いた。


「はー王自ら魔空通信まくうつうしんを行うなんて、質問したくてもできないじゃな~い」

メルは口を尖らせて言った。


「最低限必要な事だけでいいんですよ、俺達が対処できる範囲内の情報で」

スイがあきれたようにメルに対していった。


「で、どうするよリカルド」

ルーディスがリカルドに向き直った。

「この様子だと、どこの国境にも監視の目がある、本国に着く前に戦闘になる、常に周囲を警戒しつつ最短距離で向かう、戦闘できるよう準備しとけ、あちらも馬鹿じゃない。」

「スノップ国なんて機械系の武器は強いけど魔力は点でだめじゃなーい。そんなピリピリするなんて」

「口を慎め、ルイ!」

今まで黙っていた代将が声を張り上げた。



スイはため息をつきながらリカルドに言った。

「リカルド中将ゲネハートンタッツ。その前にリザリー嬢に納得いくように説明をされるのが先決かと」


そうだな、と呟いてリカルドはリザリー嬢を思った。

ちゃんと説明しなければ彼女は一緒に国には行ってくれないだろう、むしろ隙を見て逃げ出すかもしれない。


彼女にどこまで話すべきか悩みながら会議は終了した。





サブタイトルは、回答編って感じです。

やっとこっさ、明確な形でリザリーが追われる理由が出てきました。

人数増えるとややこしいということに気づきました。

これ以上増やしたくないなーとか思いつつ。。



なんとなく横文字カタカナに意味を持たせてます。

全部ググって調べたのですが、英語とかドイツ語とかごっちゃごちゃです。

読みがなくて発音してくれる所で耳コピしたのもあるので合っているかわかりません。


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