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始まりはいつも突然に  作者: siro
第一章
17/50

17)夢心地に 第一幕

夢みたい。

リザリーは、追われていることも忘れて目の前に広がる光景に酔いしれていた。

手はしっかりとリカルドと繋いだまま、きらびやかな廊下の先にある劇場へと脚を運んでいた。


上級階級の乗る飛竜船には劇場がついていたのだ。

「今夜の演目は最高神の花嫁の話しらしいよ」

リカルドは先ほど渡されたパンフレットを見ながらリザリーに言った。

「最高神の花嫁・・・神話の?」

神話はリザリーのいたスノップ国には広く伝わっていなかった、外国には天上界に住む神々の話だと。

そして”最高神の花嫁”は最高神が愛する唯一無二の女性との出会いの話。

「あぁ。・・・ぁ~女性向きにつくられてるな」

「?」

「あらすじを読めばわかるよ」

そういって、リカルドはリザリーにパンフレットを手渡されたが、ちょうど劇場の扉につき読む前に席へと移動した。

そこはボックス席。

「ぇ・・・」

「さぁ~どうぞお姫様」

リカルドはそのまま、リザリーの手を持ったまま、ベルベット生地の二人掛け椅子に座らせた。

リザリーはびっくりした。リカルドを見ると微笑を浮かべていた。

「リカルド・・・お兄様」

「ん?」

「ボックス席なんて」

「俺からのプレゼント、気に入らなかった?」

そう言ってリカルドはリザリーの手の甲にキスを落とした。

「いいえ!とってもうれしいわ」

たとえ、今追われている状況でも豪華な衣装においしい料理、セレブしか乗れない船にのり劇場にいる。

リザリーにとってまさしく、夢心地なき分だった。

 - 今だけ、いまだけうかれててもいいよね。こんな豪華な所二度とこれないだから

そう、心の中で呟いてリカルドに抱きついた。


そうこうしているうちに劇は始まった。

暗い舞台の上に、スポットライトが一筋差し込んだ、そこには白い質素なワンピースをきた長い黒髪の乙女が石の上に座り佇んでいた。


 √~ 暗い暗い森の中

 ~ 一人ぼっち 


静かな悲しいメロディーで乙女は歌い始めた。

その声にこたえるように、暗闇から獣の格好をした人たちが暗闇の中から歌いながらでてきた。


 √~ 僕たちの女神、僕たちの聖女

 あなたは、僕たち魔物の光り 優しいあなたを守るためならば

 

乙女を囲むように、獣の格好をした人たちが歌う姿は恋い慕うように見えた。

切ない恋の歌のようだった。


ライトが落ち、場面が切り替わる。

背景が豪華な壁に変わり、豪華な衣装を着た貴族たちで溢れかえっていた。


 √ 誰が最高神の花嫁になれるか

 さぁ、娘たちを最高神の花嫁に!


リズムカルに流れる曲調と共に欲望にみなぎった歌詞が流れる。

自分たちの娘である女神を最高神の妻へと担ぎ上げようとしていた。


「神様の世界も人と同じなのね」

リザリーは思わず呟いてしまった。

「・・・そうだね」


金髪の男の人が人々を割って出てきた、ひときわ豪華な衣装を身に着けたかの人物が最高神。


 √ 我が魔力を受け止められるものこそが

  我が花嫁にふさわしい


花嫁へと望んだ娘が最高神に触れると、叫びながら倒れた。

それでも、他の娘たちが近づこうとするのを最高神は振り切り、その場を後にした。


一人孤独に歌う最高神に声をかける老婆。


 √ 半身ならば貴方の魔力を受け止められるでしょう

 

 √ 半身、魂と魔力の番い。得たならばより強く

   ただし、出会い分け合えば、その命片方でも無くせば・・・待つのは死のみ

 

 √ だが、真に貴方の子を宿すことが出来る存在

   覚悟があるならば

   行くがいい

   それは秘された森の中に住む女神


最高神は老婆に教えてもらった森へと向かった。

そこには、黒髪の乙女が一人歌いながら獣を撫でていた。


一目で恋に落ちた最高神は、とめる獣たちを退け乙女を森から攫ってしまった。



第一幕がそこで終わった。


リザリーは舞台から目が話せなかった。

「神様ってもっと偉そうにしてるのかと思ったけど、孤独なのね。しかも花嫁の乙女も森の中で一人でいるなんて・・・」

「・・・の最高神は力が強すぎるからね。」



他の作品を読んでいらっしゃる方がいれば、お気づきだと思います。

軽くネタバレかもしれないですね。

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