11)不安
リザリーは、リカルドから説明を受けた姪っ子の性格を考えた。
「だいたい好きで追いかけるくらいだから、自分に自身がある子だよね。そうすると服も派手な感じかな?」
手渡された服の中から一番派手なものを選んだ。
ピンクのドレスは、縁がフリルでところどころにリボンがあしらっている可愛らしい服だった。
着ると自分の体形にぴったりだった。
「・・・・うわ・・・サイズがぴったり・・・・」
そういえば、お父様も目分量で体のサイズを測れる人だっったわ、彼もそうなのかしら。
ということは、そうとう女遊びが酷いわね。
昔父に聞いたことを思い出したのだ、なぜ目分量で測れるのかと、答えは簡単だった
若い頃に目分量で測れるくらいに見て触っていればなれると。
そして、そんな男は女遊びが激しいから付き合ってはいけないよとも、自分はどうなんだと思ったが口にはしなかった。
きつめに化粧をしなおして、バスルームから出るとリカルドはすでに荷物をまとめ終わっていた。
紺色のジャケットを羽織っている姿をみるとそれなりの貴族の息子のようにみえた。
「さて、いくか」
女は度胸よ!そう思いリザリーはリカルドの腕にしがみついて言った。
「えぇ、リカルドお兄様」
リザリーの満面の笑顔にリカルドは、びっくりした顔をしたがすぐに笑顔で返した。
「あぁ、そうだ出る前に一つ」
そういって、リザリーの頭に手のひらをのせて何事かをつぶやいた。
「何をしたの?」
「可愛がっている姪っ子なんだからね、効力は10日くらいかな」
「?」
「保護魔法だよ。あるていど身分があれば皆施してるんだよ、あるていど魔力があればこんなのちょろいさ」
「へー」
興味なさそうにリザリーは答えた。
実は保護魔法はそんなに、ちょろい魔法ではなく下準備と高等技術が必要な術だった。
ただ一度施してしまえば、魔力を定期的に補充し強化を行うくらいの簡単なメンテナンスですんでしまうのだ。
まぁ、俺がしたのは保護魔法の強化と自分が施したように見せたのと追尾魔法だけなんだけどねー、やっぱり追尾の魔法がきかないみたいだな。
部屋を出ながらリカルドは改めてやっかいな物を拾ったかもしれないと思った。