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The Man Who Would Not Die: 死んでたまるか  作者: Operator3118
第4章 鋼鉄
96/131

幕間 取材

ある日。


 局長から全員に通達が出た。


---


 『明日、Netflixの取材陣が来る。全員、協力するように』


---


 食堂がざわついた。


---


 「Netflix? また映画か?」


 マルティネスが聞いた。


 「映画じゃない。ドラマシリーズだ」


 ハーパーが答えた。


 「前回の映画が好評だったらしい。続編じゃなく、ドラマ化の話が来た」


---


 サラの目が鋭くなった。


 「前回は調査不足だった。架空のヒロインを勝手に追加して、私たちを無視した」


 「今回は違う」


 ハーパーは言った。


 「局長を通して正式な密着取材だ。設定の改変も、こちらの承認が必要になる」


 「本当に?」


 「本当だ。契約書にも明記されている」


---


 マリーが腕を組んだ。


 「前回、私とサラは製作会社に抗議メールを送った」


 「知ってる。それが効いたらしい」


 「効いた?」


 「ああ。製作会社が謝罪してきた。『次回は必ず本人たちに取材する』と」


---


 サラとマリーは、顔を見合わせた。


 「......まあ、それなら」


 「協力してもいいわ」


---


---


 翌日。


 拠点の正門。


---


 大型バスが三台、到着した。


---


 取材陣。カメラマン。音声スタッフ。照明スタッフ。


 そして、俳優陣。


---


 「おお......」


 瀧本は目を見開いた。


 「マジかよ」


---


---


 最初に降りてきたのは、デンゼル・ワシントンだった。


 前回の映画でジョンソンを演じた俳優。


---


 「ジョンソン!」


 デンゼルが手を振った。


 「久しぶりだな!」


---


 ジョンソンは少し照れくさそうに笑った。


 「ああ。久しぶりだ」


 「映画、見たか?」


 「見た。俺より格好良かった」


 「当然だ。俺はデンゼル・ワシントンだからな」


---


 次に降りてきたのは、キアヌ・リーブス。


 柏木役。


---


 「柏木さん」


 キアヌは深々と頭を下げた。


 「お会いできて光栄です」


---


 柏木は無表情だった。


 「......ああ」


 「映画、いかがでしたか」


 「......格好良すぎた」


 「褒め言葉として受け取ります」


---


 ドルフ・ラングレンが降りてきた。


 ニコライ役。


---


 ニコライとドルフが向かい合った。


 190センチ超の巨体が二つ。


---


 「......」


 「......」


---


 二人は無言で握手した。


 それだけで十分だった。


---


---


 そして、新しい俳優たちが降りてきた。


---


 「瀧本勝幸さんは、どちらですか」


---


 声をかけてきたのは、ライアン・レイノルズだった。


---


 瀧本は固まった。


 「......俺だけど」


 「おお! あなたが瀧本さん!」


---


 ライアンは瀧本の手を握った。


 満面の笑み。


---


 「俺、あなたの役をやることになったんです」


 「......マジで?」


 「マジです。脚本読みました。最高ですね。バイクで建物に突っ込むとか、正気じゃない」


 「正気だよ。計算だ」


 「そのセリフ! それ! 脚本にもありました!」


---


 ライアンは興奮していた。


---


 「『死ぬ気はない。生きる気満々だ』。このセリフ、最高です。俺、絶対に名言にしますから」


 「......」


 「あと、『壊れたんだ。壊したんじゃない』。これも最高」


 「......」


 「あなた、天才ですね」


 「天才じゃない。普通だ」


 「普通じゃないですよ。バイクでバンに突っ込む人間が普通なわけない」


---


 瀧本は、ライアンを見た。


 「お前、俺より喋るな」


 「喋りますよ。俺、デッドプールですから」


 「知ってる」


 「知ってるんですか! 嬉しい!」


---


 マルティネスが近づいてきた。


 「瀧本、お前の役、ライアン・レイノルズなのか」


 「らしい」


 「ぴったりじゃないか」


 「ぴったりか?」


 「ぴったりだ。うるさいところとか」


 「うるさくない」


 「うるさい」


---


---


 取材陣が機材を設置していった。


 俳優たちが、それぞれの「本人」と対面していった。


---


 サラ役は、シャーリーズ・セロンに決まった。


 「前回と同じ俳優で良かったわ」


 サラは少し安心した顔をした。


 「架空のヒロインじゃなくて」


---


 マリー役は、レア・セドゥに決まった。


 フランス人女優。


 「フランス人がフランス人を演じる。当然のことね」


 マリーは満足そうだった。


---


 ヨナタン役は、オスカー・アイザックに決まった。


 「イスラエル系か」


 ヨナタンは無表情で言った。


 「悪くない」


---


 マルティネス役は、ペドロ・パスカルに決まった。


 「テキーラ好きの役、できるか?」


 マルティネスが聞いた。


 「できる。俺もテキーラ好きだ」


 「なら問題ない」


---


---


 会議室。


 取材陣との打ち合わせ。


---


 プロデューサーが説明した。


---


 「今回は、ドラマシリーズとして制作します」


 「何話だ」


 「シーズン1は十話。好評なら、シーズン2以降も」


 「十話か」


---


 「設定についてですが」


 プロデューサーは続けた。


 「俳優陣に合わせて一部改変させていただきたい」


 「改変?」


 「はい。例えば、年齢や経歴の微調整です」


---


 サラが口を開いた。


 「前回のような、架空のヒロイン追加は」


 「ありません」


 プロデューサーは即答した。


 「前回の件は、製作会社として深く反省しています。今回は、突撃隊の基礎を歪めないことを約束します」


---


 「基礎とは」


 柏木が聞いた。


 「皆さんの人物像、関係性、そして『正義のために戦う』という理念です」


 「......」


 「エンターテイメントとしての脚色はありますが、皆さんの本質は守ります」


---


 柏木は頷いた。


 「分かった。協力する」


---


---


 密着取材が始まった。


---


 カメラが回る。


 インタビューが行われる。


---


 「柏木さん、なぜタイに来たんですか」


 「日本に居場所がなかったからだ」


 「居場所が?」


 「ああ。日本では、正しいことをしても報われない。タイでは、報われる」


---


 「ジョンソンさん、チームをまとめる秘訣は」


 「秘訣はない。ただ、信頼するだけだ」


 「信頼?」


 「ああ。俺は仲間を信頼している。仲間も俺を信頼している。それだけだ」


---


 「瀧本さん、なぜバイクで突っ込むんですか」


 「速いからだ」


 「速い?」


 「ああ。敵は、バイクが来ると思っていない。だから、対応が遅れる」


 「でも、危険では」


 「危険じゃない。俺が運転してるから」


 「......」


 「死ぬ気はない。生きる気満々だ」


---


 ライアン・レイノルズが横で見ていた。


 メモを取っていた。


---


 「最高だ......」


 「何がだ」


 「このセリフ回し。俺、完璧に再現しますから」


 「頼むぞ」


 「任せてください」


---


---


 訓練場。


 俳優たちが、実際の訓練を見学した。


---


 瀧本がバイクで建物に突入するのを見て、ライアンが叫んだ。


 「マジかよ! 本当に突っ込んでる!」


---


 柏木がCQCのデモンストレーションをした。


 キアヌが真剣な顔でメモを取った。


 「......ジョン・ウィックより速い」


---


 ニコライがPKMを撃った。


 ドルフが頷いた。


 「いい腕だ」


 「お前もだ」


---


---


 夜。


 食堂。


 俳優と隊員が一緒に食事をしていた。


---


 大宴会だった。


---


 「乾杯!」


 「乾杯!」


---


 デンゼルとジョンソンが肩を組んでいた。


 「お前、俺より格好いいぞ」


 「いや、お前の方が格好いい」


 「いや、お前だ」


 「いや、お前だ」


---


 キアヌと柏木が静かに酒を飲んでいた。


 「......」


 「......」


 無言。だが、通じ合っていた。


---


 ライアンと瀧本が大声で話していた。


 「で、バイクで窓を突き破った時、どう思った?」


 「『ガラスって意外と痛いな』と思った」


 「最高だ! そのセリフ、使っていい?」


 「使え」


 「ありがとう!」


---


 スヨンが遠くから見ていた。


 「......うるさい」


 「二人とも、同じタイプだな」


 パク・ジュンホが言った。


 「似たもの同士だ」


 「似てない」


 「似てる」


 「......」


---


---


 シャーリーズがサラに聞いた。


 「あなたと柏木さんの関係は?」


 「......仲間よ」


 「それだけ?」


 「......それだけ」


 「嘘ね」


 「嘘じゃない」


 「女優の勘よ。あなた、彼のこと好きでしょ」


 「......」


---


 レアがマリーに聞いた。


 「あなたも、柏木さんのこと?」


 「......何のこと?」


 「分かるわよ。同じフランス人だもの」


 「......」


---


 シャーリーズとレアが目を合わせた。


 「三角関係ね」


 「ドラマの王道だわ」


 「脚本家が喜ぶわね」


---


 サラとマリーは、同時に溜息をついた。


---


---


 深夜。


 取材陣が帰っていった。


 俳優たちは、近くのホテルに宿泊。


---


 瀧本は屋上で煙草を吸っていた。


 メンソール。


---


 「いい一日だったな」


 ライアンが隣に来た。


 「お前、まだいたのか」


 「ホテルに戻る前に、挨拶しようと思って」


---


 ライアンは瀧本を見た。


 「俺、あなたの役、全力でやりますから」


 「頼む」


 「バイクの練習もする。建物に突っ込む練習も」


 「スタントマンがやるだろ」


 「できるだけ自分でやりたい。あなたに恥じないように」


 「......」


---


 瀧本は、メンソールの煙を吐いた。


 「お前、いい奴だな」


 「よく言われる」


 「自分で言うな」


 「事実だから」


---


 二人は笑った。


---


 「じゃあ、また」


 「ああ。撮影、頑張れよ」


 「頑張る。あなたも、生き残ってくださいね」


 「生き残る。死ぬ気はないからな」


 「そのセリフ、最高です」


---


 ライアンは手を振って、去っていった。


---


---


 瀧本は、夜空を見上げた。


---


 「ライアン・レイノルズか」


 「悪くないな」


---


 メンソールの煙が、夜空に消えていった。

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