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The Man Who Would Not Die: 死んでたまるか  作者: Operator3118
第4章 鋼鉄
95/129

第10話 蜂起

瀧本が入院して、三日目。


---


 バンコクが、燃え始めた。


---


---


---


 午前六時。


 市内各所で、同時多発的に爆発が起きた。


---


 政府庁舎。


 警察署。


 軍施設。


 王宮の外壁。


---


---


 「何が起きている!?」


 局長が叫んだ。


 「分かりません! 爆発が......複数箇所で......!」


 カルロスが通信を捌いていた。


 「場所は!?」


 「少なくとも、十二箇所! まだ増えています!」


---


---


 ニュース速報が流れた。


---


 『バンコク市内で同時多発爆発 テロの可能性』


---


---


---


 そして、武装集団が現れた。


---


---


 政府庁舎前。


 軍用トラックが三台、停車した。


 中から、武装した男たちが降りてきた。


---


 AK-47。


 RPG。


 手榴弾。


---


 彼らは、建物に向かって発砲を始めた。


---


---


 王宮前。


 同様に、武装集団が現れた。


 警備の王宮警察と銃撃戦が始まった。


---


---


 警察署前。


 武装集団が建物を包囲した。


 中にいた警察官たちと、交戦状態に入った。


---


---


---


 聖域残党。


---


 一斉武装蜂起。


---


---


---


 突撃隊本部。


---


 局長は、状況を把握しようとしていた。


---


 「残党は何人だ!?」


 「推定......二百人以上!」


 「二百人!?」


 「武器も大量に持っています! どこから調達したのか......!」


---


---


 ハーパーが報告した。


---


 「聖域事件で押収した武器の一部が、横流しされていた可能性があります」


 「横流し......?」


 「汚職ネットワークは、完全には潰れていなかった」


 「くそ......!」


---


---


 局長は決断した。


---


 「全員出動! 全チーム、全員だ!」


 「了解!」


 「ブラボーチームは王宮を守れ!」


 「了解!」


 「支援班は政府庁舎!」


 「了解!」


 「アルファチームは......」


---


 局長は、少し黙った。


---


 「アルファチームは、俺と一緒に来い。最前線だ」


 「了解!」


---


---


 ジョンソンが言った。


---


 「瀧本は」


 「病院だ。今回は出られない」


 「......了解」


---


---


---


---


 同じ頃。


 病院。


 瀧本の病室。


---


---


 瀧本は、テレビを見ていた。


---


 『バンコク市内で同時多発テロ 武装集団が複数箇所を攻撃』


---


 映像が流れていた。


 爆発。


 銃撃戦。


 逃げ惑う市民。


---


---


 瀧本は、ベッドから起き上がった。


---


 「......行かなきゃ」


---


---


 スヨンが止めた。


---


 「待って! あなた、怪我してるでしょ!」


 「怪我してても、行く」


 「ダメよ!」


 「ダメじゃない」


 「左肩、撃たれたばかりでしょ!?」


 「左肩は使わない。右手で撃つ」


 「そういう問題じゃない!」


---


---


 瀧本は、服を着始めた。


---


 「仲間が戦ってる」


 「......」


 「俺だけ、ここで寝てるわけにはいかない」


 「......」


 「俺は、突撃隊だ」


---


---


 スヨンは、瀧本を見た。


---


 止められないことは、分かっていた。


---


 「......私も行く」


 「お前は......」


 「私も、突撃隊よ」


 「......」


 「一緒に行く。止めても無駄よ」


---


---


 瀧本は、少し笑った。


---


 「......分かった」


---


---


---


 病室のドアが開いた。


---


 ライアン・レイノルズが立っていた。


 後ろには、ドキュメンタリー班。


---


---


 「Takimoto、まさかお前......」


 「行く」


 「行くって......お前、怪我して......」


 「怪我してても、行く」


 「Crazy......」


 「Crazyでいい」


---


---


 ライアンは、少し考えた。


---


 そして、言った。


---


 「俺も行く」


---


---


 瀧本が振り向いた。


---


 「お前は民間人だ。危険だ」


 「知ってる」


 「死ぬかもしれないぞ」


 「知ってる」


 「それでも行くのか」


 「行く」


---


 ライアンは、カメラマンを見た。


---


 「お前らも来るか」


 「行きます」


 「死ぬかもしれないぞ」


 「俺たちは、戦場カメラマンです」


 「戦場カメラマン?」


 「今日から、そうなります」


---


---


 瀧本は溜息をついた。


---


 「止めても無駄か」


 「無駄だ」


 「......分かった。でも、俺の指示に従え」


 「了解」


---


---


---


---


 病院の外。


---


 瀧本のバイクが停めてあった。


 白いBMW R1250 GS Adventure。


---


---


 瀧本は、バイクに跨った。


 左肩が痛んだ。


 無視した。


---


---


 スヨンが後ろに乗った。


---


---


 ライアンは、レンタルのバイクに乗った。


 ドキュメンタリー班は、車両に乗り込んだ。


---


---


 「行くぞ」


---


---


 サイレンを鳴らした。


 バイクが走り出した。


---


---


---


---


 バンコク市内。


 戦場と化していた。


---


---


 至る所で、銃声が響いていた。


 煙が上がっていた。


 サイレンが鳴り響いていた。


---


---


 「瀧本、どこに向かう」


 ライアンが無線で聞いた。


 「王宮だ。一番やばい」


 「王宮......」


 「陛下を守らなきゃならない」


---


---


---


---


 王宮前。


---


 激しい銃撃戦が繰り広げられていた。


---


---


 ブラボーチームが、王宮を守っていた。


---


 ニコライがAK-12を撃ちまくっていた。


 サラがSCAR-Hで援護射撃をしていた。


 アレクセイがRPGを構えていた。


---


---


 武装集団は、五十人以上。


 王宮警察と合わせても、数で劣っていた。


---


---


 「押されてるぞ!」


 ニコライが叫んだ。


 「増援は!?」


 「来るはずだ! 持ちこたえろ!」


---


---


 その時。


---


---


 サイレンの音が聞こえた。


---


---


 白いバイクが、猛スピードで突っ込んできた。


---


---


 「瀧本!?」


 ニコライが叫んだ。


 「あいつ、病院にいたんじゃ......!」


---


---


---


 瀧本は、武装集団の側面に回り込んだ。


---


 バイクを止めた。


 M93Rを抜いた。


---


 スヨンも降りた。


 グロック19を構えた。


---


---


 「援護する!」


 瀧本が叫んだ。


---


---


 三点バースト。


 三点バースト。


 三点バースト。


---


 武装集団の背後から、弾丸が飛んできた。


---


---


 「後ろだ!」


 「20発の男だ!」


 「くそ、挟まれた!」


---


---


 武装集団が混乱した。


---


---


 ニコライが好機を逃さなかった。


---


 「押し返せ! 今だ!」


---


---


 ブラボーチームが反撃に転じた。


---


---


---


---


 同じ頃。


 ドキュメンタリー班の車両。


---


---


 カメラマンが、窓から身を乗り出していた。


 カメラを回していた。


---


 「すげえ......すげえよ、これ......」


 「撮れてるか!?」


 「撮れてる! 全部撮れてる!」


---


---


 ライアンは、バイクを停めていた。


 戦闘の少し後方。


---


 そして、彼は何かを思いついた。


---


---


 「おい、カメラ、こっちに向けろ」


 「え?」


 「俺がレポートする」


 「レポート!?」


 「ああ。生中継だ」


---


---


 カメラマンは、ライアンにカメラを向けた。


 Facebookライブが始まった。


---


---


 ライアンは、カメラに向かって話し始めた。


---


---


 「Hi, everyone. This is Ryan Reynolds.」


 「俺は今、バンコクにいる。王宮の前だ」


 「見てくれ。これが、今起きていることだ」


---


 ライアンは、背後の戦闘を指差した。


---


 「武装集団が、王宮を攻撃している」


 「突撃隊が、それを守っている」


 「そして、あそこにいるのが......」


---


 カメラが、瀧本を捉えた。


---


 「瀧本勝幸だ。21発の騎士」


 「あいつは、病院から抜け出してきた」


 「怪我してるのに、戦っている」


---


---


 視聴者数が、爆発的に増えていた。


---


 10万人。


 50万人。


 100万人。


 200万人。


---


---


 コメントが、凄まじい速度で流れていた。


---


 『ライアン・レイノルズが戦場レポーターやってるwww』


 『マジかよ......これ本物?』


 『本物だ......銃声聞こえる......』


 『瀧本、また戦ってる!』


 『病院から抜け出したのかよ!』


 『あいつ、本当に人間か?』


---


---


---


---


 王宮前の戦闘は、激しさを増していた。


---


---


 瀧本は、前線に移動していた。


---


 スヨンが後ろから援護している。


---


---


 「瀧本! 無茶するな!」


 スヨンが叫んだ。


 「無茶じゃない! 普通だ!」


 「普通じゃない!」


---


---


 武装集団の一人が、RPGを構えた。


 王宮の門に向けている。


---


---


 瀧本は、それを見た。


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---


 「させるか......!」


---


---


 走った。


---


 痛む左肩を無視して。


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---


 RPGが発射される前に、男に飛びかかった。


---


 組み付いた。


 殴った。


 RPGを奪った。


---


---


 男が反撃してきた。


 ナイフを抜いた。


---


 瀧本の右腕を切り裂いた。


---


---


 「ぐっ......!」


---


---


 瀧本は、左手で男の首を掴んだ。


 そのまま、地面に叩きつけた。


---


 男が気絶した。


---


---


 「確保......」


---


---


 瀧本の右腕から、血が流れていた。


 左肩の傷も、開いていた。


---


---


 「瀧本!」


 スヨンが駆け寄った。


 「大丈夫だ......」


 「大丈夫じゃない! 血が......!」


 「まだ......戦える......」


---


---


---


---


 その時。


---


ハンヴィーが到着した。


---


---


 アルファチームと局長だった。


---


---


 「遅くなった!」


 局長が叫んだ。


---


---


 ジョンソンがGAU-19を構えた。


---


 「掃討する!」


---


---


 轟音。


---


 毎分千発の7.62mm弾が、武装集団を薙ぎ払った。


---


---


 「撤退だ! 撤退!」


 武装集団が逃げ始めた。


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---


 マルティネスがM240で追撃した。


 ヨナタンがライフルで狙撃した。


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---


 王宮前の戦闘は、収束に向かっていた。


---


---


---


---


 ライアンは、全てをレポートしていた。


---


---


 「信じられない光景だ」


 「突撃隊が、武装集団を圧倒している」


 「瀧本は......あいつは、血まみれだ」


 「それでも、まだ立っている」


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---


 視聴者数は、500万人を超えていた。


---


---


 世界中が、この戦いを見ていた。


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---


---


---


 戦闘終了。


---


 王宮前の武装集団は、全員制圧された。


---


 死者、十二人。


 逮捕者、三十八人。


---


---


 突撃隊の負傷者は、軽傷が数名。


 死者、なし。


---


---


---


 瀧本は、壁にもたれかかっていた。


---


 右腕から血が流れていた。


 左肩も血が滲んでいた。


 顔は、汗と煤で汚れていた。


---


---


 「瀧本!」


 局長が駆け寄った。


 「お前、病院にいたはずだろう!」


 「抜け出しました」


 「また抜け出したのか!」


 「また抜け出しました」


 「......」


---


---


 局長は、瀧本を見た。


---


 血まみれ。


 傷だらけ。


 それでも、立っている。


---


---


 「......お前、本当にゴキブリだな」


 「褒め言葉として受け取ります」


 「褒め言葉だ」


---


---


---


 ライアンが近づいてきた。


---


 「瀧本、大丈夫か」


 「大丈夫だ」


 「大丈夫じゃないだろ。血が......」


 「いつものことだ」


 「いつものこと!?」


---


---


 カメラは、まだ回っていた。


---


 視聴者数は、600万人を超えていた。


---


---


 ライアンは、カメラに向かって言った。


---


 「見てくれ、みんな」


 「これが、瀧本勝幸だ」


 「21発の銃弾を受けて、まだ戦っている男」


 「病院から抜け出して、仲間を助けに来た男」


 「血まみれでも、立ち続ける男」


---


 ライアンは、瀧本の肩に手を置いた。


---


 「俺は、この男を演じる」


 「この男の物語を、世界に届ける」


 「これは......本物のヒーローの物語だ」


---


---


---


 瀧本は、カメラを見た。


---


 「......なんでやねん」


---


---


 ライアンが笑った。


---


 「What does that mean?」


 「『なんでだよ』って意味だ」


 「なんでって......お前がヒーローだからだよ」


 「ヒーローじゃない。俺は、ただ......」


 「ただ?」


 「死ぬ気がないだけだ」


---


---


 ライアンは、また笑った。


---


 「That's exactly why you're a hero.」


---


---


---


---


 救急車が到着した。


---


 瀧本は、また担架に乗せられた。


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---


 「また病院か......」


 「また病院だ。諦めろ」


 スヨンが言った。


 「諦めたくない」


 「諦めろ」


 「......」


---


---


 瀧本は、空を見上げた。


---


 バンコクの空は、煙で曇っていた。


---


---


 「他の場所は......」


 「制圧完了だ。全箇所、鎮圧された」


 局長が言った。


 「良かった......」


 「お前のおかげで、王宮は守られた」


 「俺だけじゃない......みんなで......」


 「そうだな。みんなで、だ」


---


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---


 救急車が走り出した。


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---


 ライアンは、それを見送った。


---


 そして、カメラに向かって言った。


---


---


 「今日の放送は、ここまでだ」


 「瀧本勝幸は、また病院に向かった」


 「でも、俺は知ってる」


 「あいつは、また戻ってくる」


 「だって、あいつは......」


---


 ライアンは、笑った。


---


 「死ぬ気がないんだから」


---


---


---


 Facebookライブが終了した。


---


 最終視聴者数:800万人。


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---


 聖域残党の一斉武装蜂起。


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 バンコク市内、十二箇所で同時攻撃。


 武装集団、推定二百人以上。


---


 結果。


---


 武装集団、死者四十七人、逮捕者百二十三人。


 残りは逃亡。


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 市民の死者、十七人。


 負傷者、八十三人。


---


 突撃隊、死者なし。


 負傷者、十二人。


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---


---


 そして、瀧本勝幸。


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 被弾数、変わらず21発。


 ただし、新たな負傷。


 右腕の切り傷。


 左肩の傷の再発。


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---


 彼は、また病院のベッドの上にいた。


---


---


 だが、世界は彼を見ていた。


---


 800万人が、彼の戦いを見ていた。


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---


---


 瀧本勝幸。


---


 21発の騎士。


 ゴキブリより強い男。


 死ぬ気がない男。


---


---


 彼の伝説は、まだ続いていた。

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