幕間 募集
一週間後。
会議室。
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ハーパーとルノーが、壁に大きな図を貼った。
「人員募集計画」と書かれている。
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「説明する」
ハーパーが言った。
「現状の分析と、必要な人員を整理した」
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全員が注目した。
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「まず、現状」
ハーパーは図を指差した。
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「現在の人員。戦闘要員十一人。支援要員七人。合計十八人」
「それに俺とルノーで、二十人」
「二十人で、タイ全土をカバーしている」
「物理的に、無理がある」
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「次に、必要な人員」
ルノーが続けた。
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「第一。戦闘要員の増強」
「現在、一チームしか編成できない。同時に複数の事件が起きたら、対応不可能」
「最低でも、三チームが必要。各チーム八人として、二十四人」
「現在十一人。追加で十三人が必要」
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「第二。参謀」
ハーパーが言った。
「参謀?」
川島が聞いた。
「作戦立案の専門家だ」
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「今まで、作戦は誰が立てていた」
「俺だ」
柏木が答えた。
「柏木、お前は優秀だ。だが、お前は指揮官だ。戦場にいる」
「......」
「戦場にいながら、作戦を立てるのは、負担が大きすぎる」
「確かに」
「参謀がいれば、お前は戦闘に集中できる。作戦立案は、参謀に任せられる」
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「参謀に必要な能力は」
ニコライが聞いた。
「戦略的思考。情報分析。計画立案。そして、現場の経験」
「現場の経験?」
「机上の空論ではなく、実際の戦闘を知っている人間が必要だ」
「元将校か」
「将校でなくてもいい。だが、軍や警察で作戦立案に関わった経験がある人間」
「......」
「簡単には見つからない」
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「第三。情報管制官」
ルノーが言った。
「情報管制官?」
「情報収集と分析の専門家だ」
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「今まで、情報はどうしていた」
「各自で集めていた」
「それでは、効率が悪い」
「......」
「情報管制官がいれば、情報を一元管理できる。敵の動き、組織構成、資金の流れ。全てを把握し、分析する」
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「具体的には」
「例えば、聖域を攻撃する前。情報収集に何日かかった」
「三日から四日」
川島が答えた。
「長すぎる。情報管制官がいれば、半分に短縮できる」
「半分」
「専門家が、効率的に情報を集め、分析する。作戦立案も速くなる」
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「情報管制官に必要な能力は」
マリーが聞いた。
「情報収集の技術。分析能力。語学力。そして、秘密を守れる人間性」
「元情報機関か」
「元情報機関が望ましい。CIA、MI6、モサド、DGSE......」
「モサドの人間は、タイに来ないと言っていたぞ」
ヨナタンが言った。
「モサドは難しい。だが、他の機関なら可能性がある」
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「第四。通信要員の増強」
ハーパーが続けた。
「現在、川島、カルロス、プラウィット、ナターシャ、ラッタナーの五人」
「五人でも、ギリギリだ」
「最低でも、八人は必要。三人の追加」
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「第五。医療要員の増強」
「現在、アレクセイ一人」
「一人では、複数の負傷者に対応できない」
「最低でも、三人は必要。二人の追加」
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「第六。パイロットの増強」
「現在、イーゴリ一人」
「ヘリを複数運用するなら、パイロットも複数必要」
「最低でも、三人。二人の追加」
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「第七。整備要員の増強」
「現在、ダニエル一人」
「車両とヘリの整備を一人でやっている」
「限界だ。最低でも、三人。二人の追加」
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ハーパーは図をまとめた。
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「必要な追加人員」
「戦闘要員:十三人」
「参謀:一人」
「情報管制官:一人」
「通信要員:三人」
「医療要員:二人」
「パイロット:二人」
「整備要員:二人」
「合計:二十四人」
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沈黙が落ちた。
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「二十四人」
ニコライが言った。
「今の人員より多いな」
「多い」
「倍以上だ」
「倍以上だ」
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「どこから集める」
ジョンソンが聞いた。
「世界中からだ」
ハーパーが答えた。
「世界中」
「そうだ。アメリカ、ヨーロッパ、アジア、中東、アフリカ。どこにでも行く」
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「条件は」
サラが聞いた。
「前と同じだ。外国籍、または外国での経験がある人間。タイ国籍を取得する意思。正義のために動ける人間」
「厳しいな」
「厳しい。だが、妥協はできない」
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「特に難しいのは」
ルノーが言った。
「参謀と情報管制官だ」
「なぜ」
「戦闘要員は、まだ見つかる可能性がある。元軍人、元警察官、たくさんいる」
「だが、参謀と情報管制官は、専門性が高い」
「そもそも、そういう人材は、国に留まることが多い。海外に出る理由がない」
「出る理由を作る必要がある」
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「どうやって」
柏木が聞いた。
「分からない。だが、探すしかない」
ハーパーは言った。
「俺たちがハーパーとルノーを見つけたように」
「傷ついた人間を探すのか」
「傷ついた人間、居場所を失った人間、正義を求めている人間。そういう人間は、どこかにいる」
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「探索チームを編成する」
柏木が言った。
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「俺たち全員で探すのか」
ニコライが聞いた。
「全員ではない。日常任務もある」
「では、誰が」
「ローテーションだ。二人一組で、各地に派遣する」
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「まず、伝手を洗い出す」
ハーパーが言った。
「各自、知り合いを全て挙げろ。使えそうな伝手があれば、報告しろ」
「了解」
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「地域を分担する」
ルノーが言った。
「アメリカ、ヨーロッパ、アジア、中東、アフリカ。それぞれに担当を決める」
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「アメリカは、俺とジョンソンだな」
柏木が言った。
「ヨーロッパは、マリーと俺だ」
ルノーが言った。
「アジアは、川島とファリダー」
「中東は、ヨナタン。だが、イスラエルは避けろ」
「分かっている」
「アフリカは、ニコライとマルティネス」
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「ロシア系の人材は」
ニコライが聞いた。
「お前に任せる。ウクライナ戦争後、ロシアを離れた軍人がいるかもしれない」
「いるかもしれない。探してみる」
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「期間は」
サラが聞いた。
「半年だ」
ハーパーが答えた。
「半年で、必要な人員を集める」
「半年で二十四人」
「厳しいが、やるしかない」
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「一つ、言っておく」
柏木が立ち上がった。
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「この人探しは、今までで最も困難な任務だ」
「戦闘より難しいか」
「難しい。戦闘は、敵がいれば倒せばいい。だが、人探しは、そもそも相手がどこにいるか分からない」
「......」
「だが、やるしかない。俺たちの組織を、本当の意味で完成させるために」
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「完成」
ニコライが言った。
「完成か」
「そうだ。今の俺たちは、まだ未完成だ。戦闘はできるが、組織として不完全だ」
「......」
「人員が揃えば、本当の意味で、タイ全土を守れるようになる」
「タイ全土を」
「そうだ。それが、俺たちの目標だ」
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「では、始めよう」
ハーパーが言った。
「世界中から、仲間を集める」
「俺たちと同じ志を持つ人間を」
「正義のために戦える人間を」
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全員が頷いた。
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人探しの旅が、再び始まる。
今度は、さらに大規模に。
世界中を巻き込んで。
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突撃隊は、成長し続ける。




