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The Man Who Would Not Die: 死んでたまるか!  作者: Operator3118
第3章 聖域
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第8話 探索

将校探しが始まった。


 条件は厳しかった。


---


 外国籍。


 将校経験者。


 部隊運営の実績。


 タイ国籍を取得する意思。


 正義のために動ける人間。


---


 「全部満たす人間なんて、いるのか」


 ニコライが言った。


 「いる。どこかに」


 柏木が答えた。


 「どこだ」


 「分からない。だから探す」


---


---


 各自が、自分の伝手を使い始めた。


---


---


 ジョンソンは、アメリカの元同僚に連絡を取った。


---


 「ジョンソン、久しぶりだな」


 「ああ。元気か」


 「元気だ。タイで活躍してるらしいじゃないか。映画にもなったって」


 「なった。デンゼル・ワシントンが俺を演じた」


 「すげえな」


 「すごい。で、頼みがある」


 「何だ」


 「将校経験者を探している。部隊運営ができる人間だ」


 「将校? 米軍の?」


 「元米軍でもいい。今は退役していて、タイで働く意思がある人間」


 「......難しいな」


 「難しいのは分かっている」


 「条件は」


 「正義のために動ける人間」


 「......」


 「いないか」


 「いや、一人いる。かもしれない」


 「誰だ」


 「ウィリアム・ハーパー。元陸軍大尉。アフガンで中隊を指揮していた」


 「今は」


 「退役して、民間軍事会社にいた。だが、辞めたらしい」


 「なぜ辞めた」


 「会社のやり方に反発した。金のために動くのが嫌だったらしい」


 「正義のために動けるか」


 「動けると思う。ただ......」


 「ただ?」


 「今、どこにいるか分からない。連絡が取れない」


 「探してくれ」


 「分かった」


---


---


 ニコライは、ロシアの元戦友に連絡を取った。


---


 「ニコライか。生きていたのか」


 「生きている。お前こそ」


 「俺も生きている。ウクライナには行かなかった」


 「賢明だ」


 「賢明かどうかは分からない。ただ、あの戦争には参加したくなかった」


 「同感だ。で、頼みがある」


 「何だ」


 「将校経験者を探している」


 「ロシア軍の?」


 「元ロシア軍でもいい。今は退役していて、タイで働く意思がある人間」


 「......タイか。遠いな」


 「遠い。だが、いい場所だ」


 「条件は」


 「正義のために動ける人間」


 「......正義か」


 「難しいか」


 「難しい。ロシア軍に、そういう人間は少ない」


 「いないか」


 「いないとは言わない。だが......」


 「だが?」


 「ロシアを離れる覚悟がある奴は、もう離れている。残っている奴は、離れる気がない」


 「......そうか」


 「すまない。力になれなくて」


 「いい。ありがとう」


---


---


 マリーは、フランス外人部隊の元同僚に連絡を取った。


---


 「マリーか。久しぶりだな」


 「久しぶり。元気?」


 「元気だ。お前は」


 「元気。タイで働いている」


 「聞いた。狙撃手として」


 「そう。で、頼みがある」


 「何だ」


 「将校経験者を探している。部隊運営ができる人間」


 「外人部隊の?」


 「元外人部隊でもいい。今は退役していて、タイで働く意思がある人間」


 「......」


 「いる?」


 「一人、いるかもしれない」


 「誰」


 「ジャン=ピエール・ルノー。元大尉。俺の上官だった」


 「今は」


 「退役して、アフリカで傭兵をしていた。だが、最近辞めたらしい」


 「なぜ」


 「分からない。ただ、『もう人を殺すのは嫌だ』と言っていたらしい」


 「......」


 「連絡先は」


 「分からない。アフリカのどこかにいるはずだが」


 「探せる?」


 「探してみる」


---


---


 ヨナタンは、イスラエルの元同僚に連絡を取った。


---


 「ヨナタンか。珍しいな」


 「ああ。頼みがある」


 「何だ」


 「将校経験者を探している」


 「IDF(イスラエル国防軍)の?」


 「元IDFでもいい。今は退役していて、タイで働く意思がある人間」


 「......」


 「いるか」


 「いない」


 「即答だな」


 「即答できる。イスラエル人は、イスラエルを離れない。離れたとしても、アメリカかヨーロッパに行く。タイには行かない」


 「そうか」


 「すまない」


 「いい」


---


---


 柏木は、日本の元同僚に連絡を取った。


---


 「柏木か。生きていたのか」


 「生きている」


 「タイで暴れているらしいな。ニュースで見た」


 「暴れている」


 「日本では、お前のこと、色々言われているぞ」


 「知っている。どうでもいい」


 「どうでもいいか」


 「どうでもいい。で、頼みがある」


 「何だ」


 「将校経験者を探している」


 「自衛隊の?」


 「元自衛隊でもいい。今は退役していて、タイで働く意思がある人間」


 「......」


 「いるか」


 「いない」


 「即答だな」


 「即答できる。自衛隊の将校で、海外で働く意思がある奴は、ほとんどいない。いたとしても、タイには行かない」


 「......そうか」


 「それに、お前と一緒に働くとなると......」


 「なると?」


 「日本政府に睨まれる。誰も、そんなリスクは取らない」


 「......そうだな」


 「すまない」


 「いい。ありがとう」


---


---


 一週間が経った。


 成果は、ほとんどなかった。


---


---


 拠点。会議室。


---


 「報告する」


 柏木が言った。


 「候補は、二人」


 「二人だけですか」


 「二人だけだ」


---


 「一人目。ウィリアム・ハーパー。元米陸軍大尉」


 「経歴は」


 「アフガンで中隊を指揮。戦闘経験豊富。退役後、民間軍事会社に所属したが、辞めた」


 「なぜ辞めた」


 「金のために動くのが嫌だったらしい」


 「正義のために動けるか」


 「動けると思う。だが、今どこにいるか分からない」


---


 「二人目。ジャン=ピエール・ルノー。元フランス外人部隊大尉」


 「経歴は」


 「外人部隊で十五年。大尉まで昇進。退役後、アフリカで傭兵」


 「なぜ辞めた」


 「『もう人を殺すのは嫌だ』と言っていたらしい」


 「......」


 「彼も、今どこにいるか分からない」


---


 「つまり」


 ニコライが言った。


 「候補は二人いるが、どちらも居場所が分からない」


 「そうだ」


 「探さないといけない」


 「探さないといけない」


---


 「他には」


 サラが聞いた。


 「他にはいない。ロシア、イスラエル、日本、全滅だ」


 「......」


---


 「どうする」


 ジョンソンが聞いた。


 「二人を探す。同時に」


 「どうやって」


 「俺とジョンソンで、ハーパーを探す。アメリカに行く」


 「アメリカ」


 「マリーと誰かで、ルノーを探す。アフリカに行く」


 「アフリカ」


 「残りは、ここで日常業務を続ける」


---


 「局長の許可は」


 「取る。今から」


---


---


 局長室。


---


 「アメリカとアフリカ?」


 「はい」


 「候補者を探しに行くのか」


 「はい」


 「......」


---


 局長は考えていた。


---


 「許可する」


 「ありがとうございます」


 「ただし、一週間だ。それ以上は、ここの業務が回らない」


 「了解しました」


 「見つからなかったら」


 「見つけます」


 「見つからなかったら」


 「......」


 「その時は、別の方法を考える」


 「別の方法?」


 「タイ国内で育てるしかない。時間はかかるが」


 「......了解しました」


---


---


 翌日。


 二つのチームが、出発した。


---


 アメリカ行き:柏木、ジョンソン


 アフリカ行き:マリー、ニコライ


---


 将校探しの旅が、始まった。

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