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The Man Who Would Not Die: 死んでたまるか  作者: Operator3118
第3章 聖域
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第2話 増強

三日後。


 拠点の駐車場に、巨大なトレーラーが到着した。


 全員が集まった。


---


 トレーラーの荷台が開いた。


 中から出てきたのは、四台の車両だった。


 白く塗装されている。


 だが、ハイラックスではなかった。


---


 「ハンヴィー......」


 ジョンソンが呟いた。


 「本物か」


 「本物だ」


 柏木が答えた。


---


 HMMWV。High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle。


 アメリカ軍の主力軍用車両。


 四台が並んでいた。


 全て白。金のストライプ。金のガルーダエンブレム。


---


 「局長からだ」


 柏木が説明した。


 「聖域攻略には、ハイラックスでは不十分だと判断された」


 「確かに、装甲車相手では厳しかったな」


 「だから、軍用車両を調達した」


 「調達って、簡単に言うな」


 「局長が何とかした」


 「また『何とかした』か」


 「そうだ」


---


 ニコライがハンヴィーに近づいた。


 触った。叩いた。


 「装甲バージョンだな」


 「分かるのか」


 「分かる。重さが違う。M1114だろう」


 「正解だ。アップアーマード・ハンヴィー。7.62ミリ弾と砲弾片に耐える」


 「イラクで使われていた型だな」


 「そうだ」


---


 ジョンソンが屋根を見た。


 ターレットが付いている。


 「武装用のリングだ」


 「GAU-19を載せられる」


 「載せる。一号車に」


 「最高だな」


 ジョンソンは嬉しそうだった。


---


 「二号車にはM2を載せる」


 柏木が続けた。


 「ニコライ、お前が撃て」


 「了解」


 「三号車には......」


 柏木はトレーラーの奥を指した。


 「新しい武装が来ている」


---


 別の木箱が降ろされた。


 開けた。


 中から出てきたのは、巨大な武器だった。


---


 「Mk19」


 マルティネスが声を上げた。


 「知っているか」


 「知っている。40ミリ自動グレネードランチャーだ。米軍で使っていた」


 「お前が運用しろ」


 「本当か」


 「本当だ。お前なら扱えるだろう」


 マルティネスの目が輝いた。


---


 Mk19 Mod 3。


 40mm×53グレネード弾を使用。


 毎分325〜375発。


 有効射程1,500メートル。


 対人、対軽装甲、対建造物。


 汎用性の高い制圧火器。


---


 「これで、倉庫群を制圧できる」


 柏木が言った。


 「壁を吹き飛ばすのか」


 「必要なら」


 「豪快だな」


 「聖域には豪快さが必要だ」


---


 「四号車は」


 サラが聞いた。


 「医療・支援車両だ。アレクセイと支援要員が乗る」


 「武装は」


 「M60を一丁。自衛用だ」


 「了解」


---


 四台のハンヴィーが並んだ。


 白い軍用車両。金のエンブレム。


 一号車:GAU-19


 二号車:M2重機関銃


 三号車:Mk19グレネードランチャー


 四号車:M60(医療・支援)


---


 「火力が倍増したな」


 ニコライが言った。


 「倍どころじゃない」


 「三倍か」


 「もっとだ」


 「計算が面倒だな」


 「計算は要らない。撃てば分かる」


---


 「ハイラックスはどうする」


 エイブラハムが聞いた。


 「予備車両として残す。偵察や輸送に使う」


 「了解」


 「ハンヴィーは重い。小回りが利かない場面もある」


 「使い分けか」


 「そうだ」


---


 ジョンソンがハンヴィーの運転席に乗り込んだ。


 「懐かしいな」


 「乗っていたのか」


 「イラクで。三年間、毎日乗っていた」


 「運転できるな」


 「目を閉じてもできる」


 「目は開けておけ」


 「冗談だ」


---


 マルティネスがMk19を持ち上げた。


 重い。だが、扱える。


 「久しぶりだな、こいつは」


 「アフガンで使っていたか」


 「使っていた。タリバンの陣地を吹き飛ばした」


 「今度は麻薬王の倉庫を吹き飛ばせ」


 「任せろ」


---


 ニコライがM2のターレットを確認した。


 「取り付けは簡単だな」


 「できるか」


 「できる。一時間あれば」


 「やってくれ」


 「了解」


---


 全員が動き始めた。


 ハンヴィーの点検。


 武装の取り付け。


 弾薬の積み込み。


---


 二時間後。


 四台のハンヴィーが完成した。


 白い軍用車両が並んでいる。


 それぞれの屋根に、重火器が据えられている。


---


 「試射はどうする」


 ジョンソンが聞いた。


 「明日、演習場で行う」


 「楽しみだ」


 「楽しむな。訓練だ」


 「訓練を楽しんで何が悪い」


 「......まあ、いい」


---


 マリーがハンヴィーを眺めていた。


 「派手だな」


 「派手だ」


 「目立つ」


 「目立っていい。俺たちは隠れない」


 「狙撃手としては、少し不安だ」


 「お前は別行動だ。心配するな」


 「分かっている」


---


 サラが柏木の隣に来た。


 「すごい火力になったわね」


 「聖域を攻めるには、これだけ必要だ」


 「三百人相手に」


 「そうだ」


 「勝てる?」


 「勝つ。勝たなければ意味がない」


---


 ファリダーが言った。


 「警察学校では、こんな車両、見たこともありませんでした」


 「警察じゃないからな。俺たちは」


 「そうですね。突撃隊ですもんね」


 「そうだ」


 「......かっこいいです」


 「かっこいいか」


 「はい。すごく」


---


 川島が通信機器を確認していた。


 「ハンヴィーには、通信システムも内蔵されていますね」


 「そうだ。車両間で連携できる」


 「便利です」


 「便利だが、敵に傍受される可能性もある」


 「暗号化します」


 「頼む」


---


 アレクセイが四号車の中を確認していた。


 「医療機器を積むスペースがある」


 「必要なものは全部積め」


 「積む。担架も入るな」


 「負傷者が出たら、すぐに搬送できる」


 「出さないのが一番だが」


 「出さないようにする。だが、備えは必要だ」


 「分かっている」


---


 夕方。


 全員が食堂に集まった。


 柏木が立ち上がった。


---


 「現状を報告する」


 全員が注目した。


 「車両は揃った。武装も揃った。あとは、作戦計画だ」


 「偵察は」


 「明日から開始する。ドローンを使って、聖域の内部構造を把握する」


 「何日かかる」


 「三日から四日。その後、作戦を立案する」


 「突入はいつだ」


 「一週間後を予定している」


---


 「質問は」


 沈黙。


 「では、今日は休め。明日から、忙しくなる」


 「了解」


---


 全員が散っていった。


 柏木は一人、窓の外を見ていた。


 白いハンヴィーが、月明かりに照らされている。


---


 サラが戻ってきた。


 「考え事?」


 「少し」


 「何を」


 「聖域のことだ」


 「不安?」


 「不安じゃない。だが、慎重に行く必要がある」


 「今までと違う?」


 「違う。今までは、犯罪組織だけが相手だった」


 「今度は」


 「政治家がいる。軍がいる。警察がいる。企業がいる」


 「国家の一部と戦う」


 「そうだ」


---


 柏木は煙草を取り出した。


 火をつけた。


 「失敗すれば、俺たちは終わりだ」


 「終わり?」


 「組織ごと潰される。陛下の信任も失う」


 「失敗しないわ」


 「なぜ分かる」


 「あなたがいるから」


 「......」


 「あなたは、失敗しない。今まで、一度も」


 「今までは、な」


 「これからも」


 サラは柏木を見た。


 「私は、信じている」


---


 柏木は煙草を吸った。


 「......ありがとう」


 「どういたしまして」


 「お前がいると、気が楽になる」


 「そう?」


 「ああ」


 「......嬉しいわね」


 サラは少し笑った。


---


 夜が更けていく。


 聖域への戦いが、近づいていた。

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