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The Man Who Would Not Die: 死んでたまるか  作者: Operator3118
第2章 捜査班
42/131

第11話 三角地帯

夜明け前。


 チェンマイ北部。山岳地帯。


 十五人が集結していた。


 全員が新しい戦闘装備を身につけている。


---


 柏木は黒のコンバットシャツにプレートキャリア。セラミックプレートが入っている。7.62ミリ弾も止められる。


 首には紅色のシュマグを巻いていた。唯一の色。


 左胸に王宮警察のエンブレムパッチ。右肩にタイ国旗。


 ショルダーホルスターにベレッタM92FS。これだけは変わらない。


---


 ニコライは黒のタクティカルギアにAK-103。首に黒のバラクラバを下げている。


 ジョンソンは黒のスリーピース風コンバットシャツにHK416。左手に金の腕時計が光っている。


 マルティネスは黒のコンバットシャツにHK416。首にシルバーのクロスネックレス。


 サラは黒のタイトなコンバットシャツにHK416コンパクト。金髪を後ろで結んでいる。


 ファリダーは黒のコンバットシャツにHK416。首にタイシルクのスカーフを巻いている。紫に金刺繍。


 ヨナタンは黒のタクティカルギアにタボール。無表情。


 マリーは黒のギリースーツの上にプレートキャリア。背中にAI AXMCを背負っている。


 川島は黒のコンバットシャツに通信機器。グロック17を腰に。


 全員が王宮警察のエンブレムとタイ国旗を身につけていた。


---


 支援要員も準備が整っていた。


 イーゴリはパイロットスーツ。UH-1の横に立っている。


 ダニエルは整備用のツナギ。ヘリの最終点検をしている。


 エイブラハムはHiluxの運転席にいる。


 カルロスは通信機器を抱えている。川島と連携する。


 ナターシャとラッタナーは後方の指揮所に残る。


---


 「作戦を確認する」


 柏木が全員を見渡した。


 「目標はメーサイ北部の製造拠点。ミャンマー国境から五キロの地点だ」


 地図を広げた。


 「敵の構成員は百人以上。武装は自動小銃、機関銃、RPGも確認されている」


 「百人か」


 ニコライが呟いた。


 「俺たちは十五人。うち戦闘要員は九人」


 「九人で百人」


 「問題あるか」


 「ない」


 ニコライは笑った。


---


 「作戦は三段階に分かれる」


 柏木は続けた。


 「第一段階。マリーが狙撃ポイントに展開。監視塔と機関銃座を無力化する」


 マリーが頷いた。


 「第二段階。UH-1で突入班が降下。俺、ニコライ、ジョンソン、マルティネス、ヨナタンの五人。正面から突入する」


 「また正面からか」


 「また正面からだ」


 「狂っているな」


 「いつものことだ」


 「第三段階。サラ、ファリダー、川島が車両で裏口を押さえる。逃げる敵を捕捉。エイブラハムが運転」


 「了解」


 「アレクセイは医療待機。カルロスは通信管制。イーゴリは離脱用にヘリを待機させる」


---


 「質問は」


 沈黙。


 「では、始める」


 全員が動き出した。


---


 午前五時。


 まだ暗い。


 UH-1のローターが回り始めた。


 柏木、ニコライ、ジョンソン、マルティネス、ヨナタンが乗り込んだ。


 イーゴリが操縦桿を握った。


 「離陸する」


 ヘリが浮き上がった。


 山の稜線を越えて、北へ向かう。


---


 マリーは別ルートで移動していた。


 エイブラハムが運転するHiluxで、山道を登る。


 「ここで降りる」


 マリーは車を降りた。


 背中にAI AXMCを背負い、山の斜面を登り始めた。


 「狙撃ポイントまで二十分。着いたら連絡する」


 「了解」


 マリーの姿が暗闘の中に消えた。


---


 午前五時二十分。


 マリーから連絡が入った。


 「狙撃ポイントに到着。目標を視認」


 「状況は」


 「監視塔が三つ。機関銃座が二つ。見張りは......十二人確認」


 「多いな」


 「問題ない。順番に落とす」


 「待機しろ。合図があるまで撃つな」


 「了解」


---


 午前五時三十分。


 UH-1が目標上空に接近した。


 まだ暗い。だが、東の空が少し明るくなり始めていた。


 柏木は下を見た。


 製造拠点が見える。建物が十棟以上。鉄条網で囲まれている。中央に大きな倉庫。あれが本丸だ。


 「降下準備」


 全員がロープを握った。


 「マリー、始めろ」


---


 狙撃が始まった。


 最初の弾が、監視塔の見張りを撃ち抜いた。


 音は聞こえない。サプレッサーを使っている。


 二発目。別の監視塔。


 三発目。機関銃座。


 四発目。五発目。


 十秒で五人が倒れた。


 敵はまだ気づいていない。


---


 「降下」


 柏木がロープを滑り降りた。


 五人が次々と降下する。


 地面に着いた瞬間、走り出した。


 敵が気づいた。叫び声が上がる。銃声が響く。


 だが遅い。


 柏木たちは既に建物の陰に入っていた。


---


 「散開。俺とニコライが正面。ジョンソンとマルティネスは左翼。ヨナタンは右翼」


 「了解」


 五人が三方向に分かれた。


---


 柏木とニコライが正面の建物に向かった。


 敵が飛び出してきた。AKを持っている。


 ニコライが先に撃った。AK-103。二人が倒れた。


 柏木は走り続けた。


 距離が縮まる。十メートル。八メートル。


 敵が銃を向けた。


 柏木はベレッタを抜いた。体の中心に引き付ける。体ごと目標に向ける。


 撃った。


 敵の肩に命中。倒れた。


 止まらない。前に出る。


 次の敵。五メートル。


 ベレッタを撃った。腹に命中。


 敵が倒れる時、AKを掴んだ。奪い取った。


 そのまま前進。


---


 建物に入った。


 中は暗い。廊下が続いている。


 足音が聞こえた。複数。


 柏木は壁に背をつけた。


 敵が角から飛び出してきた。三人。


 奪ったAKを腰だめで撃った。


 一人が倒れた。


 残り二人が銃を向ける。


 柏木は前に出た。


 距離を詰める。四メートル。三メートル。


 AKの弾が切れた。


 投げた。敵の顔面に当たる。


 その隙にベレッタを抜いた。


 二メートル。


 一人の胸を撃った。


 もう一人が銃口を向ける。


 柏木は銃身を掴んだ。外側に捻る。男が叫んだ。


 ベレッタを男のこめかみに当てた。


 「動くな」


 男は動かなくなった。


---


 ニコライが追いついてきた。


 「相変わらず速いな」


 「遅れるな」


 「遅れていない。お前が速すぎるだけだ」


 柏木は男を壁に押し付けて拘束した。


 「奥に進む」


---


 左翼。


 ジョンソンとマルティネスが建物を制圧していた。


 「クリア」


 ジョンソンが報告した。


 「敵は」


 「八人確保。死者なし」


 「よし。中央倉庫に向かえ」


 「了解」


---


 右翼。


 ヨナタンは一人で動いていた。


 無音。影のように。


 敵が気づいた時には、既に背後にいた。


 ナイフが閃いた。


 一人が倒れた。


 次の敵が振り向いた。


 タボールが火を噴いた。サプレッサー付き。


 二人が倒れた。


 「右翼、クリア」


 ヨナタンの声は平坦だった。


---


 中央倉庫。


 敵が集結していた。


 二十人以上。全員が武装している。


 倉庫の入り口に機関銃が据えられていた。


 「マリー、機関銃座を潰せ」


 柏木が指示した。


 三秒後。


 機関銃手の頭が弾けた。


 「クリア」


 マリーの声。


---


 「突入する」


 柏木が先頭で走った。


 ニコライが続く。


 ジョンソン、マルティネス、ヨナタンも合流した。


 五人が倉庫に突入した。


---


 中は広かった。


 麻薬の袋が山積みになっている。製造設備がある。


 そして、敵が二十人以上。


 銃撃戦が始まった。


---


 柏木は止まらなかった。


 撃ちながら前に出る。


 敵が撃ち返す。弾が周囲を飛び交う。


 プレートキャリアに弾が当たった。衝撃が走る。だが貫通しない。


 止まらない。


 五メートル。


 敵の一人に接近した。


 AKを持っている。銃口を向けてくる。


 柏木は体を低くした。


 銃身の下を潜る。左手で銃を押し上げる。発砲。弾は天井に当たった。


 右手のベレッタを男の脇腹に押し当てた。


 撃った。


 男が崩れる。AKを奪った。


 そのまま振り返る。


 次の敵。三メートル。


 奪ったAKで撃った。


 倒れた。


 次。


 次。


 次。


 撃つ。進む。奪う。また撃つ。


 一連の動作が流れるように繋がっていた。


---


 ニコライは柏木の動きを見ていた。


 止まらない。


 撃たれても止まらない。


 敵を倒し、武器を奪い、また撃つ。


 流れる水のように。止められない。


 「......化け物だな」


 ニコライは呟いた。


 そして、自分も撃ち続けた。


---


 ジョンソンとマルティネスが側面から攻めた。


 「左から三人!」


 「見えている!」


 HK416が火を噴いた。


 敵が倒れた。


---


 ヨナタンは単独で動いていた。


 影から影へ。


 敵が気づいた時には、既に撃たれていた。


 タボールは正確だった。一発一殺。


 「ヨナタン、北側をクリアしろ」


 「了解」


 ヨナタンが消えた。


 十秒後。


 「北側、クリア」


---


 倉庫の奥。


 男が一人、逃げようとしていた。


 高価な服を着ている。ボスだ。


 柏木が追った。


 男がドアを開けて外に出た。


 柏木も続いた。


---


 外に出ると、裏口だった。


 Hiluxが停まっている。


 サラとファリダーが銃を構えていた。


 男は足を止めた。


 前に柏木。後ろにサラとファリダー。


 逃げ場がない。


 「終わりだ」


 柏木が言った。


 男は両手を上げた。


---


 午前六時十五分。


 制圧完了。


 作戦開始から四十五分。


 敵の構成員、百十三人を確保。死者十二人。重傷者二十三人。


 味方の負傷者は三人。全員が軽傷。


 倉庫から押収された麻薬は、末端価格で百二十億バーツ相当。


 製造設備も全て破壊された。


---


 柏木は倉庫の前に立っていた。


 紅色のシュマグが風に揺れている。


 プレートキャリアに弾痕が三つあった。全て止まっていた。


 大佐の言う通りだった。スーツでは死んでいた。


 ニコライが近づいてきた。


 「生きているか」


 「生きている」


 「何発食らった」


 「三発」


 「俺は二発だ。お前の勝ちだな」


 「勝負じゃない」


 「冗談だ」


 ニコライは笑った。


---


 全員が集まった。


 十五人。全員が無事だった。


 マリーが山から降りてきた。


 「八発撃った。八人倒した」


 「外さなかったのか」


 「外さない。言っただろう」


 ヨナタンが言った。


 「彼女は本物だ」


 「お前もな」


 ジョンソンが付け加えた。


---


 イーゴリがヘリを着陸させた。


 「迎えに来た」


 「ありがとう」


 「礼は要らない。これが仕事だ」


 ダニエルがヘリから降りてきた。


 「機体に損傷はない。帰れる」


 「よし」


---


 柏木は空を見上げた。


 朝日が昇り始めていた。


 ゴールデン・トライアングルの中心部を叩いた。


 だが、まだ終わりじゃない。


 「次はどこだ」


 サラが聞いた。


 「まだ決まっていない。だが、すぐに来る」


 「休む暇はないのね」


 「ない」


 サラは少し笑った。


 「分かっていたわ」


---


 川島が近づいてきた。


 「隊長」


 「何だ」


 「やっぱり、隊長についてきて良かったです」


 「なぜだ」


 「こういう戦いがしたかったからです。正しいことのために戦う。それができる場所を、ずっと探していました」


 柏木は川島を見た。


 「......そうか」


 「はい」


 「なら、これからも頼む」


 「はい。任せてください」


---


 ヘリのローターが回り始めた。


 全員が乗り込んだ。


 UH-1がゆっくりと浮き上がった。


 眼下に、制圧された製造拠点が見える。


 煙が上がっている。


 柏木は窓の外を見た。


 ゴールデン・トライアングル。


 麻薬の生産地帯。


 ここを潰せば、何百万人もの人間が救われる。


 それが、俺たちの仕事だ。


 ヘリは南へ向かった。


 チェンマイへ帰還する。

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